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新時代の通販・ギフトの絶対成功条件かつ最低条件

SPECIAL

ギフトビジネスコンサルタント

株式会社売れるギフト通販研究所

代表取締役 

日本で唯一のギフトビジネスコンサルタント。流通、通販、ギフトの各業界通算30年以上の経験を持ち、2015年に独立。2017年には培った独自ノウハウを体系化し、ギフトビジネス専門のコンサルティング機関「売れるギフト通販研究所」を立ち上げ、多くの企業を指導。幾多の企業を成功へと導く。著書に『「ギフト商品」を通販で売る』、『儲かる「ギフト化」で飛躍する3大ポイント』がある。

 通販業界、ギフト業界とも特に大手、老舗と言われた企業が苦境に陥っているニュースが、日々どんどんと飛び込んできます。

 ネット通販での大きなプレーヤーとなったamazonや楽天市場、zozoなどの影響はもちろん大きいのですが、ユニクロやセブン&アイも何百億とネットで売り上げていたり、どんな会社やお店、はてまた個人でもメルカリなど通じ、いわゆる”通販”が簡単にできる時代になりました。

そのような市場環境において、どのように軌道に乗せていければ良いのか?

先日、65歳になられる旧知の経営者の方と久しぶりにお会いした際にこのようなことを言われました。

「園さん、通販やギフトの業界ってもうダメになっていく業界ではないんですか?」

古くからのカタログ通販・ギフトをイメージされているとそう思われても仕方ありません。ですが、通販市場はネットを中心にテレビ通販も右肩上がりの成長で、ギフト市場も微増ではありますが伸び続けている事実が存在します。

そんな中、昔からの通販業界と言われている世界では、先日千趣会の大規模なリストラ策(希望退職280人募集)の発表と、社長交代という激震が走りました。大丸松坂屋通販との提携も解消されていた中、共同出資のフィールライフも解散の方向で進んでいるそうです。

他にも、ニッセンがセブン&アイの傘下に入ってからも苦戦が続き、百貨店通販の老舗である三越伊勢丹通信販売も郵便局との提携もありましたが、三越通販時代から約100年の歴史にピリオドを打ち、来年3月で営業を終了する発表がされています。

またアメリカのカタログ通販で草分け的存在のシアーズも10月15日に経営破綻。電話帳のような分厚い通販カタログがとても有名でした。

ギフト業界ではサラダ館で有名な老舗のシャディが今年3月にニッセン傘下から免税店運営のラオックスが買収と、古くからの通販・ギフトはどんどんと苦境に陥っています。

ですが、同じ老舗カタログ通販のベルーナは依然好調ですし、ディノスも健闘(ギフト・ディノスというギフト専門サイトも昨年スタート)。テレビ通販ではジャパネットたかたは2,000億も目指そうという勢いで、ショップチャンネルやQVCの勢いも増しています。他にもアパレルのカタログ通販では後発だったドゥ・クラッセも業績を着々と伸ばしています。

ギフト業界では老舗のリンベルが2004年の売上高200億円から、現在は3倍の600億円を突破してきています。

業界で古くからの老舗企業でも「いけてる会社」はあるのです。

アマゾン・エフェクトという言葉に代表されるように、一口でネット通販の台頭や従来のカタログ販売からネット販売への軸の切り替えが立ち遅れた・・・という今時のそれらしい理由がよく語られます。もちろん影響は大きいと思いますが、伸ば続けている老舗通販、ギフトの会社もある訳ですから、苦境に陥った理由は決してそれだけではないでしょう。

そもそも一般的に通販は、店頭では手に入りにくい希少価値がある、店舗にいかなくても買える利便性というのが購入の決め手となっていました。そこに加えてセシールやニッセンの低価格戦略もあり価格も安い・・・というのもありました。

ですが、ニッセン・千趣会・セシール・ディノス・ムトウ(現スクロール)などの通販会社が上場を果たしだした1990年代前半の時代背景は、ポケベルから携帯電話に移行し始めた頃で、個人用のPCもまだまだ普及しておらず、インターネットも始まったばかり。

amazonや楽天などのネットでのプレーヤーも1990年代後半になって登場しだしたところでした。景気もバブル経済真っ盛りでもあったため、チラシやカタログはまさに出せば売れる!といった入れ食い状態。なので通販業界にとって意識する他の市場は店舗販売だけ。百貨店や店舗の特にアパレル・服飾雑貨は、当時から通販に侵食されていました。

