「すごい」と言う会社ほど選ばれない理由
先日、ネット関連のビジネスをやっている方と話をする機会があり、「これからはSEOではなくAIOの時代ですよね」という話で盛り上がりました。検索エンジンに最適化して上位表示を狙う時代から、AIに選ばれるかどうかが問われる時代へ。SEOに頭を悩ませてきた身としては、正直なところ、少し肩の荷が下りたような気もしています。
とはいえ、新しい言葉が出てくると身構えてしまうのも事実。AIO、つまりAI最適化。検索されるだけでは不十分で、AIに「好かれる存在」にならなければ、実質的に存在しないのと同じ、というわけです。ここだけ聞くと、また新しいテクニック競争が始まるのかと思いますよね。AIに好かれる書き方、AIに評価される構造をめぐっていろいろな人がいろいろなことを言うようになる。
ところが、どうも話はそれほど単純ではなさそうです。
AIが参照するのは、一人称の主張ではなく、三人称の評価だと言われています。つまり、「うちの会社はすごい」と声高に叫ぶ自己主張ではなく、「あの会社はいい」と他者が評価している情報の方が重視されるのだと。
これ、どこかで見たことがある構造だと思われた方もいるのではないでしょうか。そう、かつての被リンクの世界です。権威のあるサイトからリンクされることで評価が高まるというあの仕組み。ただ、その後どうなったかというと、人為的にリンクを増やすビジネスが生まれ、アルゴリズムとのいたちごっこになりました。
SEOの歴史は、ある意味この繰り返しでした。評価されるための技術が生まれ、それを攻略する手法が生まれ、そしてまたルールが変わる。もし今回のAIOが同じ道をたどるのであれば、また同じことが起こるのでしょうが、私は少し違う景色になるのではないかと感じています。
なぜなら、第三者評価というものは、操作しにくいからです。
もちろん、口コミやレビューを操作しようとする動きはこれまでもありましたし、これからもあるでしょう。ただ、それはそれで見る人が見ればなんとなくわかってしまう。さらに、「口コミやレビューなんて、半分ヤラセ」という認識が広がれば、結局のところ、本当に評価される企業やサービスが浮上しやすい構造になるのではないかと思います。
ここで改めて考えさせられるのが、「選ばれる」ということの本質です。
ウェブサイトが普及して以降、実態以上に立派に見せる情報発信が功を奏する場面もありました。これは必ずしも悪いことではなく、企業が目指すべき未来像を先に提示するという意味で価値ある側面もあります。
ただし、それが単なるハリボテであった場合、話は別です。実態の伴わないイメージが技術的に増幅されると、顧客との関係性は歪みます。そして、その歪みを是正する力として、AIが機能し始めているのだとしたら、それはむしろ歓迎すべきことです。
第三者からのポジティブな評価を得るためには、やるべきことは極めてシンプルです。顧客の課題を解決すること。働く人にやりがいを提供すること。関わる人たちにとって意味のある価値を提供すること。
自分で「すごい」と言うのではなく、周囲から「すごい」と言ってもらえる状態をつくる。そのための行動を積み重ねることが、結果として評価につながる。
これは、ある意味とても当たり前の話です。他者にとって価値のある行動をとることが、自社の評価に直結する構造になる。結果として、「相手にとって何が良いか」を考える企業が有利になる。
第三者からの高い評価を得ること。それが、これからの時代における最大の競争力になります。そしてその評価は、対象となる顧客や人材の要望にどれだけフィットした商品・サービスを提供できているかによって決まります。
つまりは、相手にとって価値のあるものを、きちんと提供すること。拍子抜けするほど当たり前の話ですが、その当たり前が最も重要になる時代が、いよいよ本格的に始まったということなのだと思います。
さて、あなたの会社は、その「当たり前」をどこまでやりきれているでしょうか。「選ばれる仕組み」をきちんと作り込んでいますか。
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