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【第51号:公的お墨付きで資金を調達する!企業版ふるさと納税vsエンジェル起業!】

SPECIAL

ファミリービジネスコンサルタント

MKUコンサルティング

代表取締役 

グループ経営の最適化により、オーナー経営を永続的なファミリービジネスに変える専門家。
 上場・非上場の企業グループオーナーの側近として、20年以上にわたり、企業グループの設計と経営、事業会社の経営、事業会社の創業、M&A、PMI、事業会社の事業承継、事業会社の撤退を手がけてきた。
 現在は、「オーナー社長のための骨太な事業成長を実現するグループ経営の最適化」についてのコンサルティングを行っている。
1969年生まれ、慶應義塾大学商学部卒。兵庫県立大学院経営研究科卒(MBA)。

【第51号:公的お墨付きで資金を調達する!企業版ふるさと納税vsエンジェル起業!】

今週、ある地域金融機関のご紹介で、
長らく町会議長を務めておられた地元の名士(以下、E氏と呼びましょう)が、
先月法人を立ち上げられ、
その法人の資金調達および資金計画について、
コンサルティングを受けられることとなりました。

E氏がこれから取り組もうとしている事業は、
ご自身のふるさとでもあり、
長年町会議員、町会議長として関わってこられた「町のブランド化」です。

E氏は地元の名士という立場から、これまで、本事業について、
地域金融機関や公的機関に数多く相談に乗っていただいたようでした。

私の立場から見れば、本案件は、
ご紹介いただいた地域金融機関からの借入によって、
比較的容易に資金化できる案件でした。

ところが、E氏は、
「地域創生という善い取り組みであれば、借り入れなんか必要ない」
「勝手にお金が集まってくる」
という考えを強くお持ちでした。

E氏によれば、法人登記の関連手続きやホームページの立ち上げまでは、
行政から獲得した補助金を活用して進めてきたとのことでした。

また、その補助金には、
商工会の経営指導員による「伴走支援」まで付いているようでした。
そのため、実務面については、伴走支援として関わる商工会の担当者が、
中心となって進めていく想定でおられました。

