社長の話を聞いて、自分で動ける社員は1割。 残り9割にも届く仕組みが、組織を本当に動かす。

「何回言っても、定着しない。一体どうなってるんだ!」
経営者のストレスが、頂点に達する瞬間の一コマです。
不満の矛先が、配下の管理者、その配下の社員たちに向かいつつも、
自分が言ったことが、なぜか実行されない不思議さに、思わずため息が漏れる、
そんな経験は、一度や二度ではないのでは。
なぜ、そうなってしまうのでしょうか?
経営者と社員の、資質/能力の絶対的な差
そもそも、社長は社員の中で、最も優秀な人材が担っています。
その時点で、圧倒的な資質と能力の差があることは、あまりにも明白。
なのに、いざ考え方を伝えたり、業務指示をしたりすると、
「分かってくれるはず」「理解できたはず」と、勝手に期待してしまいます。
でも現実は、違う。
あまりにも大きな能力差のギャップから、
社長が言ったことが、本当の意味で理解できない、
あるいは納得できない社員が、社長が思う以上に多いものです。
「昔の自分だったら」という視点で、社員に期待すると、必ず裏切られます。
でも「裏切られた」と感じるのは、社長が勝手に期待したからであり、
社員本人からすると「過剰な期待」で、いい迷惑にもなります。
傾聴→理解→納得→共感→実践、の遠い道のり
そもそも社員は、社長が話す内容に興味を持っているでしょうか?
校長先生と中学生の関係を思い出してください。
社長と社員では、担っている責任も、視野も、関心事項も全然違います。
そのため、社員は、社長の話には興味が持てず、傾聴できません。
次に、話を聞いていても、内容を理解できているか、これもバラつきます。
社長が熱心に話せば話すほど、経営者視点での熱意が高まって、
社員には理解されにくくなってしまう。
そして、意味は理解できたとしても、その話の内容やストーリーに納得するのか。
一人の社員として、共感するのか。
その上で、最後に待ち受けている最大のハードルが、
社長から言われた内容を、自分自身がきちんと実践するか、です。
ここまでたどり着くのは、本当に遠い道のりで、
社長が1度や2度、話をしたからといって、社員は簡単には実践できません。
話をするだけでは、「社長の独り言」に過ぎない
残念ながら、大多数の平凡な社員にとって、社長の考えや指示は、
その場だけ「聞いたふり」をすればいい、「社長の独り言」扱いをされがちです。
コミュニケーションという観点では、
社長は同じ内容を、何度でも繰り返し発信し、
それを口頭だけでなく、目に見える形で示す必要があります。
紙に文字で書いてあると、平凡な社員でも、自分のペースで何回か目にして、
少しづつ、理解を深めていくことが可能となります。
また、現場の管理者にも、トップの代弁者として、
同じ内容を、あの手この手で伝え、実際に指導する、
いわば、クローン的な動きをしてもらう必要があります。
そうすることで、社員は「社長だけの独り言」ではなく、
「会社としての考え・指示」として捉えてくれるようになります。
そして最も重要なのが、トップの考えや言葉を体現した「仕組み」をつくって、
社員を動かすことです。
経営方針、組織、制度、ルール、業務プロセス、コミュニケーション、等々。
会社の仕組みを、一貫性をもって整えることで、
社員がそうせざるを得ないような環境にする、
そして、やれば認められ、報われるように運用する。
人間は、言葉や理屈よりも、再現性のある仕組みと運用、に従って動きます。
会社の中で、いい意味での同調圧力を、一時的な頑張りや勢いではなく、
持続的な仕組みで作り上げることで、組織が本当の意味で動き出します。
あなたの会社には、トップの考えを社員に実践させる仕組みがありますか?
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