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事業が衰退する真の理由

SPECIAL

波及営業コンサルタント

有限会社 日本アイ・オー・シー

代表取締役 

取引先のネームバリューで次々に新規開拓を実現する「波及営業戦略」を体系化した辣腕コンサルタント。特に技術系のメーカー企業や、特殊な加工、取り扱い品、異色サービスなどを手掛けている企業の販売戦略の再設計、大きく売れるようにする仕組みづくりに定評。

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強みをフカン(俯瞰)するとありますが、実際に自社の事業や商品をフカンするのは、難しいと思います。何かコツがあれば教えてください。

先月末に実施したセミナーにご参加頂いた方から頂いた質問です。

マーケティングの著書を読むと「アメリカの鉄道会社はなぜ衰退したのか?」という内容がよく書かれています。

「自家用車や飛行機の発展によって衰退へと追いやられた鉄道会社は、自社の事業を輸送や移動手段とは捉えずに、狭い見方で自社の事業を捉えていたのが衰退の一番の理由…」といったものでした。

要するに鉄道会社の経営陣は、お客様からの視点が抜け落ちていた という事です。

鉄道会社にお客様が求めるものは何でしょうか?

例えば 自宅から友人宅まで移動をするために、お客様は自宅近くの新宿駅から友人宅近くの東京駅まで、移動できる「手段」としての鉄道というサービスに対価を支払います。

しかし、お客様の視点からいくと、新宿駅から東京に移動したいわけではありません。自宅から友人宅に移動したいのです。

より速く、正確に、しかも楽に移動したい。

この速く、正確に、楽に…がお客様が真に求めるものになります。

例えば、鉄道と自動車では、どちらが「速く」「楽に」という効用を満たせるでしょうか?

自宅から新宿駅までは、徒歩で30分かかり、東京駅から友人宅までは徒歩10分。

いくら新宿駅から東京駅までは速く移動できても、ドアツードアの移動時間が自家用車よりも遅ければ、鉄道会社の優位性はありません。

しかも自動車なら歩かなくて済むから「楽チン」です。

また、より速く、正確に…という効用を提供するのは「鉄道会社」と「飛行機」、どちらに優位性があるのでしょうか?

日本の24倍の国土面積のあるアメリカでは、鉄道よりも飛行機の方が、早く目的に着けるのは明らかです。

「速さ」では鉄道では勝ち目がありません。

では、どうやっても鉄道や飛行機に勝てないのか?というと、そんなことはありません。

お客様が求める「コト」や「モノ」をより細かく分けて、自社が有利に戦えそうな土俵を発見するのです。

人が移動している最中をイメージすれば、満たされていない「コト」や「モノ」は、まだまだ発見できます。

例えば、最近ではJALが機内でもWi-Fiを利用できるようにしていますが、つい1年前までは、機内ではほとんど仕事ができませんでした。

ところが、新幹線であれば移動時間中もフルに仕事ができます。

多忙なビジネスマンにとっては、残業を少しでも減らすには、移動時間も隙間無く仕事をしたい…という欲求があります。

そう考えると、単なる移動手段として捉えるのではなく、「動くオフィス環境」という視点を取り入れたら、車内はどうあるべきか…は、まだまだ鉄道会社には工夫の余地があることに気づかされるはずです。

コピー機やプリンターサービスがあっても良いかも知れませんし、電話がガンガンできる個室化も考えられます。

多忙なビジネスマンに「快適な仕事時間を提供する」という効用を「移動空間」にくっつけるのです。

これなら、高いお金を払っても、飛行機ではなく新幹線に乗るサラリーマンが増えるはずです。

自社のお客様は、何を求めているのか…声にならない声を仮説に置き換えるチカラこそ、自社を衰退の道から遠ざけ、持続的に企業を成長させるビジョンを生み出してくれます。

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