透明資産経営|会議の質は議題ではなく「入室した瞬間の空気」で決まっている

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
「会議はちゃんとやっているんですが、なぜか何も決まらないんです」
この言葉も、経営の現場で本当によく耳にします。議題は明確、資料も揃っている、時間も確保している。それなのに、終わってみると結論が曖昧だったり、決まったはずのことが現場で動いていなかったりする。多くの経営者は、原因を議題設定や資料の質に求めます。しかし、私が現場で見てきた限り、会議の質を決めている最大の要因は、もっと手前にあります。
それは、参加者が会議室に入った瞬間に感じる「空気」です。
成果を生む会議と、時間だけが消費される会議の違いは、議題を開く前にすでに決まっています。入室した瞬間、場に緊張感があるのか、それとも重苦しさがあるのか。発言しても大丈夫だという安心感があるのか、それとも余計なことを言うと面倒な空気なのか。この最初の数十秒で、参加者の脳は「今日は考える場か、それとも聞くだけの場か」を判断しています。
心理学の観点で見ると、人は環境から無意識に行動モードを選択します。安全だと感じれば思考が広がり、危険だと感じれば思考は縮こまる。会議で発言が出ないのは、意見がないからではありません。多くの場合、「ここでは言わない方が得だ」という空気を、全員が共有しているだけです。
会議が形骸化している会社ほど、場の緊張度が歪んでいます。緊張がなさすぎて雑談の延長になっているか、逆に緊張が強すぎて誰も口を開かないか。このどちらかです。成果を生む会議には、適度な緊張と安心が同時に存在しています。ここで言う緊張とは、叱責される恐れではありません。「この時間は大切だ」「ここで決める」という集中感です。
もう一つ重要なのが、発言の許容度です。会議の空気は、最初の発言がすべてを決めます。最初に話した人が否定されたり、話を遮られたりすると、その瞬間に場は閉じます。逆に、たとえ拙い意見であっても受け止められ、「なるほど」と一度咀嚼されると、空気は一気に開きます。この積み重ねが、発言してもいい場なのかどうかを全員に学習させます。
経営者や上司が無意識にやってしまいがちなのが、「結論を急ぐ」姿勢です。時間効率を重視するあまり、途中の意見を切り捨ててしまう。すると、場には「正解以外はいらない」という空気が流れます。この空気の中では、誰も考えなくなります。考えたとしても、口に出さなくなります。結果として、表面的な合意だけが残り、実行段階でズレが生じます。
沈黙の扱い方も、会議の質を大きく左右します。沈黙が流れたとき、すぐに誰かが埋めにいく会議では、思考は浅くなります。一方、沈黙を許容できる会議では、参加者は内側で考え続けます。沈黙は停滞ではなく、熟考の時間です。この沈黙を不安と捉えるか、価値ある時間と捉えるかで、意思決定の深さはまったく変わります。
成果を生む会議をしている会社では、沈黙に耐えられる空気が育っています。誰かが答えを出してくれるのを待つのではなく、「自分も考える時間だ」と全員が理解している。この理解は、ルールではなく空気として共有されています。
会議が終わったあとに差が出るのも、空気の違いです。良い会議の後は、決定事項以上に「納得感」が残ります。自分の意見が反映されたかどうかに関わらず、「考えるプロセスに参加した」という感覚がある。この感覚があるからこそ、決まったことが現場で動きます。逆に、結論だけが上から降りてきた会議では、実行は他人事になります。
ここで改めて強調したいのは、会議の質はファシリテーション技術だけで決まるものではないという点です。日常の空気が、そのまま会議に持ち込まれます。普段から意見が言いづらい組織で、会議だけ活発になることはありません。会議は、会社の日常を拡大鏡で映し出す場なのです。
透明資産経営の視点では、会議は意思決定の場であると同時に、空気を設計する場でもあります。誰がどんな態度で座り、どんな表情で話を聞き、どんな言葉で受け止めるのか。その一つひとつが、次の会議、次の現場行動の空気をつくります。
もし会議がうまくいっていないと感じたら、議題や資料を疑う前に、入室した瞬間の空気を思い出してみてください。そこに緊張と安心は同時に存在していたか。発言は歓迎されていたか。沈黙は許されていたか。答えは、ほぼそこにあります。
会議を変えることは、組織を変えることです。そして、会議を変える最短ルートは、空気を変えることにあります。議題の前に空気を設計する。この視点を持ったとき、会議は「時間を使う場」から「価値を生む場」へと変わっていきます。
ー勝田耕司

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