会社を悪くするのは、悪人か。それとも善人か。 ― 不祥事はなぜ繰り返されるのか

企業不祥事のニュースを見るたびに、多くの人はこう考えます。
「なぜ、そんなことをしたのだろう」
確かに、意図的にルールを破る人もいます。
自分の利益のために不正を行う人もいます。
しかし、これまで多くの企業不祥事を見てきた中で、私は別のことを感じています。
それは、
不祥事は悪人だけが起こすものではない
ということです。
むしろ、真面目な人や責任感の強い人が関わっていることも少なくありません。
例えば、
お客様に迷惑をかけたくない。
納期を守りたい。
上司を困らせたくない。
部下の雇用を守りたい。
会社の業績を落としたくない。
どれも悪意ではありません。
むしろ、多くの人が共感できる思いではないでしょうか。
ところが、その善意が行き過ぎたとき、組織は危うくなります。
「今回だけなら大丈夫だろう」
「今さら言い出せない」
「報告すると現場が混乱する」
「まずは乗り切ってから考えよう」
こうした判断が積み重なり、本来見えるはずだった問題が見えなくなっていきます。
そして気付いたときには、大きな不祥事として表面化するのです。
問題は、悪意だけではありません。
善意もまた、組織を誤った方向へ導くことがあります。
では、善意が悪いのでしょうか。
私はそうは思いません。
問題は、善意の向かう先です。
上司のため。
部署のため。
今期の数字のため。
その場を収めるため。
もし判断の基準がそこにあるなら、それは一見善意に見えても、会社全体から見れば別の結果を生むことがあります。
会社のためだと思っていたことが、結果として会社を傷つける。
多くの不祥事は、そのようにして生まれているのかもしれません。
大切なのは、善意か悪意かではありません。
その判断は、本当に会社全体のためになっているのか。
顧客のためになっているのか。
社会のためになっているのか。
未来の会社のためになっているのか。
目先だけを見るのではなく、より広い視点で判断すること。
それが、不祥事を防ぐ仕組みであり、組織を強くする考え方でもあるのではないでしょうか。
あなたの会社では、問題は見えているでしょうか。
それとも、誰かの善意によって隠されているでしょうか。
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