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“新しい名前”で2倍3倍売る方法

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

新しい商品やサービスに着手したいと考えているのに、なぜか先送りになってしまう。そんな中小企業経営者のボヤキを耳にします。最近では、「新商品を出しても、似たような商品で埋め尽くされてしまう。お客様の目がいっそう厳しくなっている」という声が増えています。

こうしている間にも、外部環境が刻々と変化しています。特にテクノロジーの進化は、わたしたちの想像を超えていて、何をどこから、どう考えて良いのかわからない、と駆け込んでこられます。

一方、こうした変化の中にあっても、変わらないものがあります。それは、わたしたち「人間」です。「心とは何ですか? 」と、だれかに問われたら、あなたは説明できるでしょうか? 「意識」についてわかるように説明して、と問われたら、明瞭にこたえることができるでしょうか? 

人間は、自然の一部です。わかっていないことだらけです。人は合理性に欠けていますし、ミスを犯します。自分の感覚や感情で行動してしまう泥臭さがあります。2500年前に書かれた「論語」でも表されているように、人間はむかしから、そんなには変わっていないのです。テクノロジーが進化すればするほど、そのギャップが拡がるでしょう。

翻って、あなたの会社がこの先、「人間」に向かう商品サービスをつくると決意しているのであれば悲観することはありません。チャンスはいくらでも生み出すことができます。「商品リニューアル」という考え方を活用すれば、豊かな世界がひろがっています。今ある商品サービスを進化させることで、より多くのお客様を幸せにすることができます。

新しい名前をつけることの極意

商品リニューアルとは、既存商品に「新しい名前をつける」ことです。なんだ、そんなことか、とあなたは思うかもしれません。しかし「名付け」とは、カタチのない世界に新しい縛りをつくること。新しい世界観を誕生させることなのです。名付けとは「魔法」です。今までなかったゼロをイチにするマジックなのです。新しい名前によって、新しいコンセプト(概念)が生まれるのです。商品リニューアルとは、今ある商品に「新しい名前をつけて、新しい仲間を増やしていくこと」です。

ここで少しだけ、想像してみてください。

あなたは、閑静な住宅街にある和菓子店のオーナーです。創業60年、祖父母の代から受け継ぐ味を守っています。人気商品は「餡」です。祖母のレシピで作った大福が一番人気です。しかし最近は、巣ごもり化で、大福人気が落ちています。仕事をしながらでは、大福の粉が落ちて食べにくい、との理由です。他の和菓子も連動するかのように下降気味です。何か新商品を打ち出そうということになりました。

大胆でいながら賢明なあなたは、ゼロから新商品をつくるのではなく、強みである「餡」を生かそうと心に決めます。あなたは、ある日「小豆(あずき)」という字をながめながら、思いつきました。当たり前のように考えていた「小豆(あずき)」という文字。これに、「こまめ」という、新しい名前をつけてみました。

「こまめ」には、こまやかによく働く、という意味があります。少し意味を広げれば、細やかによく頭が働く、細やかによく気がつく、こまめに動くことでいいご縁に恵まれる、健康になる、といった物語が生まれます。

さらに、あなたは、プチサイズの小豆スイーツシリーズを創ってはどうだろうか、と閃きました。「こまめちゃん」というキャラクターも生まれました。「こまめちゃん」という自社の歴史を綴った絵本を創ってみたいと考えました。

一番大切なことは、新しい世界観は闇雲な閃きによって生まれるのではなく、お客様の主観や感覚が源になっていることです。あなたは、「こまめ」の世界観で試作品を作り、お客様にテストマーケティングする必要があります。

時代がどんなに変化しても、商品リニユーアルの対象は目の前のお客さまです。つねにお客さまの視点から、既存商品を視ること、新しい世界観を創ること求められています。

 

「本」に新しい名前をつける

先日、クライアント企業が地元企業を対象にあるイベントを開催しました。専門講師を招き、ユニークな「読書法」を学ぶイベントです。会場には、20代から40代の現役世代30名ほどがリアル会場に集まりました。

最初に講師が、質問しました。「この中で、めったに本を読まない人は挙手して 」と。すると想像以上に多くの手があがりました。そして、まったく読まないわけではなくYouTubeなどで、「本の要約」サイトをよく見ている、というのです。

