市場特化戦略の成功と失敗を分ける分水嶺とは | 日本コンサルティング推進機構

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市場特化戦略の成功と失敗を分ける分水嶺とは

SPECIAL

波及営業コンサルタント

有限会社 日本アイ・オー・シー

代表取締役 

取引先のネームバリューで次々に新規開拓を実現する「波及営業戦略」を体系化した辣腕コンサルタント。特に技術系のメーカー企業や、特殊な加工、取り扱い品、異色サービスなどを手掛けている企業の販売戦略の再設計、大きく売れるようにする仕組みづくりに定評。

「藤冨先生が来てくれて10年ぶりに利益が出ましたよ」 

身内にもお金を借りて大変な思いをした社長が酒の席で回想録を語ってくれました。

同社は、社員数10名未満の零細企業ですが、社長の持つ極めて高い技術・ノウハウで長年市場に貢献していた素晴らしい会社です。 

本来であれば競合となる会社からも「これは作れない」と協業を依頼されるほどの企業。

実際、私も取引先メーカーの担当にインタビューして、その真意が分かりました。

「わかっていても出来ないです」と、同社の社長のノウハウにすっかり敬服していたのです。 

その瞬間に「この企業は絶対に伸びる!」と確信しました。 

しかしながら、圧倒的な技術力を持つ同社が、何故10年間も鳴かず飛ばずの状態に甘んじていたのか?

伺えば、滞納した社会保険料だけで●●万円、〇〇が●●万円、とかなり深刻な経営状態だったそうです。 

低迷の原因は明らかに「プロダクト思考」であったことが主因。

事業を持続的に安定成長させるためには、「コンセプト思考」でなければなりません。 

どうゆうことか?

同社を事例にして解説していきましょう。

 

同社は、以前「燃料電池の評価装置」を開発・製造していました。

事業を開始した時には、目のつけどころが当たり、ちゃんと利益を出していたそうです。

ところが、市場の潮目が変わり、パタリと注文がこなくなった。

プロダクトに絞る怖さがここにあります。 

中小企業は、特化戦略が重要であることは間違いないのですが、プロダクトに特化すると市場の流行り廃りによって、自社の業績も振り回されてしまいます。 

従って、プロダクトで絞るのではなく、コンセプトで絞るという視点が大切なのです。 

コンセプトで絞るとは、どうゆうことか?

本コラムを通読されている方は、すでにお分かりかも知れませんが、顧客が受け取る「価値」で事業を絞り込むことが、コンセプトで絞り込むという概念になります。 

同社は、評価装置の開発、製造会社ですが、「燃料電池」に絞るのではなく、精密にコントロール可能な温度、湿度環境を提供するという価値で絞り込むことが、コンセプトで絞り込むことになります。 

ちょっと分かりにくい概念だと思いますので、イメージをしやすい例をあげてお話します。 

例えば、カメラの望遠レンズを製造しているメーカーは、品質保証をするために、様々な実験をします。 

エベレストの写真を撮ろうとプロのカメラマンが重い機材を背負って、頂上まで行った途端レンズが曇ってしまったら、大変な損失に繋がります。

旅費や登山許可料など諸々700万円程度の実費だけでなく、雑誌社との約束期日までに成果物が提供できず、信用問題にまで発展します。

従って、レンズメーカーは、どのような環境の時に、どのような状態になるという実験を繰り返さなければなりません。 

様々な「温度」「湿度」の状態を作り出し、製品の評価テストを繰り返し、品質を保証するわけです。 

レンズメーカーはあくまでも一例です。

他にも、温度や湿度によって、製品に不具合が起きたり、材質が変化してしまうと困る会社は山ほどあります。 

車の部品メーカー。

家電メーカー。

薬や塗料など、粉体を商品とするメーカー。 

様々な企業が、品質を保証するための条件をテストしているわけですが、同社は、この環境を作り出すプロ集団です。 

決して、燃料電池を評価するだけの技術を持っている会社ではないのです。 

燃料電池は、効率性、機能性、安定性で、より優れた技術が登場してきたら、需要は細ってしまいます。

しかし、温度や湿度の状態変化が起きる中で、品質を保証しなければいけない企業の需要は、細るはずがありません。 

逆です。 

さらに、需要は拡大していきます。 

スマホだって、車だって、そこに入っている部品は、より小型化・高性能化していきます。

また、最近の日本は亜熱帯化が進んでいると言われています。

環境が変われば、品質保証の範囲もリセットする必要があります。 

時代を考察すると、どう考えても需要は拡大するばかりです。

商売は、需要と供給で安定性や事業規模が決まりますが、需要面からみると、今後さらに伸び代は増えていきます。 

また、供給面は上記の通りの競争相手となるはずの企業からも、「OEM供給して欲しい」「御社のブランドのままで良いから代理店営業させて欲しい」と言われるほど、供給面では独占できるほどのノウハウと技術力を持っています。

どれだけ甘く見積もっても「成長」の二文字しかありません。 

コンセプトで絞るというスタンスを固め、商談が自動的、継続的に入ってくる「見込み客の集客エンジン」を稼働させていますが、来期の受注案件も着実に入ってきています。

今年受注した太い取引先からの継続受注も見込まれるため、もうすでに今期の数字にさえ不安要素がありません。 

これが、コンセプトで市場を絞って成功している典型例になります。

御社の事業は、コンセプトで絞り持続的な成長を描けていますでしょうか?

 

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