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Jクレジットを新しい経営の武器にする

SPECIAL

循環経済ビジネスコンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

循環経済ビジネスコンサルタント。カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

 「西田先生、これは間違いなくウチの新しい武器になります。Jクレジット取得にはぜひ積極的に取り組みたいと思うのでよろしくお願いします。」

 

 つい先日、オンラインコンサルティングを通じて、クライアントの社長から直接伺った感想です。CO2排出量の算定方法を伝授して、その価値が国際的に認められるものであることを説明したところでのご発言でした。

 

 今年の夏は例年以上に厳しい暑さとなり、多くの人々が気候変動の現実を肌で感じています。その影響もあり、企業経営者の間でも「脱炭素」や「カーボンニュートラル」への関心はますます高まっています。しかし、いざ具体的な行動となると「何から始めればよいのか」という声が多く、議論が十分に進まないというのが現状です。

 

 そこで大切なのは、まずCO2排出量の実績値を計算してみることです。現状を正しく把握し、どの施策でどのくらい削減できるのかを見極める。削減量を科学的に算定できれば、それを「価値」に置き換えることが可能になります。ここで登場するのが「Jクレジット」です。削減量を算定できれば、方法論の認証を申請し、認められれば市場で取引可能なクレジットとして活用できるのです。

 

 実は「Jクレジット」制度そのものは決して新しいものではなく、すでにこれまで長い実績を積んできました。ただし、認証手続きに要する時間や労力も少なくないため、これまで大人気の制度とまでは言えませんでした。ところが、2026年から日本でも排出量取引市場が本格稼働することになり、クレジットへの需要は確実に高まると見込まれています。つまり今は、準備を始めるには絶好のタイミングだということです。

 

 一定の規模で操業している企業であれば、具体的なCO2削減策を講じ、その効果を科学的に説明することで方法論の認証を受けられる可能性があります。例えば省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用、あるいは物流効率の改善などを組み合わせれば、削減量を定量的に示すことができます。そのうえで認証を受ければ、削減した量を「Jクレジット」として市場で売却でき、収益につなげることができるのです。

 

 もちろん、こうした取り組みには新しい業務負荷が伴います。データの収集や報告、関係者との調整などは決して軽い仕事ではありません。しかし、それを単なる「おカネ儲けの仕組み」と捉えるのはもったいない話です。業界で率先して取り組む姿勢は、社会的なインパクトを生み、企業のブランド価値や信頼性を大きく高める効果があります。おカネに換算できない価値こそが、長期的には最大のリターンとなるのです。

 

 今回のクライアントさんの場合も、必ずしも方法論の認証が取れるという確信があるわけではありません。むしろこれから役所や事務局を含め、さまざまな関係者との意見交換を経ながら、長い道のりを歩まなければならない状況です。それでもなお「先を見据えて動く」決断をされたという点において、私は社長に対して最大限の敬意を表したいと思います。

 

 「経営者の仕事とは、年単位で何年も先のことを考えることだ。」これは名経営コンサルタント、一倉定先生の言葉です。未来を見据えて準備を進めることこそが、企業を強くし、持続的な成長へと導くのです。Jクレジットの活用は、そのための大きな一歩となります。

 

 これから先、今回のクライアントさんとは、少し長い付き合いになっていくのかもしれません。しかしそれは、未来に向けた挑戦を共に歩むという意味で、とても意義深いことです。CO2排出量を減らし、それを価値に変える。この挑戦を経営に取り込むことは、社会の期待に応えるだけでなく、新しいビジネスの武器を手に入れることに他ならないのです。

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