今はどうでしょう。当時から比べると買い場はネット通販だけではありません。買い場が少なかった地方にも、イオンモールやアウトレットなど大型のショッピングモールが続々と出店、コンビニの店舗数も爆発的に伸び、通販の利便性における優位点も随分と薄れました。注文方法も電話・FAX・ハガキが主であったのが、パソコン・携帯(スマホ)の普及から大きく様変わりしました。

ネット通販だけではない買い場の広がりと、生活環境・経済環境・ライフスタイルの変化から通販の最も重要な指標である、広告費に対するレスポンスの低下から、売上もそうですが特に利益が出ないことから苦境に立たされている企業が多くなっています。

通販会社がこのレスポンスを上げるというのは、現在のネットを含む小売市場と購買環境において至難の技ですし、利益構造そのものを根本から変革する必要があります。

私自身が通販・ギフト業界にいた頃の一般商品の粗利率はだいたい50%~55%でした。レスポンスが良かった時代だとこの粗利でも良かったのですが、現在市場環境や、通販とは切っても切り離せない宅配料の増加から合わせると、65~70%にしないと事業としては成立しずらいと考えます。(数万円などの高価格帯で、粗利率は低くても粗利額が大きい商品を扱う場合は少し変わりますが)

製品原料の高騰、物流費の増加、ネットなど小売プレーヤーの拡大の中で、30%未満の仕入れ率なんか到底無理、まして販売価格を単純に値上げすればもっと売れなくなる、では仕入業者を買い叩くか・・・。とても困難なことですね。

先に挙げたような大手の通販・ギフト企業だとその構造改革は組織が大きくビジネスモデルが確立されているため、非常に困難を極めますが中小企業の通販・ギフトだと今から通販事業をスタートさせる会社であればもちろんですし、すでに着手していても規模の小さい分、変革はやりやすいはずです。

まず65~70%の粗利確保は単純な仕入ではほぼ不可能でしょう(健食などを除いて)。ですのでまずオリジナルでの商品化が必須です。

自社が製造メーカーでない場合はOEMです。要するに自社で販売価格を決められる状態を作ることからでないと粗利を確保できません。ですので製造ロットなどのリスクは伴いますが、これが達成できなければ自社販売であれ、卸販売であれ成功は難しいでしょう。

卵が先か鶏が先か。特に中小規模の通販事業の卵はまず商品です。これを生み出す鶏が事業を運営するあなたの会社です。自家需要であれギフトであれ、この卵をどうヒナに育て、いい餌をやり、質の高い鶏に育てるかで事業の運命が決まると言っても過言ではありません。

ただし、単純に原価250円/販売価格500円の商品を、いきなり1,000円に値上げして売ればいいという話しではありません。1,000円で販売するために原価250円に100円を足して350円にする。その100円のコストアップで1,000円で販売してもおかしくない付加価値をどう加えて、お客様にご納得いただける、購入後もご満足いただける商品にするかです。

製品そのもの、ストーリー、ネーミング、パッケージング、デザイン。これらの比重、バランスを商品設計段階から熟考し、練り上げることで新商品開発からだけでなく、既存商品のブラッシュアップからでもこの構造に生まれ変わらせることは可能です。

また、この形が作れれば卸販売においても今まで卸掛率50%だったところを40%や45%での提案が可能になり、販売先の検討テーブルに乗りやすく、採用も決まりやすくなります。

市場環境はこれからも急速に変化していきます。が、商売・ビジネスの利は粗利からでしか得られないことは変わりません。

競争激化のネット通販ではコンバージョン、旧来の通販ではレスポンス、いずれにしても新しい時代、現代のギフト・通販の絶対成功条件かつ最低条件は、様々な施策の前に、商品そのものの利益構造をどう組み立てるかからでしかありません。

あなたの会社の扱う商品の粗利率は今どうですか?

既存商品、新商品開発、双方の利益構造を見直してみませんか?

 

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