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第48話:トランプ政権に左右されない経営戦略

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導線経営コンサルタント

日本成長戦略研究所株式会社

代表取締役 

【非対面化・オンライン化・自動化】を組織の中枢として捉え、「集客から営業・販売」まで一気通貫で儲けを逃さない導線を設計し、「仕組み化」することで収益を最大化する経営手法を“導線経営”として体系化した第一人者。100名以下の中小企業を中心に「1年で売上2倍の仕組みづくり」を指導。

アメリカ新大統領トランプ政権に左右されない経営戦略

「世界で初めてデジカメを開発したのはどこか?」「世界で初めてデジカメを開発した業界トップの企業が、なぜ、経営破綻に追い込まれたのか?」…

年間100日以上、全国の講演会・セミナーなどで登壇する際、経営者の方々にこのような質問をさせて頂くことがあります。何をお伝えする時かと言えば、経営において、環境の変化に適応するということがいかに重要かということです。

デジカメを世界で初めて開発したのは、かつて米国でフイルム業界トップだったイーストマン・コダックです。一方、日本のフイルム業界トップと言えば富士フイルム。こちらは過去最高益などの躍進を続けています。何がこの2社の明暗を分けたのか?ひと言で言えば「環境の変化に適応できたか否か」です。

同業他社との競合優位性を維持しながら、強く永く事業成長・企業発展していくには、外部環境(自社でコントロールできないこと)と内部環境(自社でコントロールできること)を分析・把握し、自社の事業領域(ドメイン)を環境に合わせて、スピーディに変化させていくことが求められます。

かつて銀塩フィルムで好業績を上げていた両社。デジタル化の波が押し寄せる中でコダックは銀塩フィルムにこだわり、その一方、富士フイルムはデジタル化への対応はもちろん、医薬品や化粧品分野にも進出するなど、環境の変化に適合すべく経営の舵を切りました。

つまり、環境の変化が著しく速くなった今、昔の成功体験が一番の大敵となってしまうのです。「環境が変わるということは、かつての強みが強みでなくなること」を意味します。環境が変化しているにも関わらず、事業領域(ドメイ ン)を変えないということが大きなリスクになってしまうのです。

外部環境と内部環境を同時に、比較的簡便に分析できるフレームワークとして「SWO T分析」というものがあります。「SWOT」は英語の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の頭文字を取ったもので、外部環境である機会と脅威、内部環境である自社の強みと弱みを整理・分析するツールです。

これを元に一歩踏み込んだ考え方が、下記の「クロスSWOT分析」です。

クロスSWOT分析

 

上図の①〜④のような状況になった時、貴方だったらどのように経営の舵を切りますか?先ずは少しの間、考えてみた上で下記の動画で確認してください。

 

クロスSWOT分析、攻めの展開、ネットワーク展開、応用展開、回避・撤退

※動画の再生はこちら(成長戦略TV 第3回)

 

上の動画でも解説してますが、「クロスSWOT分析」における「脅威と強み」の「応用展開」を上手く活用したのが、牛丼の吉野家です。吉野家にとって外部環境の「脅威」はBSE問題、それに対して内部環境の「強み」は「牛丼一筋」でした。

しかし、「牛丼一筋」という「強み」がBSE問題という「脅威」で一気に「弱み」になってしまったのです。これに対して吉野家は牛丼以外の商品、豚丼などの新商品を投入することで「応用展開」し、経営危機を免れました。

「肉といえば赤ワイン」という読者の方も多いと思いますが、100年以上うまさを追求してきた吉野家の結論は白ワインでした。米国産牛肉の味を引き出すことを前提に白ワインをベースにした発酵調味料が使われているので、米国産以外の牛肉を使用すると味のバランスがすべて崩れてしまうのです。

また安部修仁 社長(BSE問題当時)はアルバイトから社長になった方で、社員の誰よりも牛丼にこだわりと愛着を持っていたことでしょう。他の路線にすぐに舵を切れなかったのは想像に難くありません。それは富士フイルムのケースであっても同様、今までやってきたことを否定し、大きく舵を切ることは容易ではないのです。

しかしながら、アメリカ新大統領のトランプ政権となった今、大きく舵を切ることを迫られる環境になる可能性も少なくありません。強みと弱みは表裏一体であるということを念頭に、強く永く生き残る経営(経営戦略)として、今回お伝えした考え方が参考になれば幸いです。

 

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