最適なコンサルティングを今すぐ活用する!

身内親族社員の採用は控えめに、登用は慎重に

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

身内親族社員の採用は控えめに、登用は慎重に

拙著『親子経営の教科書』(マネジメント社)の出版の際、5社の親子経営企業で取材の機会を得ることができた。5社のケースから親子経営企業の経営エッセンスを読み解いた。今日はその第2話。

【身内親族社員の登用、罷免は難しい】

 親子経営企業ではよくある話。創業者は創業時、身内親族に手伝ってもらうことが多い。その後、事業が順調に成長し始める。そうなると、社員を多く雇用することになる。部署長には創業時からいる身内親族社員が就いていることが結構多くなる。

そして、経営者が冷静に観てみると、身内親族の部署長より優秀な社員が結構いることに改めて気がつく。そんな中、普段から,身内親族幹部の部下から多くの不平不満が聞こえることになる。

経営者は身内親族部署長の交代を望むのだが、身内親族ということで簡単に決断できない。このようなことで悩む経営者は多い。身内親族社員の登用は容易だが、罷免、交代は簡単ではない。

 以前、「経営者は人事が苦手」というタイトルでブログを書いている。まず、難しいのが「採用」だ。中小企業なら、社員の雇用にあたり経営者自身が直に面接をすることになる。その際、どのような基準で判断するかは経営者次第であることが多い。

経営者のなかには、人を見る目があるといわれる経営者はいる。逆に、あの経営者は全く人を見る目がないね、と言われてしまう経営者もいる。経営者の人物評価がデタラメであるなら、「採用」面接で経営者が可否を判断するのは控えた方がいい。

また、「登用」も難しい。かつての日本の企業では当たり前であった年功序列により登用されることは少なくなっている。実力、実行力があれば年齢に関係なく責任ある地位に就くことができるようになってきている。

しかし、親子経営企業ではこの「実力主義」が機能しにくい。身内親族を登用したはいいが、成果が出ず、部下からの不満が募っても、簡単に「交代」させられない。家族という感情の壁が立ちはだかるからだ。
 
罷免すれば親族間の関係が悪化し、家庭にまで波及する恐れがある。結果として、経営者は「様子見」を続け、問題を先送りしてしまうケースが少なくない。このようなジレンマに直面する企業は多くある。
 
例えば、、創業者の長男が営業部長を務めていたが、売上目標を連年未達。部下からは「指示が曖昧」「フォローが甘い」との声が上がっていた。父親である社長は内心で交代を検討していたが、「長男を降ろせば、妻(母親)が悲しむ」「兄弟間の不和が深まる」と躊躇する。
 
結局、数年放置した結果、優秀な中堅社員が数名退職し、業績に深刻な影響が出たという。こうした事態を避けるためには、親子経営特有の「仕組み作り」が不可欠だ。まず、評価制度の明確化である。
 
親族も非親族も同じ基準で業績評価を行い、昇進・降格のルールを文書化する。感情ではなく数字と事実で判断する土壌を整えることが重要だ。次に、第三者の視点を取り入れる。社外取締役や外部コンサルタントを招き、人事に関する客観的な意見を求める。
 
家族だけの閉じた議論では、どうしても感情が優先されてしまう。「このままでは非親族のモチベーションが低下する」と率直に指摘することで、ようやく身内幹部の配置転換が決まったということもある。
 
親子経営の強みは、迅速な意思決定と長期視点にある。だが、それを活かすためには、身内への「甘さ」を自覚し、厳格なルールでバランスを取ることが肝要だ。優秀な非親族社員が「この会社で頑張れる」と思える環境こそが、持続的な成長の鍵となる。
 
私自身が身内親族社員の処遇で大いに悩んだことがある。親父が自分の甥、娘婿をそれぞれ部署長に就けていた。ひとりは営業部長、もうひとりは業務部長、さらにもうひとりは工場長という具合に。
 
彼らは私よりひとまわり年が上の世代だった。私が大学を卒業し入社した時にはそれぞれがその職に就いていた。入社後、しばらくすると段々と社内の人間関係や状況が少しずつ見えてくることになる。
 
彼らの部下に彼らより優秀な社員がいることに気が付くことになる。いつかは彼ら優秀な社員を各部署長にしなければと若い私は密かに思っていた。私が自分の願った人事を実現できたのはそれから10年近く経ったころであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

コラムの更新をお知らせします!

コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。