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モデルチェンジを成功させる社長の考え方

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

外部環境が激変し、これまでのお客さまが戻ってこない、新しいお客さまとの接点が消滅しこれからどうしたら良いのかわからない、新商品の方向性が見えてこない・・・こんなことで困っておられませんか?

わたくしどもが、今いちばんお伝えしたいことは、この現状を打破していこうと強く決意しているのであれば、あなたが過去に一生懸命時間をかけ、心をかけてつくった哲学、経営の「理念」を捨てなさい、ということです。「理念経営」をモットーとしている企業であれば、なおさらのことです。理由はシンプルです。お客さまは、あなたの会社の理念など求めていないし欲しいとも思っていない、からです。

2年にわたる疫病の流行をきっかけに、自然災害や戦争など、さまざまな外部環境の変化が生じています。外部環境の変化に影響をうける生活者は、これまで通りの「価値観」や「意識」を壊し、新しい考え方を取り入れようとする行動が、消費行動につながっています。

2020年以前のトレンドワードだった「時短」。「時短調理」「時短コーデ」「時短〇〇」と、時間を短縮して効率的に回してゆくこと。それによってマルチタスクが可能になることが求められました。

しかし、直近では「時短」を訴求した商品やサービスは逆に売れなくなっています。むしろ生活者が求めているのは「手仕事」であったり、「毎日をていねいに暮らす」ことであったり、「モノを捨てない」思想であったりして、真逆の価値観が支持されています。

これは一例ですが、わたしたち経営者が理念経営にこだわっても、お客さまは、まったく関係なしに、自社商品サービスをジャッジしています。お客さまは「理念」を買っているわけではない、ということを直視しなければなりません。ここを間違えてしまうと、取り返しのつかないことになってしまうのです。

先日も菓子店を経営しているK社長から、今後の商品の方向性についてご相談がありました。K社長は「クレド(信条)経営」を掲げていて、社員一人ひとりに名刺サイズカードを携帯させています。そのカードには「経営理念」や「行動指針」が書かれていて、仕事の羅針盤にせよ、ということです。

そんなK社長ですが、競合店がひしめく地域で、自社ブランドをもう一度見直したいということです。「経営理念を掲げて、行動してきたつもりですが、最近はギャップばかり感じるようになって。自社商品の“本質的価値”がわからなくなりました」と悩まれています。

この菓子店では、創業以来「オーガニック素材」にこだわった焼き菓子(マドレーヌやフィナンシェ、カヌレなど)を専門としています。創業者であるK社長は、長女がアレルギーを抱えていた経験から「食こそ命の土台」と確信したそうです。

やがて「安心して食べられる菓子をつくって、日本の食文化を豊かにしたい」と思いを強め、自社商品を通して食の安全性に気づいてほしい、「人々を啓発していきたい」と考えてきたそうです。K社長は「菓子屋じゃない! 教育産業だと思っていたんです、2019年までは…」と。

K社長は、自社の核を「最高品質の素材」と定めて、値上げをしました。店内にはPOPを貼って、最高品質の素材について訴求しました。販促ツールも素材重視をより強く訴え「価値を感じてくれるお客さまに来ていただこう」とブランディングし直し、リスタートしたのが2019年のクリスマスシーズンです。そこからの社会情勢はご存じの通りです。右肩上がりだった売上が底になりました。

さらに時が進み原材料が高騰している今、節約モードのお客さまに「最高品質の素材」と言ったところでどうなのだろうか、「正直、ハラが決まっていたはずなのにグラグラです」と、従業員の前では決して見せない、弱気なK社長です。

本質的価値は、時代がどんなに変化しても変わることがありません。K社長が設定した「最高品質の素材」が揺らいでいるとすれば、それは本質ではないのです。厳しい言い方をすれば、社長ご自身の「考え方」が足りていないのです。

