ドジャースに学ぶ「透明資産経営」5つの設計図~勝ち癖を空気の仕組みに変える方法~


ドジャースに学ぶ「透明資産経営」5つの設計図
~勝ち癖を空気の仕組みに変える方法~
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
「強さ」は偶然の積み重ねではなく、空気の設計で再現できる。ドジャースの強さは、派手な補強や天才個人の瞬間最大風速ではなく、クラブハウス全体に満ちる勝てる空気の運用にあります。これはそのまま中小企業でも実装可能です。本稿では、透明資産=見えないが成果に直結する組織の空気を、ドジャースの運用原理から5つの設計図としてお伝えします。
① パーパス一貫性と役割のクリアリング
ドジャースのロースターは「誰が、どの状況で、何で勝つか」が明確です。スターがいても主役の取り合いは起きません。目的(勝ち方)に対する役割の明快さが空気の摩擦を最小にします。
会社でも「この市場で、誰のどの課題を、何の強みで、どの価格帯で勝つか」を先に固定し、人に役割を当て込むのではなく、役割に人をアサインします。
即実装リスト
・事業ごとに勝ち筋の1行定義を作る(例:B2B/既存深耕/高頻度リピートの粗利最大化)。
・役割マップを3レベルで描く①勝ち筋達成の中核行動、②支援行動、③代替行動。
・会議資料は「目的→役割→期待アウトカム→KPI」の順で1ページに圧縮。
・重要ポストは二重化(代打設計)。「誰が抜けても回る」空気は心理安全性を高めます。
KPI
・受注案件の勝ち筋適合率(定義と一致している案件比率)
・キーマン不在時の機能停止時間(目標:0.5営業日未満)
② ルーティンと“儀式”がつくる勝ち癖
ドジャースでは、練習前後の流れ、整備、ハイタッチなど当たり前の小さな儀式が徹底されます。これは気合いではなくコンディションと集中のスイッチです。
「やれば良い」と分かる行動を儀式化し、迷いを減らします。空気は行動の総和です。
即実装リスト
・朝3分場づくりルーティン①入口とトイレの清掃②観葉植物の向きを正す③受付の笑顔確認
・終業5分の勝因共有:今日の小さな勝ちを1行でLINEに投稿(事実→気づき→次の一歩)。
・週次ミーティングの所作:開始3分で目的を音読、終了3分で「何をやめるか」を宣言。
・感謝の往復:1日1回「今日のありがとう」を名指しで書く。
KPI
・ ルーティン遵守率(セルフチェックで週80%以上)
・初動時間(顧客クレーム発生→社内共有までの平均分)
③ 人材開発の二段ロケット(育成8:補強2)
ドジャースは育成(ファーム)×補強(トレード/FA)の最適比率を保ち、常に翌年も回る状態を維持します。短期インパクトの補強だけでは空気は痩せます。
社長は「即戦力採用で穴埋め」の誘惑に抗い、社内の強みを磨き続ける仕組みを主軸に。外部は“ギャップを狙う精密補強”。
即実装リスト
・主要ポジションごとにIDP/個人開発計画を3ヶ月単位で更新/強み1点の伸長+1弱点の最小化
・「同伴営業/ペア設計」で実地の学習速度を2倍に
・外部補強は何で勝つか”から逆算して要件定義(何でもできる人は禁止)。
・昇格は結果×所作で判定。数字だけの昇格は空気を壊します。
KPI
・内製昇格比率(年70%以上)
・育成投資回収期間(昇格後の粗利累積で回収するまでの月数)
④ データ×直感の二刀流意思決定
采配はデータだけでも、現場勘だけでも勝てません。ドジャースは事前確率と当日のコンディションを重ね、勝負所を見極めます。
経営会議を「探索(仮説創出)」と「活用(配分・終わらせる)」に分け、数字と現場の声を同じテーブルにのせる。止める意思決定を評価する文化を入れる。
即実装リスト
