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脱炭素の可視化がもたらす新しいビジネスチャンス

SPECIAL

循環経済ビジネスコンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

循環経済ビジネスコンサルタント。カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

「西田さん、これはビッグチャンスじゃないですか?」先日、とあるシンポジウムの懇親会でお目にかかった企業経営者と立食でワインをいただきながらビジネスの話をしていたところ、脱炭素の可視化について単刀直入にそんなご感想を頂くことがありました。

 

多くの上場企業が現在直面している課題のひとつに「脱炭素への取り組みをどう見える化するか」があります。たとえば製造流通業大手のある企業では、多くの事業所を対象としたScope1(自社排出)とScope2(購入電力由来排出)の集計に手間取り、毎年の有価証券報告書に掲載するまでに多大なコストと時間を要しています。また、とある製造業の企業では、取引先から集めるサプライチェーン全体のデータがバラバラで、集計を依頼するだけでも社内外の大きな負担となっているのが実情です。

 

他方で、すでに数年前から先行的に取り組みを進めてきた企業もあります。たとえばトヨタ自動車は、自社工場の排出削減だけでなく取引先の部品メーカーと連携し、詳細なCO2排出データをウェブサイトで公開しています。日立製作所もまた、環境報告書に過去10年以上のデータを蓄積しており、その透明性は国際的にも高く評価されています。こうした企業では、単なるCSRの開示を超えて、蓄積したデータを新たな事業機会に転換する動きが進んでいます。

 

この違いが物語るのは、先行している企業はすでに自社の取り組みを「売れる」状態にまで高めている、ということです。具体的には、排出削減実績をクレジット化するプロセスを経ることで、実際に市場で取引可能な価値に変えることができます。削減量を数字で示し、それを国際的な認証スキームに乗せれば、単なる「環境貢献」ではなく「収益源」へと変わるのです。

 

実際に、Jクレジットを活用している企業も増えてきました。たとえばソニー株式会社は、Jクレジット制度で認証を受けた削減量を用いて、自社が使用する電力由来のCO2排出を100%オフセットする取り組みを行っています。クレジットを積極的に活用することで、自社の環境戦略を「数値」として市場や投資家に示すことができているのです。

 

食品大手のキユーピー株式会社も、再生可能エネルギーの導入と合わせてJクレジットを活用することで、年間3,600トン規模のCO2削減を見込み、「ネットゼロ工場」の実現を目指しています。設備投資とクレジットを組み合わせることで、より確実に脱炭素経営を進めている好例と言えるでしょう。

 

一方で、後発企業の多くはそもそも「可視化」とはどのようなプロセスで行うのかを十分理解していません。そのため、データの蓄積や分析が全く進んでいないケースが目立ちます。Excelファイルで集計するにも、社内の組織ごとに担当部署が異なり、数値が揃わないまま時間だけが過ぎてしまうのです。

 

しかし、株式市場や金融機関からの開示要求は年を追うごとに厳しくなっています。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の推奨事項とも相まって、今や「脱炭素の可視化」は多くの大企業にとって共通の課題となっています。

 

では、可視化のハードルは本当に高いのでしょうか。実際にはそうとは言えません。排出量の計算式やデータベースはすでに公開されており、概算値であればインターネット上の情報を活用することで、透明性のある算定が可能になっています。ここから先の問題は計算そのものではなく、その結果を「誰がどう保証するのか」、そして「マネタイズに必要な認証をどう得るのか」という点に絞られてきます。

 

もし素人判断で「えいや」と出した数値をもとにクレジットを発行しようとすれば、信頼を失うだけでなく法的リスクにもつながりかねません。ここにこそ、脱炭素可視化における構造的課題が潜んでいるのです。排出量の原単位は公開されており、個別企業や個人が責任を持って消費量と合算すれば、理論的にはかなり正確なCO2排出量を計算できます。しかし、それを売買可能なクレジットにまで昇華させるには、認証の仕組みと第三者の保証が欠かせません。

 

この谷間を埋めるには、誰もが安心して使える「信頼性の高い計算ツール」の普及が求められます。もし、いつでも誰でも簡単にCO2排出量を計算でき、その計算結果を必要に応じて保証してもらえる環境が整えば、脱炭素の可視化は一気に現実的なものとなるでしょう。

 

実は、このニーズに応える形で私どもが提供しているのが、一般社団法人サステナビリティ技術設計機構によるLCAアプリ「SCAT123」です。エクセルベースのシンプルな設計で、専門知識がなくても誰もがCO2排出量を算出できるようになっています。しかも、必要に応じて第三者保証や認証のサポートも受けられるため、「使える」データへとつなげることができるのです。

 

今や脱炭素の可視化は「企業の義務」であると同時に、「新しいビジネスチャンス」でもあります。開示に追われるだけの状態から一歩踏み出し、数値を資産に変える。そうした企業姿勢が、投資家や市場からの信頼を高めるのです。

 

詳しくは、当社のセミナーで実際の事例やアプリの活用方法をご紹介しています。ぜひこの機会にご参加いただき、御社にとっての新しいチャンスを手にしていただければと思います。

 

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