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父と子が互いを認める

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

父と子が互いを認める

拙著『親子経営の教科書』(マネジメント社)の出版の際、5社の親子経営企業で取材の機会を得ることができた。5社のケースから親子経営企業の経営エッセンスを読み解いた。今日はその第6話。


【父と子が互いを認める】

私の持論のひとつが、父親が我が子を自らの手で育てることはできないというのがある。これには次のような理由があるあるからだ。

・父親が自分の価値観を子供に押し付けるから
・父親は自分の経験値ですべて判断しようとするから
・父親への感謝を強要するから
・父親は子息、息女に過度な期待をするから
・父親は基本、子を認めていないから
・父親は子のことはなんでも分かっていると思っているから
・父親は子が父親ことなどなにも理解することができないと思っているから

以上のような理由があるから、私は父親が自らの手で子どもを育てることができないし、やらない方がいいと考えている。なかでも最も重要な問題は、父親が自分の子を認められないということだ。

これが父と子、互いの不信感を醸成する原因だと考えている。父と子が互いに認め合うことができれば、これほど強い絆はない。親子経営企業において、父と子の関係性が良好でありさえすれば、何事にも代え難い強い力となる。

では、どうすれば父と子は互いを認めることができるのだろうか。私はこれまで多くの親子経営の現場を見てきたが、うまくいっている会社には共通点がある。それは、父が「社長」としてではなく「一人の経営者」として子を見る瞬間があるということだ。

そして子もまた、「親」としてではなく「一人の経営者」として父を見る瞬間がある。この関係に変わったとき、親子関係は経営パートナーの関係へと変わっていく。

しかし、ここに至るまでには必ず衝突がある。むしろ衝突のない親子経営は危ないとさえ私は思っている。本音を言わず、波風を立てず、父の言うことを子がそのまま聞いている関係は、一見うまくいっているように見えるが、それは経営ではなく「従属関係」に過ぎない。

これでは後継者は育たない。経営者は指示を待つ人間ではなく、自ら意思決定する人間でなければならないからだ。

ある会社でこんなことがあった。後継者である息子が新規事業をやりたいと言い出した。父は当然反対した。リスクがある、そんな余裕はない、まだ早い。典型的な会話である。しかし息子は引き下がらなかった。

何度も事業計画を作り直し、父に説明し続けた。最終的に父はこう言った。「そこまで言うならやってみろ。ただし失敗しても会社のせいにするな、自分の責任でやれ」。この一言で、父と子の関係が変わった。父は息子を「経営者として」認めた瞬間だった。

一方で、子が父を認めることも同じくらい重要だ。後継者はどうしても「古い」「時代遅れ」「変わらない」と父を否定しがちだ。しかし、今会社が存在しているのは誰のおかげなのか。ゼロから会社を作り、社員を守り、取引先を作り、何十年も会社を続けてきたのは父である。この事実を心から理解したとき、子の態度は変わる。ここで初めて尊敬が生まれる。

つまり、
父は子の未来を見る。
子は父の過去を見る。
この両方が揃ったとき、親子は互いを認めることができる。

親子経営がうまくいく会社は、能力が高い会社ではない。親子関係が良い会社でもない。互いを一人の経営者として認めている会社だ。ここを間違えてはいけない。親子だから仲が良い方がいいに決まっているが、仲が良いだけでは会社経営はできない。経営は責任の世界であり、決断の世界だからだ。

父が子を認め、子が父を認める。言葉で言うのは簡単だが、これほど難しいことはない。しかし、これができた親子経営は本当に強い。私はこれまで、そのような会社をいくつも見てきた。

親子経営の本当の強さは、血縁ではない。

「相手を一人の人間として認めること」

ここにあるのだと、私は思っている。

 

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