何より質問した60代半ばの講師も、習慣的に要約サイトを視聴していると言います。「活字を読む」から、だれもが「活字を聴く」時代へと、選択肢が増えていることを実感しました。常識的には、「朗読」を聴いて読書する人は、字が読みにくい障害を持った方や、老人と考えられていました。

一方、リアルの本では「『死にたい』『消えたい』と思ったことがあるあなたへ」という児童書が、子供たちの間で支持されています。パンデミックが続く中、10代後半の家出が増え続けています。親のストレスが高まり、子供の居場所がなくなっていることを示しています。

また、中小企業の社長であれば、だれしも自社の社員には「成長」を望むものです。いかがでしょうか? 経営者であるあなたは読まなくても、できれば社員には「本」を読んでほしい。知識を身につけて、できる社員になってほしいと願ってはいませんか? 

商売には「国語、算数、理科、社会」という4つの基礎力が必要と言われます。なかでも、すべての土台になっているのが、「国語」です。国語は、「文章を読んで、その文脈から、相手の気持ちを想像し、理解すること」に他ならないからです。

商品開発でも、営業でも、人材育成でも、相手の気持ちを読み取り、想像する、イメージできる力が必要不可欠で、「国語」が基本になるのです。活字離れによって、読解力の低下が叫ばれていますが、社員の読解力低下を想像すれば、社長にとっては末恐ろしいものがあります。

こうしたことは、社員教育だけではありません。あなたのご家庭も同じです。お子様の読解力は、基礎学力の土台になります。SNSやネットの時代だからこそ、「国語」の力が子供にも大人にも必要不可欠なのです。

常識的には「本」とは、本屋さんで売っている商品です。しかし、生活者の感覚は異なります。読む「本」ばかりではなく、耳から聴く「本」も、動画サイトで視る「本」もあります。子供の心を癒す薬のような「本」もあれば、教師となる「本」、余白や行間に書き込む主体的な「本」もあるでしょう。

「本」をひとつの工芸と定義すれば、製本の仕組みも知りたくなります。革装の本、古本のメンテナンス、手入れの分野もあるでしょう。インテリアとしての「本」もあるでしょう、世代間の遺産としての「本」もあるかもしれません。

北海道砂川市のいわた書店が考案した「1万円選書」をご存知でしょうか。「読みたいのは、ベストセラーではなく、あなたに寄り添う運命の一冊」、というコンセプトが伝わる命名です。「1万円選書」と名前を付けたことにより、本という商品があなたのために運命の本として特別化しました。店主からの贈り物としてギフト化に成功しています。

株式会社アイ・エヌ・ジーが、関東の高校生男女200名に『流行に関するアンケート調査』を実施しました。今2022年春に流行っている物事の第1位が「ホテル女子会/ホカンス」です。そして、人気のスイーツ第1位が「オーダーケーキ」です。これは、ホテルが提供するとっておきのオーダーケーキです。

ホテルで旅行やテーマパークに気軽に行けないご時世に、新たなイベントとして近場のホテルで集まって、SNSに映える装飾を施し写真を撮ったりパーティーを行います。「ホカンス」は”ホテル“と”バカンス“を組み合わせた韓国発祥の造語です。イギリス発祥のスイーツで高級ホテルの看板的存在だった「アフタヌーンティ」も、あらゆる世代で人気です。

日常が、ウイルスによって「ケ」の、ケガレた世界になっている今、「ハレ」という非日常を満たす商品やサービスが圧倒的に人気です。それほど、生活の気分が変化している中で、2年前と商品サービスのラインナップが変わっていない会社がたくさんあります。あなたの会社はどうでしょうか? 

名前が変われば、パタパタパタと、売り方も、伝え方も、広げ方も変わってゆきます。ひとつひとつの点は、数珠のようにつながっています。どれが欠けても機能しません。商品リニューアルをするということは、新しい名前をつけ、新しい仕組みをつくることに他なりません。名付けと仕組みがセットである、ということを踏まえた上で、商品リニューアルに取り組んでください。新しい名前をつけて、新しいお客さまと出合う機会をつくっていきましょう。

 

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