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リーダーに信失くば、メンバーの心が離れる

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

リーダーに信失くば、メンバーの心が離れる

今日は私の子どもたちにリーダーの話しをしよう。
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【リーダーに信失くば、メンバーの心が離れる】

ひとが信用を失くすのは一瞬で足りる。信頼を失くすのもまた一瞬のことだ。経営者であった私が振り返って想うことは多くある。これもそのひとつ。

経営者が社員の信頼と信用を得るのは簡単なことではない。経営者の一挙手一投足を常に社員が見ていると思ったほうがいい。それは彼らにとって当然のことだと思う。会社というのは、彼らの人生、彼らの家族の人生までも大きく左右してしまう。

その責任者が経営者なのだから、彼らが経営者を見る目が真摯で厳正なのは当たり前のことだ。よって、経営者が信用、信頼できると思ったなら、彼らは持てる力を余すことなく発揮してくれるだろう。

反面、彼らがこの経営者はダメだと思った瞬間、彼らのやる気が一瞬に消え失せることになる。企業の業績を左右する大きな要因がここにある。経営者はこれを肝に命じ、常に己の言動に細心の注意を払わねばならない。

私が若い頃、大変お世話になった取引先社長に心から心酔していたことがある。経営者として多くのことを学ばせていただいた。その社長に出会うたび、「社員は社長の言葉ではなく、社長の後ろ姿を見ている」と実感していたものだ。

当時の私は、その意味を本当には理解できていなかったように思う。経営者とは、優れた戦略を語り、立派な理念を掲げ、皆を引っ張っていく存在だと思っていた。しかし長く経営を続けてきて、実際は少し違うことを知った。

社員は経営者の普段を見ている。苦しい時にどんな表情をしているか。約束を守る人間か。自分に厳しいか。都合が悪くなった時に逃げないか。弱い立場の者にどう接しているか。そういう小さな姿を、社員たちは実によく見ている。

経営者の中には、立派なことを口にする人がいる。理念も戦略も素晴らしい。しかし、言っていることとやっていることが違えば、人は必ず離れていく。

「社員を大切にする」と言いながら、自分だけ贅沢をする。「挑戦しろ」と言いながら、自分は責任を取ろうとしない。「一致団結だ」と言いながら、陰で人の悪口を言う。これでは誰もついてこない。

人は完璧なリーダーを求めているわけではない。失敗しない経営者など存在しないのだから。社員もそれくらい分かっている。だが、誠実であることは求めている。

失敗したなら素直に認める。間違ったなら謝る。約束したことは守ろうとする。自分だけ逃げない。その姿勢に、人は信頼を寄せるのだと思う。

論語に、「信なれば即ち人任じ」という言葉がある。信があってこそ、人は安心して仕事を任せることができる、という意味だ。これは経営の本質を突いた言葉だと私は思う。

会社という組織は、最終的にはで成り立っている。社員が「この人についていこう」と思えるか。取引先が「この会社なら信用できる」と感じるか。金融機関が「この経営者なら支援したい」と考えるか。結局はそこなのだ。

どれだけ頭が良くても、どれだけ戦略に優れていても、信を失った経営者に人はついてこない。逆に、不器用でも誠実な経営者には、不思議と人が集まる。

私自身、多くの経営者を見てきたが、長く繁栄する会社には共通点があった。それは、経営者にがあることだった。社員に対して嘘をつかない。ごまかさない。弱い者を切り捨てない。そういう経営者の周りには、最後まで人が残る。

会社が苦しい時、本当に経営者を支えるのは、金でも設備でもない。人である。その人たちが最後まで力を貸してくれるかどうかは、普段の経営者の姿勢によって決まる。信頼は長い時間をかけて積み上がる。だが失う時は一瞬だ。

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