・遅いKPI(売上・利益)より早いKPI(商談数・初回接触→提案の転換率)を上位表示。
・毎週、「今週やめる施策」を最低1つ決めて公開(追加より削除のほうが空気は澄む)。
・A/Bテストの打席数目標を設定(四半期で最低12本)。
・役員は月1回、現場帯同を義務化し定量に“温度”を足す。
KPI
・仮説→検証の平均リードタイム(立案から結果レビューまでの週数)
・廃止決定率(増やすより減らせているか)
⑤ コンディション・マネジメントと楽しさの設計
強いチームは疲弊の手前で回復し、楽しむ余白を持っています。笑顔は甘えではなく能力を引き出す装置です。
「根性で伸ばす」ではなく、稼働配分・回復・心理安全性を数値で運用。遊びの余白が創造性を生みます。
即実装リスト
・稼働負荷指数を導入(案件難度×同時並行数×対人ストレスの自己申告3点)。
指数が一定超でタスク再配分。
・月1回、学びの遠征(他社視察・顧客現場同席)を制度化。
・朝礼に近況1フレーズを挟み、個の温度を可視化(沈黙の疲弊を早期検知)。
・リカバリーDAY(有休を使わせる側の責任)を四半期1日必須化。
KPI
・有休消化率と突発欠勤率
・提案アイデア件数(月次)と採用率
ー90日・実装ロードマップ(社長主導)
Day0–7:可視化と宣言
・5つの設計図を全社に共有。「今年は“空気を仕組み化”する年」と社長が宣言。
・勝ち筋の1行定義と役割マップを作成。
Week2–4:儀式化
・ 朝3分・終業5分の儀式を一気に導入。チェックは自己申告+ランダム観察。
Week5–8:人材・数字の二刀流
・ IDP運用をキックオフ。ダッシュボードを早いKPI基調に刷新。
・「やめる施策リスト」を社内公開し、廃止決定を称賛。
Week9–12:定着と微修正
・ルーティン遵守率・初動時間・提案件数をレビュー。
・うまく回っていない儀式は迷いなく捨てる(形式疲れを防止)。
ー透明資産の5構造へのブリッジ
・Story(社長ストーリー):パーパスと勝ち筋の1行定義
・Product(No.1/Only1):役割マップと削る意思決定で尖らせる
・Message(情報局):終業5分の勝因共有とやめたことの社内発信
・Education(社長塾/社内学校):IDPと同伴営業、学びの遠征
・Image(ロゴ/キャッチ/キャラ/カラー):儀式・所作の統一で見た瞬間の空気を揃える
ー仕上げのチェックリスト(週1で○×)
1. 勝ち筋の1行定義を暗唱できるか
2. 代替要員が機能停止なしで回ったか
3. 朝3分・終業5分は80%以上回ったか
4. 今週やめた施策はあるか
5. A/Bテスト(打席)は進んだか
6. 初動共有が30分以内で回っているか
7. IDP面談を実施したか
8. 有休・負荷指数の偏りはないか
9. 提案アイデアが増えたか
10. 「小さな勝ち」の言語化が続いているか
ー社長への宿題(今日から)
・削る勇気:今月、あなたがやめることを3つ決めて、全社に宣言してください。
・所作の見本:明朝、あなた自身が入口とトイレの清掃を3分やってください。
・勝ち筋の音読:会議の冒頭で1行定義を読み上げ、「今日の議題がどこに効くか」を必ず紐づけてから議論を始めてください。
ー結論
強いチームは、強い個人の寄せ集めではありません。空気の再現性を持つ仕組みです。ドジャースに学ぶべきは、戦術の一発芸ではなく、目的→役割→儀式→育成→回復という5つの設計図を一貫して回すこと。
社長が空気の設計者に徹したとき、数字は後から必ず追随します。今日はまず、「やめる」から始めましょう。
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