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SDGsで「選ばれる会社」になるには

SPECIAL

オルタナティブ経営コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

「西田先生、講義を聞いてSDGsのことが少しずつ分かってきました。業績に直結する話だと分かって、社内の若手も問題意識が高まってやる気を出してくれているようです。」私を駅まで出迎えてくれた指導先の責任者が、会社までの道を運転しながら問わず語りで聞かせてくれました。

今月で採択されてちょうど丸5年になる国連のSDGs(2030年のための持続可能な開発目標)ですが、最近は日本社会でもだいぶ浸透してきたことを感じます。しかしながらビジネスの世界では、そのポテンシャルを生かし切っている事例に巡り合うことはまだ決して多くありません。

とりあえず、SDGsが「良いこと」であるらしいという認識は漠然と共有されているようですが、やれ17のゴールだの169のターゲットだのと、その構造が複雑なことに加え、貧困対策・人権・環境・経済など実に多様な内容が同梱されているため、どうかすると学び始める前からアレルギー反応を起こしてしまう例も少なくないのです。ではどうすればSDGsを生かしてビジネスの発展を確実なものにできるのでしょうか?私はいつも、そこには3つのカギがある、と言っています。

1. SDGsとは、すなわち持続可能性を高めるためのツールであることを理解すること

あれこれ異なる中身がてんこ盛りになっているSDGsですが、そもそも何のために作られたのか?どうしてそんなに大事だと思われているのか?と言う点に思いを馳せてください。最大の課題は「持続可能性」というコトバに集約されます。

地域そして日本の社会・経済・環境の持続可能性(当然ですが、あなたの会社も含まれます)、人類社会、そして地球の持続可能性。そのいずれもが大きな危機を迎えようとしていること。その時代をどう生き延びるか?と言う課題は今を生きる人すべてに課せられた共通の課題とも言えるのです。

共通の課題解決のため、国連が提供してくれた共通のツール、それがSDGsなのだということを明快に認識することがまず重要です。なにせ御社のクライアントにとっても「持続可能性」は重要な課題なのですから。

2. 経営者はSDGsが一つであることを常に意識すること

陥りがちな失敗として、よく「17のゴール、169のターゲット」に絡めとられてしまう例を目にします。そんな複雑な認識は不要、「SDGsもまた一つのツールである」と割り切りましょう。

持続可能性を高めるためのツールとしてのSDGsを尊重し、実践することはそれだけで意義ある取組みですが、その複雑極まりない中身をあれこれ一社で全部実施する必要は、実は全くありません。もともとSDGsは、地域の異なる参加者がその成果を持ち寄り、社会全体として達成に向かうことを想定して作られているのです。

中身を読んでみればわかりますが、環境屋の多くが「SDGsの重点は環境だ」と思っているのと同様に、社会問題に関わっている方々は「SDGsは社会にフォーカスしている」と思い、防災や土木に関わっている人から見れば「SDGsのポイントは防災だ」という側面さえ持ち合わせているのです。

そのうえで、会社として「良いこと」を堂々と実践してお客様に選んでいただくのが経営者の関心事項だとするなら、取り組むべきポイントが絞られていても全く構わないのです。自社に合うターゲットを探し出して、そこを徹底的に鍛えてください。それを一まとまりの、御社にとってのSDGsと捉えます。そしてそれを、可能な範囲で地域の方々と共有いただくこと(これが出来て初めて「SDGsに参加している」と言えます)。

一人で全部やろうとすると途方に暮れるSDGsも、地域で・国で・ひいては世界で取り組むことで一つの共通目標に向かうのだというその仕組みをしっかりと理解することこそが経営者に求められるスタンスです。
 
3. 社員の中にプロを育てること

地域の方々と一つになって共通目標を語ると言う部分は、プロとしてSDGsを担当する社員に任せるのが良いでしょう。経営者がその限られた時間を使って対応するには、SDGsはあまりに中身が込み入っているからです。

2015年の9月に採択すると言う締切りに追われる中、その中身が体系化されているわけでも、論理的に整理されているわけでもなんでもない状態のまま、SDGsは見切り発車で世の中へと送り出されて行きました。それでも「誰一人取り残さない」ことを標榜し、これまでの5年間を何とか乗り切って来られたという実績は「実用に耐える」ことを証明していると言えます。社内に一人、その中身に精通した担当者を作ることで、経営者のスタンスと世の中の標準が乖離することを予防してください。

 

社会がコロナ禍への対応に向かって日々変化しているのと同じように、SDGsを取り巻く環境もまた時々刻々と変化しています。すでに欧州がコロナ禍からの復旧復興は環境に配慮したものであるべきこと(グリーン・リカバリー)を打ち出していますし、OECDはコロナ前後で「政策の安定性(Policy coherence)」を尊重することを呼びかけています。

これらの考え方を見ると、コロナ禍など短期的な環境変化にブレることなくSDGsへの対応を取ることこそが重要である、ということがわかります。国や大企業、金融機関の多くがこのような視点を共有するように、急激に変化しつつあるのが2020年夏の日本です。

その変化を捉えてクライアントに選ばれる会社へと飛躍する、次はあなたの会社の番なのです。

 

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