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生きるべきか、消えてなくなるか、「今のままで良い」と感情はささやく。

  商品リニューアル 古崎千穂 SPECIAL
古崎千穂 SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング 代表 古崎千穂

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

「まだ、その時ではないかと思いまして、悩んでいます」。弊社のセミナーに参加された方が胸の内をお伝えくださいました。

コンサルティングのオファーをいただく時、必ず一度はこの言葉を耳にします。商品リニューアル戦略を自社に定着させるための半年間の仕組みづくり、社長としては、挑戦したい。否、挑まなければならない。そう思われるのです。しかし、一方では、新しい挑戦に対して不安を感じ葛藤される時があります。わたくし自身が業を起こし、不安、挑戦、葛藤、そして挑戦のサイクルに生きる経営者ですので社長の気持ちに深く共感することができます。

そう、痛いほど共感できます。しかし、ここは「不安、迷い、葛藤という感情の揺らぎを感じた時こそ動く時」と提言いたします。

わたしたちは、望むと望まざるとにかかわらず、変化していかなければなりません。経営者であろうと生活者であろうと、これは一つの真理です。人が生き物であるのと同じように、生き物で構成されている社会もまた生きていて、日々変化。実際に、経済やビジネスの世界で、これまで「常識」とされてきたことが次々と覆されています。生き残るために、変化していかなければならないのです。

では、なぜ生き残らなければならないのか。ビジネスでいえば、なぜ会社を存続させるのか。

わたしたちは「従業員のために何がなんでも会社を存続させなくてはいけない」あるいは「先祖代々のために暖簾を守らなければならない」という言い方をすることがあります。そしてP・ドラッカーの言葉を引っ張り「企業の目的は顧客を創造すること」と伝えます。

顧客を創造しつづけ会社を存続させる。その本質は何でしょうか? ほんとうに存続させる必要があるのでしょうか? 日本は人口減対策を先送りし、結果、国内マーケットは縮小しました。海外販路への流れは必至です。そして情報やモノが過剰です。提供する企業の数が多すぎるという指摘もあります。このような状況で、タテマエの皮を剥き本音を取り出せばどうでしょうか。

存続の理由はさまざま描くことができるでしょう。

例えば、ベンチャー企業の創業者がそうであるように「上場して資金を得て大きくしたい」や「受け継いだ事業をもっと大きくしたい」であったりします。これは理性的な動機ではなく人間の本能が動機になっています。人間には「大きくすることは良いことだ」と感じるようプログラムされています。

会社存続の本音は、理性的な動機よりもむしろ、経営者自身の欲望やプライドといった「感情」や「本能」を動機にしているのではないでしょうか。

例えば、既存顧客を捨てて生まれ変わった会社があります。時代の変化とともにデジタル産業が主流の中、マーケットが急速に縮小した「富士写真フイルム」は美容・健康市場に活路を見い出し「富士フイルム」とリニューアル。事業の多角化で成功しました。日本のSNS草分け的存在だった「ミクシィ」は事業内容を大幅に変え、今やゲーム事業で生き残りをかけています。

小売業ではいち早くポイントカード制度を導入し、集めた顧客データベースを元に保険業や金融業を始める会社が多々あります。本業以外で大きな収益を得るビジネスモデルで、顧客データという資産をテコに、速くラクにお金を集めています。

大手企業から個人商店に至るまで、企業の統廃合で暖簾を守るケースもあります。わたくしも会社員時代には二度経験いたしました。「従業員の雇用を守るため」のM&Aが従業員にとって幸せなことなのかどうか。

企業文化の違い、待遇の悪化、労働環境の悪化、人間関係の崩壊、組織変更によって専門外の仕事をして苦労している事実があります。変わってしまった会社に対して「もう、考えることをやめました」と言った仲間の表情を忘れることができません。「カンバンは残ったけど、会社は死んだ」と話します。

会社は存続しているが今まで支えてきた既存顧客を捨てて本業以外のビジネスへと変身している。会社は残っているがスピリットは死んだ。終身雇用制度もない。人口減は止められずビジネスが消えていく、市場が消えていく・・・。お守りのように長い間信じられてきた「〇〇すべき」的な経営論もマーケティング論も現実とのギャップが広がっていて通用しません。

そして過去から積み上げてきた「幸福のモノサシ」がまったく使えない。何が良いのか悪いのか・・・考えることを止めて隷属して生きる・・・今の実社会は「無秩序」で「不完全」で「予測不可能」だし、経済行動においても「不合理」で「理不尽」だと感じざるを得ません。

そしてわたしたちは、理不尽でザワザワとしたものが嫌いです。冒頭の社長は「まだその時ではない」と言いましたが、「現実から目を背けたい、変わりたくない、今のままでいい」と暗に伝えているのです。

人の脳には「状況依存性」という性質があり、本能的なレベルで「現状に甘んじていたい」と思っています。今夏の日本列島において、気温上昇は「異常」事態で、気温上昇さえ「災害」だと定義しています。が、変動の少なかった今までが地球の歴史から俯瞰してみれば、アブノーマルだったのではないでしょうか。この過去を基準とし今を「異常」と思いたい気持ち、明日は元のとおり「正常」になるはず、という楽観的な気持ちこそが、脳の「状況依存性」であり、人間心理なのです。

今いる環境から一歩も離れたくないし、今ある考え方から離れたくない。新しいことは何もしたくないし、新しい考え方も要らない。警告に対して楽観的であり、意識と行動変容を求められているにも関わらず「まだ大丈夫」「いつか・・・」「今のままでいい・・・」。会社を本当にダメにするのは「満足感」です。社長の「変わらなくていい」が思考を硬直化させます。新しい考えが入らず取り残されてゆきます。「変わらない」戦略は消えてなくなることを意味します。

先行きが不透明で、日々の難しい問題に対処していかなくてはならないし、思い通りにも行かない。それが今という時代です。あらゆることが「逆境」であり「理不尽」そして「不安」と表現できます。今までのような「安定と成長」を保っていた時代は終わりました。そして、会社が存続すべきものという「タテマエ」と今の現状とがあまりにかけ離れている、そんな歪んだ時代が、今というリアルです。いかがでしょうか。

生きるべきか消えてなくなるのか。

変わり続ける生存戦略、リニューアルしていくチカラは「自社を動かす」エネルギーです。動乱の世、御社が御社であるためにしっかりと根を張って存在していく。その意味と価値を創造する原動力こそ、商品リニューアル戦略の本質です。今こそ「満足スイッチ」を叩き壊し「不安スイッチ」を発動させる時です。

変わろう。

そう、未来だけを見つめた会社の発展のために、わたくしは命いっぱいにお仕えしてまいります。時代がどのように変化しても、どっこい逞しく生き抜いてゆく会社へ成長してゆきましょう!

 

【社長直轄】商品リニューアルの着眼点
古崎千穂

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング代表

古崎千穂

執筆者のWebサイトはこちら https://rbnc.jp/

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