トップ > コラム > 商品を復活させる特効薬

商品を復活させる特効薬

  商品リニューアル 古崎千穂 SPECIAL
古崎千穂 SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング 代表 古崎千穂

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

既存商品サービスが売れない。すなわち、会社がスランプに陥っている。そんな時はついつい技術的なノウハウに走りがちです。今までどおり、広告やダイレクトメール、チラシなどをツールに新しい販促案を実施したり、時間とお金をかけられる場合は、ネーミングを含めたパッケージのリニューアルなどをリニューアルするというのが一般的な考え方です。

スポーツの世界と同じように、スランプの時こそ求められているのは「基本にかえる」姿勢です。お客様が求めているもの、欲しいものは何か、というこの一点について集中して考えることです。これを「言葉」通りに考えてしまうのであれば「欲しいもの」となってしまい、マーケティングをかじっておられれば「ニーズでしょ」とか「マーケットインでしょ」という話になって、どこかからの市場調査をひっぱってきて、、、、という展開になるのだと思います。

高度経済成長時代にあった昔はそれで充分に通用してきました。マーケティングのことをまったく知らない、または活用していない企業にとっては、基本的なマーケティングの基礎を知ることは商売をしていく上で欠かせない知識です。

しかし、今の時代は手垢のついた言葉で表現すれば「顧客の多様化」です。かつての多様化は「十人十色」という意味でした。今の多様化はさらに進化しています。「十人十色」から「1人10色」を意味する多様化です。例えば住まいについて、かつては“団地に住みたい”から“マイホームが欲しい”といった「みんな一緒の願望」の時代です。やがて「住むなら一軒家よりマンションが良い」「マンションは投資に回して田舎暮らし」とか「古民家をリノベしたい」など、「住まう」ということひとつとっても、さまざまな価値が選べる時代になります。

さらにインターネット環境が整うことで一人一人が買い物の入口を「リアル店舗」と「ネット店舗」に持つことができるようになりました。それぞれに暖簾をくぐると、さらにお気に入りのお店があります。買い手は自由に気持ちを使い分け、リアル店とネット店それぞれのお店で楽しみながら自由にショッピングする時代を迎えています。リアル店舗を通して家を持つ願望を満たしたり、ネット店舗からインテリア雑貨を探したりと、願望の満たし方が多岐に広がっています。

そういう時代だからこそ、小手先のテクニックでは「お客さんに伝わらない」し「選んでもらえない」時代になっています。前回のコラムでも「伝わる」ということについてお伝えしてきました。ここが商品サービスの基本で、伝わってはじめてお客さんが「あっ自分に関係ある商品なんだな」と感じたところから、すべてのプロモーションがスタートします。お客さんの「欲しい」世界を商品サービスとしてアウトプットする、ということが全ての基本となります。では、お客さんの欲しい世界とは何か。

最近のニュースから「大阪万博開催」に注目してみましょう。2020年の東京五輪に続き、2025年国際博覧会(万博)が大阪市で開催されることが決まりました。新聞をはじめとするテレビなどのマス媒体では「あの夢よ、再び」というキャッチフレーズが踊り出しました。今の時代は、目に見えない「考え方」「概念」「価値」のリニューアルを無意識に求めている人の心があります。かつて見た「夢」、その夢を見たい心理とはどういう心理なのか。御社の既存商品サービスをリニューアルしようとお考えの時、カタチだけではなく、目に見えない部分のリニューアルをすることで、今のお客様に心理にフィットし売れていくケースがたくさんあります。

例えば「時短(じたん)」という言葉があります。最近、さまざまな商品サービスのショルダーコピーに使われています。時短家事、時短家電、時短〇〇、、、便利でうれしいこととして価値をつたえる言葉です。新しい言葉を研究している日本語学者の飯間浩明氏編纂の「三省堂国語辞典 第七版」で「時短」を調べると「(労働)時間短縮」と説明されています。そして例文には「時短推進」と「朝の時短スキンケア」と書かれています。

時短のそもそもの意味とは「労働の時間短縮」を意味します。いまの時代だったら働き方改革で「時短推進」はポジティブ。また「朝の時短スキンケア」もと共働き世帯が増加している今、女性にとってはうれしい機能でポジティブです。

しかし「時短」という言葉、15年前はむしろネガティブなニュアンスがありました。それはわたくし自身が「時短社員」でしたのでからリアルに感じることです。当時勤めていた会社が、子育て中の女子社員に対して数時間の時間短縮制度を導入していたのです。走りは資生堂など女性客を顧客に持つ大手企業で、いちはやく「時短制度」を取り入れマスコミなどで取り上げられていました。中堅企業がそのあとに続いたわけですが、大手企業とは異なり、常に人手不足の現場で、今ではあってはならないことですが人事部から「介護社員と子育て中の時短社員は会社のお荷物です」とはっきりと言われる時代でした。わたくしはその時から「時短」というワードにはジメッとした黒さを感じていました。

しかし、しかしです。15年経ってそんなことはすっかりなかったかのように、わたくし自身が「時短」という言葉を使っています。一般的にも「時間を短縮し余った時間でゆとりを」といったニュアンスで、ライフスタイル商品に使われるようになりました。「時短家電」「時短レシピ」「時短メイク」等々が生まれ、新しい商品カテゴリーを創造しています。まさに「考え方」「概念」のリニューアルによって、新しい市場を創り出した成功例です。このように、いま現在のネガティブな「言葉」や「考え方」をポジへと反転させることで、新しい市場を創ることができます。ゆえに、まだまだ発見されていない「新しい市場」がいく通りにもあるのです。

わたくしのコンサルティングでは「思ってもみなかった! 」「考えたことがなかった!」といった、第一声の多くに「!」がつきます。一般的には「時代が複雑になって・・・」という口上が多い世の中ですが「だからこそノウハウ」「だからこそツール」ではないんです。複雑だからこそ「シンプル」へ。複雑だからこそ「基本にかえる」、です。わたくしたち生活者は「時短」も好きだけど、「手間ひまかける」ことも好きですよね。人間って〇〇だけど〇〇。そのふたつの矛盾した〇〇をどれだけ広げて深めてゆけるかがわたくしの商品リニューアルの秘伝です。

考え方の環境を変えましょう。ずっとおなじ環境で考え続けていませんか。限られたアタマの中で考えていませんか。考え方の環境が変わるといろいろな人と出会えます。出会う人が変われば停滞していた思考の突破口が見えてきます。使い古された言葉を断ち切って、真っ白い紙の上に、御社独自の商品リニューアルを描いてゆきましょう。なんだかわからないけれどその商品サービスを使うことでお客さんがニコニコしている、並んでまで買っている、頼まれもしないのにSNSで愛ある発信をしている、そんな商品やサービスがありますよね。それらは、お客さんに伝わっている商品やサービスです。スランプの時には、技術の立て直しよりも先に「マインド」のたてなおしです。お客さまの「心」を満たす商品サービスとは何か。御社の商品サービスの基本に立ち戻ることです。

 

当コンサルタント開催セミナーがあります。

【社長直轄】商品リニューアルの着眼点
古崎千穂

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング代表

古崎千穂

執筆者のWebサイトはこちら https://rbnc.jp/

当社の関連商品を販売しています。
月刊誌(無料)登録フォーム

×