本質的価値も自社のブランディングも、お客さまが「感じる」ことなのです。お客さまは生きものです。時代も生きものです。刻々と変化しています。昨日のお客さまは、今日のお客さまとは異なります。刹那、この瞬間を生きているのがお客さまです。そのお客さまが「感じる」ことが全てなのです。お客さまに「伝わって」、お客さまが心のなかで感じたとき、はじめて「解」がでるのです。

企業の本質とは何か。それは儲けることです。儲けにつながる挑戦をすることです。儲けることによって循環が生まれ、豊かさがぐるぐると回り始めます。「儲ける」は、企業の中にはありません。市場とつながってはじめて、生まれるものです。あなたの会社は、理念ではなく「お客さま」によって、生かされているのです。

閑話休題、商品リニューアル専門のコンサルティングを提供しているわたくしどもですが、最近、新しい取り組みを始めています。さまざまな企業といっしょに、日本に眠っている、新品で、廃棄される運命にある「着物」のリニューアル(リウェアブランド)を立ち上げました。

和装マーケットが縮み、着物文化が衰退しているのはご存知の通りです。わたくしの伯母も、かつて鹿児島市内で大島紬の織元で、後継者がおらずやめてしまいました。一方、アパレル業界においては、新品の洋服が大量に捨てられていることも知られています。

一方、わたくしどもの商品リニューアルコンサルティングを通して、着物や着物になる前の巻物状の「反物」をたくさん持っていて処分に困っている会社や個人の方と出会いました。そして買取会社も売れない在庫を抱えて廃棄していることを知りました。

そのもったいない状況を活用して、今ある素材から新しい市場を丸ごとつくるのが、わたくしどものコンサルティングです。当然プロセスのなかで、市場に出回っている、着物をリニューアルした商品やサービスを買ってみて、使ってみることを日々実践しています。

さまざまな店から、また個人の作家さんから、商品を買ってみて使ってみて実感するのは、生活者としての感覚です。生活者は、企業や個人の「ロジック」や「理念」で買い物をしているのではなくて、もっと直感的であり本能的であり右脳的、衝動性の中で買い物をしている、ということです。

実際、弊社のプロジェクトにおいて、着物リニューアル商品の数々を買ってみて使ってみたとき、まず最初にその「品質」「質」を価値として感じます。着物の手にとってみて使ってみた時の感覚=「物性」に価値を感じるのです。もちろん価格のバランスを感じています。

次に、商品がつくられた背景、物語、作った人の情熱や思い= 「心」に価値を感じます。やがて、そのモノを身につけ、使いつづけたときに愛着を感じる、愛着を通して「思い出」になっていきます。時間経過による愛着という「出来事」に価値を感じるのです。

物と心と事、この三つが一体となり、積み重なって、商品サービスに価値を感じます。そして、気に入ればまたリピートし、買い物を重ねてファンになってゆくのです。商品サービスの「物・心・事」を通した積み重ねの「体験」をお客さまは購入しているのです。

お客さまが求めているのは、商品サービスを通した「体験」です。「理念」や「ロジック」ではないのです。理念経営をファーストにする理由、それは自社満足です。お客さまが「後回し」になっている、ということです。企業経営者として、絶対に間違ってはなりません。お客さまが先、なのです。自社プロジェクトを通してあらためて襟を正しています。

K社長も然り、わたくしどものプロジェクトも同じです。そして変化に対して考えあぐねているあなたもまた、同じです。何のために企業はあるのか。混沌の時代だからこそ、底力を発揮して回してゆかなければ、衰退の一途です。

儲けて循環させることこそが、自社に関わる人々の幸福につながります。理念経営という美しい言葉によって、自社を甘やかしかわいがってはなりません。むしろ逆です。今までの自社の常識、通念を捨てる覚悟が求められています。儲ける事を打ち出して、力強く商品サービスを磨きあげることが要請されています。理念を捨て、マーケットに出で、刻々と変化するお客さまが真にもとめている価値を直視してゆきましょう!

 

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