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管理者に期待通り動いてもらう、ゼネコンの外注業者の使い方から得たヒント

SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

矢田祐二1

「部長なんだから、もっとしっかり管理を・・・」

「課長なんだから、みんなをまとめ・・・」

管理者として、役職が付いたからと言って、すぐ翌日から能力が上がるわけではありません。中身は、昨日と変わりありません。怒ることも理不尽ですが、それで問題が解決するわけでもありません。


 

会社に存在する多くの仕組みは、大きくこの2つのためにあります。
ひとつは、『期待を伝える』ために、
もうひとつは、『その期待が守られているか確認する』ため、です。

新規に採用されたスタッフに、行われるオリエンテーションは、我社で守ってほしい態度や就業規則について伝える場です。そして、配属先では、マニュアルによって、作業手順を伝えられます。そして、それを、1か月目、2か月目に評価し、再度それを本人に伝えます。

経営計画書発表会では、会社としての戦略、方針と目標を伝え、社員に協力を依頼します。そして、各部門には、今期達成してほしい目標を伝えます。毎月の会議では、その進捗具合と来月の行動という期待を確認します。

職場の朝礼では、その日の作業予定や、前日の不良やその対応などが通達されます。また、そこで、服装や顔色などのチェックもします。

会社のすべてにおいて、『期待』が存在します。

『期待』とは、我社の基準であり、品質であり、完成形となります。そして、その期待が守られているか、維持されているかを『確認』します。

これにより、会社という組織が機能的に動き、狙い通りの商品を生み出し、顧客を満足させることが出来るのです。


 

私がゼネコンで従事した施工管理の仕事とは、この「期待」と「確認」の繰り返しでした。ゼネコンは設計や計画などの「構想」を行います、そして、その実現のためのすべてを外注業者に依頼します。そのため、外注業者にその通り動いてもらい、その通り実現をしてもらうことが重要になります。

1社の業者に対し準備する書類は下記のものがありました。

  • 完成図面:達成してほしいイメージを持ってもらいます
  • 特記仕様書:工事の方針や注意事項
  • 資材一覧 ・作業エリア ・工程表 ・現場ルール&注意事項

現場ルール書には、下記のようなことが書かれています。

  • 朝礼には、安全帯、ヘルメット等、その日の作業する服装で参加すること
  • 現場場内での車両走行は、10キロ以下を厳守すること
  • 近隣の方には、笑顔で挨拶すること

これを持って、外注業者と打ち合わせを行います。最低でも、1業者1時間はかけます。そして、現場作業員が入るときには、ルールだけは直接説明することをします。

これにより、現場の秩序は維持され、安全に作業がされ、よい構造物ができるのです。

そして、これにより、業者を三つに判別することが出来ます。
1.依頼したことができる業者 2.依頼したことプラスアルファができる業者 3.依頼したことができない業者

そして、3の依頼したことができない業者に対し、再度事務所に来てもらい、書面をもって伝えることを行います。その上で、3の業者への「確認」を強化します。やってもらわなければ、工事全体の進捗に大きな影響が出ます。できなければ、また、期待を伝えるだけです。

これをゼネコンの厳しさと評する人がいますが、それは大きな間違いです。プロフェッショナルな業者ほど、こういうゼネコン職員に対しては、信頼と礼節を持ってくれます。逆に、これをいい加減にするゼネコン職員に対しては、不信感を持ちます。

これにより、お互いに仕事がやりやすくなります。


 

管理者が動かない、機能させたいのであれば、まずはこの「期待」をしっかり伝えられているか、伝わっているかどうかを確認することです。どんな会社でも、外注業者を使う時には、打ち合わせをします。その仕事が、大きなものであるほど、打ち合わせの時間や頻度は増えます。そして、必ず書面を準備します。

これと同じことを管理者にもする必要があります。
・どんなことをやってほしいのか ・どんな目標を達成してほしいのか ・どんな態度をとってほしいのか
それにより、管理者は初めて、自分が何を期待されているのかが解ります。自社の中核を担ってほしいのであれば、打ち合わせや書面での期待を伝えることは必要となります。少なくとも、外注業者並には。

打ち合わせもしない、書面も準備せずに、役だけ付けて動いてくれ、では、その管理者が力を発揮できるはずはありません。そして、後から注意を受ける。これをゼネコン職員がやれば、間違いなく業者から見切られます。

管理者に任命すると、すぐに能力が高まるわけではありません。管理者に任命すると、自然にその役割を理解することもありません。

管理者をいち人間と考え、いちパートナーと考えるのであれば、お伝えください。
それが、社長として人を使い、目的を達成するプロフェッショナルとしての仕事です。

 

 

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