透明資産経営|なぜ、社員の当たり前が会社の質を決めるのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー指示しなくても保たれる水準が、会社の本当の実力
会社の質を、経営者はしばしば「どこまでできるか」で測ろうとします。最高の対応、最高の品質。──確かに、その上限も大切です。しかし、会社の本当の実力を決めているのは、上限ではなく、もう一つの水準です。それは、誰に指示されなくても、自然に保たれる水準。社員が「これくらいは普通だ」と感じている、当たり前の基準です。
挨拶はこれくらいすれば普通。掃除はこの程度で十分。お客様への対応は、このあたりで及第点。──こうした、誰も口にはしないけれど全員が共有している「当たり前」のラインこそが、その会社の日常の質を決めています。そして、お客様が日々受け取っているのは、最高の対応ではなく、この当たり前の水準のほうなのです。
当たり前の基準が高い会社は、誰が対応しても、安定して質が高い。当たり前の基準が低い会社は、たまに良い対応があっても、普段はそれなり。会社の実力とは、この当たり前の水準そのものなのです。なぜ、社員の当たり前が会社の質を決めるのか。それは、当たり前の基準が、その会社に流れる空気そのものだからです。
ー「当たり前」は、ルールではなく空気で決まる
ここに、見落とされがちな仕組みがあります。社員の当たり前の基準は、ルールやマニュアルで決まるのではなく、職場に流れる空気によって決まる、ということです。たとえば、マニュアルに「お客様には丁寧に対応すること」と書いてあっても、現場で誰もが雑な対応をしていれば、新人もすぐに「この程度で普通なのだ」と学びます。逆に、明文化されていなくても、周りの全員が当たり前のように高い水準で動いていれば、新人もそれが普通だと感じ、自然と同じ水準になります。
人は、ルールに書かれた基準ではなく、周りの人が実際にやっている水準に、自分を合わせます。だからこそ、当たり前の基準は、規則ではなく、日々の空気の中で形づくられるのです。そして、この当たり前は、一度下がると、戻すのが難しい。「これくらいでいい」という空気が一度広がると、それが新しい普通になり、全体の質が静かに下がっていく。逆に、当たり前が高く保たれていれば、特別な努力をしなくても、質の高い仕事が日常的に生まれ続けます。会社の質を上げるとは、特別な施策を打つことではなく、この当たり前の水準を引き上げることなのです。
ー「当たり前」が下がっていく「3つの入口」
社員の当たり前は、どこから下がり始めるのか。三つの入口をお伝えします。
1つ目の入口は、「手抜きが見逃される」ことです。誰かが少し手を抜いたとき、それが見逃され、咎められなければ、「これでも大丈夫なのだ」という空気が生まれます。一度許された手抜きは、次第に全員の当たり前になっていく。小さな見逃しの積み重ねが、当たり前の水準を静かに引き下げます。
2つ目の入口は、「上の人が水準を下げる」ことです。社長や先輩が、自ら手を抜いたり、雑な対応をしたりすれば、それが組織全体の当たり前になります。上に立つ人の水準が、そのまま組織の当たり前の天井になる。上が下がれば、全体が下がるのです。
3つ目の入口は、「高い水準が報われない」ことです。丁寧な仕事をしても、手を抜いた人と同じ扱いなら、人は「頑張るだけ損だ」と感じ、水準を下げていきます。高い当たり前を保つには、それがきちんと認められる空気が欠かせません。
ー「当たり前」を引き上げるのは、日々の行動と空気
社員の当たり前の水準を決めているのは、特別な研修ではなく、現場で日々繰り返される行動と、それを取り巻く空気です。手抜きが見逃されず、上に立つ人が高い水準を体現し、丁寧な仕事がきちんと認められているか。当たり前が下がっていくのは、こうした日々の空気が緩んでいるサインです。当たり前の基準は、号令で上げるものではなく、日々の行動と空気の積み重ねによって、少しずつ引き上げていくものなのです。
ー当たり前の水準を、意図的に引き上げる
では、経営者は何を変えればいいのか。新しいルールを増やすことではありません。組織の当たり前の水準を、意図的に引き上げることです。まず、社長や上に立つ人が、自ら高い水準を当たり前として体現する。背中で基準を示す。次に、小さな手抜きを見逃さず、しかし責めるのではなく、「ここはこうしよう」と丁寧に水準を伝える。そして、高い水準で仕事をした人を、はっきりと認め、その水準を全員の当たり前にしていく。──当たり前を一段引き上げれば、特別な努力なしに、会社全体の質が底上げされます。
ー会社の質は、当たり前の高さで決まる
最後に、経営者にお伝えしたいことがあります。会社の質は、たまに発揮される最高の対応ではなく、誰に言われなくても保たれる「当たり前」の高さで決まるということです。今日、自社を振り返ってみてください。社員が「これくらいで普通」と感じている当たり前の水準は、十分に高いでしょうか。それとも、知らないうちに、少しずつ下がっていないでしょうか。当たり前の基準を、意図的に引き上げる。それが、会社全体の質を底上げする、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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