こうした状況の中で、E氏から私は
「企業版ふるさと納税を活用する道はないのか」
と尋ねられました。

そこで私は、E氏が企業版ふるさと納税を活用するとどうなるか、
順を追って説明を始めることにしました。

まず私は、E氏に
「企業版ふるさと納税で事業を進める場合、実際にはどのようなプロセスになるのか」
を整理してお伝えしました。

多くの方が誤解されていますが、企業版ふるさと納税は
国のお墨付きで、企業から勝手に寄附(=事業資金)が集まってくる制度
ではありません。

まず、自治体が主体となった地域再生計画の策定が必要です。

E氏の法人が主体となって寄附を集めるわけではありません。

自治体が「この地域でこのような地域創生事業を行う」という計画を立て、
その計画を国に申請し、認定を受ける必要があります。

そして国の認定を受けた事業に対してのみ、
企業が寄附を行い、企業側に税制優遇が与えられる仕組みです。

ここで決定的に重要な点があります。

寄附金はE氏の会社に入るわけではありません。

寄附金は一度、自治体の歳入として受け入れられます。
その後、自治体が事業として予算執行を行う形になります。

つまり実際の流れは次のようになります。

①E氏が自治体に相談し、自治体が地域再生計画を作成する
②国の認定を受ける
③企業に寄附営業を行う
④寄附金は自治体に入る
⑤自治体が予算として事業に支出する

ここでお気づきでしょうか。

E氏の構想は「民間主導の地域ブランド化」でした。

ところが企業版ふるさと納税を使った瞬間、
民間事業 → 行政事業
へと構造が変わってしまうのです。

この時点で、本事業におけます経営者の自由度は大きく制限されます。

ここで私は、E氏が見落としているであろう現実をお伝えしました。

企業版ふるさと納税には、三つの大きな落とし穴があります。

一つ目は、寄附を集めるには営業が必要だということです。

制度があるからといって、お金が自動的に集まるわけではありません。

企業に対して「この地域のプロジェクトに寄附してください」
と営業を仕掛ける必要があります。

しかも寄附する企業には、基本的に経済的リターンがありません。
意思決定はCSRや社会貢献の文脈になります。

つまり資金調達としては、極めて不確実性の高い資金なのです。

二つ目は、資金のコントロールができないことです。

寄附金はE氏の会社ではなく、自治体に入ります。

つまりE氏が「今この投資をしたい」と思っても、
行政の予算や手続きに縛られます。

三つ目は、事業のスピードが遅くなることです。

行政事業は必ず、計画→予算→執行→報告
というプロセスになります。

ブランド事業はスピードが命です。

しかし行政プロセスに入った瞬間、
事業のスピードは一気に鈍ります。

私はこれまで多くの地域事業を見てきましたが、
この構造に入った事業の多くは、
「善いことをしているが、待てど暮らせど進まない事業」
で終わります。

経営者がこの制度に安易に手を出すと、
資金も自由もスピードも失うことになるのです。

そこで私は、E氏にもう一つの資金調達方法を提示しました。

それが、エンジェル起業(エンジェル税制)です。

エンジェル税制とは、
個人投資家がスタートアップ企業に出資した場合、
所得税や株式売却益の税制優遇が受けられる制度です。

つまり投資家は、社会的に意味のある事業を応援しながら
税制メリットも得られるという構造を創り上げることができます。

ここが企業版ふるさと納税と決定的に違う点です。

企業版ふるさと納税は、寄附です。

エンジェル投資は投資です。

寄附は一度きりです。

投資は、特にエンジェル投資は、継続的なご縁のきっかけとなります。
企業が成長すればリターンが生まれます。

つまりエンジェル投資は、
応援 × 経済合理性の両方が成立する仕組みなのです。

そしてもう一つ重要な点があります。

投資資金は、直接、企業に入ります。

自治体を経由することも、行政予算に縛られることもありません。

意思決定は、E氏 → 投資家 → 経営判断
という民間ならではのスピード感で進みます。

地域ブランド事業のような市場勝負の事業では、
このスピードが勝敗を分けるのです。

最後に私は、二つの制度を比較して整理しました。

まず資金の性質がまったく違います。

企業版ふるさと納税は寄附です。

エンジェル税制は投資です。

寄附は善意で成り立ちます。
しかし善意だけでは事業は続きません。
事業継続には、経済合理性が必ずっていっても良いほど必要となるのです。

投資は経済合理性で動きます。

投資家はエンジェル投資により大きな節税効果が得られます。
投資した企業が成長すれば投資家は更なる利益を得られます。

次に資金の流れです。

企業版ふるさと納税は、企業→自治体→事業
という流れになります。

エンジェル投資は、投資家→企業→事業
という極めてシンプルな構造です。

さらに大きいのは、意思決定のスピードです。

企業版ふるさと納税は行政プロセスに縛られます。
一方エンジェル投資は、民間同士の意思決定で進みます。

ブランド事業やスタートアップ事業においては、
このスピードの差は致命的です。

私はE氏に最後にこうお伝えしました。
「善いことだからお金が集まる」
そう考えているうちは、事業は必ず失敗します。

事業とは、金融機関を含め、投資家が
リスクを取っても良いと思える構造を作ることです。

そして、その構造を作る資金調達としては、
企業版ふるさと納税よりもエンジェル起業の方がはるかに合理的なのです。

私の説明を一通り聞かれた後、E氏はしばらく考え込んでおられました。

そして、「なるほど。善いことだからお金が集まると思っていましたが、
それでは事業にはならないということですね。」

そう言って、E氏はこう続けられました。

「それなら、エンジェル税制認定企業を設立し、
投資家から資金を募る形で町のブランド化を進めたいと思います。」
「北島先生、私の長年の夢、ライフワークを叶えてください」

こうしてE氏は、企業版ふるさと納税による資金調達ではなく、
エンジェル税制認定企業を設立し、
経済合理性の提示と引き換え得られる民間投資によって、
地域ブランド事業を実現する道を選ばれました。

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エンジェル税制認定企業を立ち上げ、
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ぜひ下記よりお問い合わせください。

https://www.mku-consulting.com/maximuminc/
代表電話(03-5843-7228)にお電話をいただけましたら、
私のほうから折り返しご連絡もいたします。

すべてのオーナー社長が、
「善いこと」と「公共性」には“お金”が集まるはず!
という都市伝説の呪縛から解き放たれ、
自らの事業を自らの主導権のもと永続不滅のものへと導ける手がかりが得られますよう。

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