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少数精鋭は成り立つのか?NO、理論的に大きく出来ない理由

SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

この日は、WEB系マーケティング会社のH社長との面談です。
事前に頂いた資料を確認すると、年商1億8千万円、創業から8年とあります。
 
 ホームページを拝見すると、そこには腕を組み自信に溢れた表情の社長と他3名の幹部が載っています。
 
 ノックがあり、H社長が部屋に入ってこられます。
しっかりした挨拶から、現状そして事業の方針を聞かせていただきました。
 
 H社長は言いました。
「社員は増やしたくないです。今のままの少数精鋭でやっていきたいです。」
ここにH社の停滞の理由がありそうです。


我々は、なぜ組織を作るのか?
 
 根本的な組織化の目的を確認しておきましょう。
それは、大きく二つあります。
 
 一つは、『規模』です。
規模があることで、大きく儲けることができます。
一つの成功パターンを共有することで、多くの人が生産性を上げることができます。それも、能力の低い人や未熟者でも短期でそれが可能になります。
そして、それを分業します。ある業務をある部署がまとめて受け持つことで、効率と専門性を得ることができます。また業務の難易度を下げることもできます。より能力の低い人や未熟者の活用、そして、多様な雇用形態が可能になります。
その規模は、世間や取引の場で「信頼」を得るための材料になります。
 
 もう一つは『変化』です。
言い換えると「継続性」になります。
変化する顧客の要望や環境に合わせ、事業や仕組みを変化させます。それにより、会社を存続させることができます。
会社の中では、すべてのものが新陳代謝を繰り返していきます。パソコンや机などの設備、申請の書類など、そして、人、すべての物が入れ替わっていきます。
それでも会社は、残っています。また、その事業と仕組みは成長していくことになります。
 
 我々は、『規模』と『変化』を得るために組織をつくっているのです。
その組織によって、会社という器を存続させ、事業を成長発展させていくのです。
 
 逆を言えば、これこそが組織の『定め』だと言えます。
もし組織として『規模』と『変化』を求めなければ、これらの機能は無くなってしまいます。
分業ができないために、効率が高まりません。また、一人の業務範囲は広くなり、優秀な人材が必要になります。そして、人の入替ができなくなります。人材の獲得コストは高く、戦力化にも時間が掛かります。会社としての継続性が失われていくのです。
 
 そして、『変化』をしなければ、すぐに顧客から必要とされなくなります。競合には勝てません。また、仕組みが世の変化についていけなくなります。
徐々に儲からない事業と不効率な業務によって会社の体力が削がれていきます。そして、仕組みの無い中で人が入れ替わっていくことで、益々弱くなるのです。
 
 この「規模も変化も求めない状態」とは、通常の会社では有り得ないことです。
会社を存続させるためには、これを求めるしかないのです。
会社は生を受けた瞬間から拡大と変化が定めとなるのです。


規模と変化、そのための組織。
 
 しかし、実際には、多くの会社がそれを求めるものの、手に入れられずにいます。
組織が作れないのです。
そのため規模を大きくすることができません。その結果、いつまでも一人が広い範囲の業務を担っています。また、部署間の連携が悪く、分業でなく分断になっています。
縦の階層は4つに成らず、社長以下並列という文鎮型のままです。
売上げも社員数も増えては減りを繰り返しているのです。
 
 また組織が作れないために、変化が出来ずにいます。
社内で未来について考えているのは社長だけです。また、問題が起きると社長が指示をだすことで対応をしています。そして、社内で仕組みの改善に取り組んでいるのは社長とごく一部の社員だけです。一方で、変化を起こす主体者であるはずの管理者や社員は、昨日と同じ作業をしています。
これで早く柔軟な変化など不可能なのです。この状態で規模を求め、社長は益々身動きが取れなくなっています。
 
 これは、正に年商数億企業、年商数億円で停滞している会社の状況だと言えます。
 
 多くの会社は、規模と変化を求めているものの組織が出来ないのです。それを得るために時間もお金も多くのものを投じているのに、得られないでいます。
  
 それを冒頭のH社長は、望んでいませんでした。
H社長は「今は十分儲かっており、全員に世のサラリーマンの倍の給与は払えています。今の調子で皆で技術を追求していきたい」と言われました。
 
 そして、少し間があり次の言葉を出されました。
「少数精鋭でやっていきたいです。」
 
 私は、ここまでお聴きして、『規模と変化と組織の関係』をご説明しました。
頭の良いH社長はすぐに理解され言いました。
「だからうちは停滞しているのですね。」
 
 ここ3年は1億8千万円前後の売上です。創業からの幹部3名と事務員1名の構成です。
新たに社員を増やそうと募集をかけるものの、合格レベルを超える者は殆どいません。入社した者も、その後戦力にならず離脱していきます。
 
 「うちは全員の技術力が高く、皆バリバリ働いてくれます。しかし、彼らも当時より10歳年を取りました。」
当時とは、皆で起業しようと決めたサラリーマン時代のことです。
 
 私は、ごく自然に「少数精鋭は成り立ちませんからね。」と口にしました。
H社長はその言葉に驚き「え、そうなのですか。」と訊き返します。
 
 少数精鋭とは、「職人社長一人」の会社とその特徴は変らないのです。
・そのメンバーには、高いクリエイティヴな能力が必要になる。
・大きくする気がないので、仕組化に向かわない(必要性を感じない)。
・全員が一生、作業をする前提である。
そして
・全員が年をとる。そして、一人ひとり抜けていく。その一人の穴を「採用」で埋めることはできない。
職人社長が複数名いるのが少数精鋭なのです。
 
 最後の一つを聴いた時に、H社長は顔を上げられました。
「私の不安はそれだったのです。」
 
 創業当時、全員が30代前半だったのが、今では全員が40歳を超えています。
この日進月歩の業界で、全員がいつまでも付いてこられるはずがありません。
また、自分達が動けなくなった時 イコール 会社は止まるのです。
会社は、消滅することになります。
 
 ここからH社の変革が始まりました。
あれから、4年が経っています。
H社は、年商4億2千万円、社員二十数名の会社になっています。
その幹部3名のうち2名が開発エンジニアとしてスペシャルの道を、1名がマネジメントの道を選びました。彼らは今も活躍しています。
 
 (提言)
組織は、「規模」と「変化」を担います。
それにより会社は成長発展することができます。
今の御社に必要なのは組織です。
組織をつくりましょう。

 

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