透明資産経営|なぜ、やる気を出させようとするほど社員は冷めるのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー発破をかけるほど、社員の表情が曇っていく
社員のやる気を引き出したいと願う経営者ほど、さまざまな手を打ちます。目標を掲げて発破をかけ、達成すれば報奨金を出し、社員同士を競わせ、朝礼で熱く語りかける。「もっと頑張ろう」「やればできる」と励まし続ける。──こうして刺激を与えれば、社員はやる気を出すはずだ、と。ところが、現場の反応は、期待とは違います。発破をかけても、社員の表情はかえって曇る。報奨金を出しても、一時的に動くだけで、長続きしない。競わせれば、ぎすぎすした空気が漂う。熱く語りかけても、社員はどこか冷めた目で聞いている。
経営者は、戸惑います。これだけやる気を引き出そうとしているのに、なぜ社員は乗ってこないのか、と。そして、さらに刺激を強める。しかし、強めるほど、社員はますます冷めていく。なぜ、やる気を出させようとするほど、社員は冷めるのか。それは、外から与える刺激が、人の内側から湧くやる気を、かえって押しつぶしてしまうからです。
ー本当のやる気は「与えられる」ものではなく「湧き上がる」もの
ここに、人の心の本質があります。本当のやる気とは、外から与えられるものではなく、その人の内側から湧き上がってくるものだということです。人は、自分の仕事に意味を感じたとき、信頼され任されていると感じたとき、成長を実感したときに、内側からやる気が湧きます。これは、自然で、長続きする力です。一方、報奨金や発破といった外からの刺激は、一時的に人を動かすことはできても、内側のやる気そのものを生むことはできません。
それどころか、外からの刺激は、しばしば内側のやる気を弱めます。「報奨金のためにやる」と思った瞬間、仕事そのものへの興味は薄れる。「やらされている」と感じた瞬間、自発的な意欲はしぼむ。外から押せば押すほど、人は受け身になり、「言われたから」「もらえるから」動く存在に変わっていきます。つまり、やる気を外から注入しようとする努力は、内側から湧くはずだったやる気を、かえって枯らしてしまう。経営者の善意の刺激が、皮肉にも、社員を冷めさせているのです。やる気は、引き出すものではなく、湧き上がる空気を整えるものなのです。
ーやる気を冷ます「3つの逆効果」
外からやる気を引き出そうとすると、なぜ逆効果になるのか。三つの逆効果をお伝えします。
1つ目の逆効果は、「目的がすり替わる」ことです。報奨金や評価のためにやるようになると、仕事の目的が「お客様のため」から「報酬のため」へとすり替わります。報酬が目的になれば、報酬がなければ動かなくなり、仕事そのものへの誇りや喜びは失われていきます。
2つ目の逆効果は、「やらされ感が生まれる」ことです。発破をかけられ、目標を押しつけられるほど、社員は「やらされている」と感じます。人は、自分で決めたことには前向きになれますが、押しつけられたことには反発します。外からの圧力は、自発性とは正反対の、受け身の空気を生むのです。
3つ目の逆効果は、「競争が信頼を壊す」ことです。社員同士を競わせると、短期的には数字が動くこともあります。しかしその裏で、仲間を出し抜く空気が広がり、助け合いや協力が失われていく。やる気を引き出すための競争が、組織の信頼関係を蝕んでいくのです。
ーやる気を生むのは「言葉」と「関係性」の空気
透明資産経営では、空気を「言葉」「関係性」「評価」「行動」「場」という五つの構造から設計します。やる気をめぐる問題で鍵を握るのは、言葉の構造と関係性の構造です。社員にかける言葉が、圧力をかける言葉なのか、信頼を伝える言葉なのか。社員との関係性が、「動かす対象」として見る関係なのか、「信頼して任せる」関係なのか。やる気とは、外から注入するものではなく、こうした空気の中で内側から湧き上がるものです。だからこそ、やる気を引き出そうと刺激を強める前に、やる気が自然に湧く空気を整えることが先決なのです。
ー刺激を強めるより、湧き上がる空気を整える
では、経営者は何を変えればいいのか。刺激を強めることではなく、やる気が内側から湧く空気を整えることです。まず、仕事の意味を伝える。その仕事が、誰の役に立ち、どんな価値を生んでいるかを語る。次に、社員を信頼し、任せ、自分で決める余地を与える。やらされるのではなく、自分でやっていると感じられるようにする。そして、成長や貢献を見つけ、心から認める。──外から押すのをやめ、内側から湧く条件を整える。それが、長続きする本物のやる気を育てる道です。
ー冷めた社員は、刺激のかけすぎかもしれない
最後に、経営者にお伝えしたいことがあります。社員が冷めているのは、やる気が足りないからではなく、外からの刺激が、内側のやる気を押しつぶしているからかもしれない、ということです。今日、自社を振り返ってみてください。社員のやる気を、外からの刺激で引き出そうとしていないでしょうか。その刺激は、かえって社員を受け身にし、冷めさせていないでしょうか。刺激を強めるのをやめ、やる気が自然に湧く空気を整える。それが、社員の内側から本物の意欲を引き出す、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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