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商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

経営や、商品の人気がかんばしくない社長の話には共通項があります。それは、一般生活者である「お客さん」が、自社や商品に対してどう思っているか、ということに関心がないということです。驚くほど興味、そして関心がありません。そして、一般生活者に話を聞くという方法を持っていないということです。「お客さんに話を聞く」ことを、明らかにバカにしている社長もいます。

お客さんの話も聞かずに、何を頼りに商品リニューアルするのか。頼みの綱は「社長のカン」です。プロフェッショナルとしての「専門性」や、今まで営んできた企業の「プライド」です。自社のプライドや業界特有の思い込みなどが先行するので、リニューアルすればするほど、生活者からは「自分に向けた商品ではない」となってしまい、ますます売れなくなってしまいます。「お客様がそれを欲しがっているか? 」という視点がないゆえの結果です。

前職の洋菓子メーカーに、「ジャンボシュークリーム」という主力商品があります。手のひらにすっぽり乗る大きさで100円ほどのコスパ商品です。創業時からのロングセラー商品で、かれこれ70年ほど売れ続けています。ヒットの秘密は、お客さんの声に耳を傾け、都度わかるかわからないようなレベルの微細なリニューアルを行っているからです。

「ジャンボ」に求められる意味は、時代のお客様によって異なります。日本における「1年」というサイクルで考えれば、春・夏・秋・冬に求められる食感や味わいがあります。初夏から夏、初秋にはさっぱりとした味わいを人は好みます。一方、冷房で「冷え」に悩む風潮が出ていれば「濃い」味わいをあえて仕掛けることもあります。

夏が終わり涼しくなってくると、人は「芋・栗・かぼちゃ」を求めはじめます。カスタードクリームも“ほっこり”を感じさせるような配合にすることがあります。そして、暖房で汗をかいてしまう冬であれば、おウチで楽しむジャンボシューは、さっぱりとした口当たりが求められます。ここでまた配合を変えてリニューアルします。

「大きさ」というフレームで考えれてみましょう。メインのお客様が20代だったとして、10年、20年の時が流れることで、30代、40代、50代になっていきます。そうすると、「大きさ」の意味が変化します。シニアに近づけば食べられる量が減るので、「もう少し小さい方が嬉しい」となります。こうして商品全体の設計をリニューアルすることもあります。

一方、若い世代に強く販売していく方針であれば、若者の健康志向に耳を傾けて、例えば糖質オフや植物素材への切り替えなど、原材料を見直すリニューアルが求められます。

「だれに・なにを・どのくらい」買っていただきたいか、という商品企画の軸が一貫しているのはもちろんですが、そこには必ずそのリニューアルは「お客さんが求めていることなのだろうか?」の視点が必要不可欠です。

よくあるのは「ジャンボシュークリーム」の「ジャンボ」を強みとし「大きくする」ことにこだわってみたり「コスパ」の方向に挑戦してみたり、お客様の心と離れた商品リニューアルに走ってしまうことです。

自社商品サービスがお客さんにどう映っているかを認識していないことが、不人気の秘密です。お客さんから見た「ジャンボシュークリームって〇〇だよね」の、〇〇を見失うことによってギャップが生まれます。このギャップが、お客様の心を冷やしていきます。必ず相手から見た自社商品サービスの〇〇をキャッチして、商品サービスのポジションを発見しなければなりません。

話が少し変わります。最近クラウドファンディングのご相談をいただきます。商品をリニューアルするにあたって、資金調達を目的とした「クラウドファンディングをしてみたい! 」と。ここにも大きな間違いが生じています。企業視点でみれば「資金調達」です。が、一般生活者にとってクラウドファンディングとは「通販」です。通販ですから「商品サービス」を手に入れるという考え方になります。

SNSやダイレクトメッセージで「クラウドファンディングはじめました!」という発信をくりかえします。受け手にとっては通販なのに、一方的に「協力」や「応援」をお願いされてしまいます。企業側は「応援消費」という言葉に甘えています。お客さんは口には出して訴えませんが、押し売りは嫌いです。

受け手にとって、クラウドファンディングは「買い物」です。その商品サービスを買ったらどんなうれしいことがあるのか。どんな喜びがあるのか。そのイメージを伝える「ものがたり」が必要不可欠です。この「ものがたり」を「コンセプト」と言います。コンセプトは商品サービスの「魂」です。コンセプトという魂を吹き込むことによって、その商品やサービスにお客様の心が動かされるのです。

本来、ヒットする商品サービスには「魂」があります。匂いとか、波動を発しています。コン魂(コンセプトという魂)によって、摩訶不思議な力が商品に宿ります。受け手に伝わる商品サービスに生まれ変わります。

経営者とは「自ら変化を起こす人」です。変化を起こす人は好奇心の塊です。時代への好奇心、人間への好奇心、お客さんへの好奇心。その基盤にあるのが、自社への好奇心です。

自社の強さも弱さも知ることです。特に弱さを知ること、できないことを知ることが重要です。弱さが非常に大切です。そして自分という存在、自社という存在を愛すること。ここを根拠地とした時、はじめてお客さまに「自社が関わっていく意味」をメッセージとして伝えることができます。

自社にしか発せないメッセージ、商品やサービスでお客さんが「うれしい」や「たのしい」、「わくわくする」といったよろこびを感じた時、お客さんの潜在的な気持ちが開花します。「こういう商品に出合いたかったんだ」と、お客さんの心に「意味」が生まれます。お客さんにとって、御社の商品サービスが、かけがえのない意味を持つことになります。

商品サービスとは、自社からのメッセージです。受け手であるお客さんと、コミュニケーションするためにあります。お客さんへの「愛情」が問われています。「自分が自分が」となっていたり「わが社わが社」といった一方的なメッセージは伝えても「伝わらない」のです。

メッセージを伝える力が御社にはあります。しかし今はまだ、無いかもしれません。物事には基盤が必要です。しっかりとした考え方の土台があって、行動が積み重なってゆきます。わたくしどもは、社長の闇雲な行動力が大好きです。しかし「伝わる」ことに関しては、とくに基盤となる考え方が必要不可欠です。伝わることにこだわるなら、闇雲ではいけません。真の変化を起こしてゆくために「伝わる」技術を磨いていきましょう。

 

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