社員を育てるよりも、組織の仕組みを育てる。

「うちには、そんな優秀な社員はいませんから!」
声を大きくして訴えるのは、地方で50人弱の食品会社を営むI社長です。
毎年夏休みには、近所の国立大学の学生をアルバイトで雇っているが、
学生の方が、今いる社員よりも、はるかに優秀だ、とのこと。
たしかに、地頭や資質という点では、その通りなのでしょう。
しかし、組織としての能力は、個人の資質だけでは決まらない、
これもまた、ゆるぎない事実です。
1.人を育てることには限界があるが、仕組みは育てられる
社員一人ひとりの資質や能力には、かなりのバラツキがあり、
教育だけで何とかするには、限界があります。
そもそも、まるで成長が期待できない社員だって、たくさんいます。
しかし、会社としての価値観や、仕事の進め方、役割分担、権限、
人事制度、会議運営、コミュニケーション、といった組織の仕組みは、
会社として磨きあげて、育て続けることができます。
「人が重要」という信念には、大いに賛同しますが、
人の資質や能力に期待しすぎて、何度も裏切られた経験はありませんか?
会社としては、再現性のある組織の仕組みを育てる発想が重要になります。
2.平凡な社員でも戦力化できる会社は、組織の仕組みが整っている
「優秀な人材」だけで会社を回すのは、現実的ではありません。
むしろ、多くの会社に必要なのは、特段優秀ではない平凡な社員でも、
一定水準の成果を、安定的に出せる状態をつくることです。
- 社長の意図が組織に浸透していて、社員は自律的に判断・行動できるか?
- 一人ひとりが目指すべき方向性が、明確に腹落ちしているか?
- 社員は、安心して自分の強みを発揮できる職番環境に置かれているか?
役割が明確で、判断基準が揃ってて、制度や日常の運営ルールが整理されると、
平凡な社員でも十分に、いや期待以上の戦力になってきます。
もはや巨大企業となったユニクロも、そうやって成功した一例です。
3.社員の意識・行動を変えたければ、まず会社の設計を変えよ
社員が動かない、育たない、責任感がないと感じるとき、
経営者や上司は、つい原因を本人に求めがちです。
- 「彼はもともと能力がないから、しょうがない」
- 「あれ以上のことを期待するのは、彼女には重荷になる」等々
しかし実際には、曖昧な方針や期待、責任の不明確さ、
行動・成果と評価の不一致、管理者の関わり方、等々、
会社の設計そのものが、社員の行動を決めていることが多い。
社員を責めたり、嘆いたりする前にやるべきことは、
経営者として、会社組織の仕組みを見直すことです。
今いる社員たちが、持てる力を100%、いかんなく発揮できる環境と、
全員がキッチリと同じ考え方で、同じ方向を目指す環境。
組織のあらゆる仕組みは、そのために設計されていることが不可欠であり、
ほとんどの成長企業は、ここが巧みに設計・運用されています。
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