透明資産経営|なぜ、期待通りの会社は選ばれ続けないのか?

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ーちゃんとやっているのに、お客様の心に残らない
真面目な会社ほど、お客様の期待に応えようと努力します。約束した品質を守り、納期を守り、頼まれたことをきちんとこなす。クレームもなく、お客様からの評価も悪くない。「うちは、お客様の期待にしっかり応えている」という自負があります。ところが、不思議なことが起こります。これだけきちんとやっているのに、お客様の心に強く残らない。リピートはあっても、熱量がない。もっと条件の良い競合が現れれば、あっさり乗り換えられてしまう。お客様から「あの会社でなければ」という特別な存在には、なれていない。
経営者は、戸惑います。期待に応えているのに、なぜ選ばれ続けないのか、と。その答えは、シンプルでありながら、見落とされがちです。「期待通り」では、お客様の記憶に残らないからです。期待に応えるだけでは、満足は生まれても、感動は生まれない。そして、人の心を強く動かすのは、満足ではなく、感動なのです。なぜ、期待通りの会社は選ばれ続けないのか。それは、期待通りの対応からは、お客様の心を動かす「空気」が生まれないからです。
ー「満足」は記憶に残らず、「感動」だけが記憶に残る
ここに、人の心の仕組みがあります。人は、「期待通り」の体験を、あまり記憶にとどめません。期待していた通りのことが起きても、それは「当たり前」として処理され、特別な印象を残さないのです。たとえば、注文した商品が、約束通りの品質で、約束通りの日に届く。これは「期待通り」です。お客様は不満を抱きませんが、特に感動もしません。記憶にも残りません。当たり前のことが当たり前に起きただけだからです。
ところが、そこに小さな「期待を超える何か」が加わると、体験は一変します。商品に添えられた、手書きのひとこと。困っていたときの、頼んでもいない気づかい。予想していなかった、心のこもった対応。──こうした「期待を超える一歩」が、お客様の心を動かし、強い記憶として刻まれます。つまり、お客様に選ばれ続ける会社と、そうでない会社の違いは、品質や条件の差ではありません。期待通りで止まるか、期待をほんの少し超えるか、その差です。そして、その「ほんの少し」を生むのは、マニュアルや制度ではなく、お客様を思う社員の心、すなわち会社に流れる空気なのです。
ー感動が生まれる「3つの一歩」
お客様の期待を超える感動は、どこから生まれるのか。3つの一歩をお伝えします。
1つ目の一歩は、「お客様を覚えていること」です。前回の会話を覚えている。好みを覚えている。名前で呼びかける。──お客様は、自分が「その他大勢」ではなく、「一人の人」として覚えられていると感じたとき、深く心を動かされます。覚えていることは、最もシンプルで、最も強い、期待を超える一歩です。
2つ目の一歩は、「頼まれていないことに気づくこと」です。お客様が言葉にしていない困りごとや、求めていることに、先回りして気づく。「もしかして、こちらもご入用ではないですか」という、頼まれていない一言。期待通りの対応は、言われたことに応えること。期待を超える対応は、言われる前に気づくことです。
3つ目の一歩は、「ひとことの温かさを添えること」です。事務的な対応に、ほんのひとことの温かさを添える。「お気をつけて」「またお待ちしています」という言葉に、本当の気持ちを乗せる。同じ対応でも、そこに心がこもっているかどうかを、お客様は敏感に感じ取り、その温度を記憶に刻みます。
ー期待を超えるのは、お客様を思う心の空気
お客様の期待を超える一歩は、業務として命じても生まれません。それは、社員一人ひとりがお客様を思う気持ち、そして、その気持ちを後押しする職場の空気から生まれます。社員が、お客様を一人の人として大切に思える空気があるか。期待を超える心配りをした社員が、認められ、称えられる空気があるか。期待を超える一歩が生まれないのは、お客様を思う心が、空気の中で育っていないサインです。お客様を大切に思う空気を育ててはじめて、社員は自然と、期待を超える一歩を踏み出します。
ー「期待通り」を、「期待を超える」に変える
では、経営者は何を変えればいいのか。マニュアルを増やすことではありません。社員がお客様を思い、期待を超える一歩を踏み出せる空気をつくることです。まず、社員が、お客様を一人の人として見られるよう、お客様の物語を社内で共有する。次に、期待を超える心配りをした社員を、見つけ、はっきりと称える。その一歩を、組織全体の喜びにする。そして、社長自身が、お客様を大切に思う姿勢を、日々の言動で示す。──お客様を思う空気が育てば、期待を超える一歩は、社員の中から自然に生まれてきます。
ー選ばれ続けるのは、期待を超える会社
最後に、経営者にお伝えしたいことがあります。お客様に選ばれ続けるのは、期待にきちんと応える会社ではなく、期待をほんの少し超えて、心を動かす会社だということです。今日、自社を振り返ってみてください。あなたの会社は、お客様の期待に「応えている」だけで止まっていないでしょうか。お客様の心に残る、期待を超える一歩を、踏み出せているでしょうか。期待通りで満足させるのではなく、期待を超えて感動させる。その空気をつくることが、お客様に選ばれ続ける、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。

