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第34話 社長の仕事は、社員の”内に秘めた知恵”を触発すること。

  プラチナ社員づくり 園田信二 SPECIAL
園田信二 SPECIAL

プラチナ社員づくりコンサルタント

株式会社園田コンサルティング 代表取締役 園田信二

労使交渉1千回以上の実績から、社長と社員の夢を一体化する仕組みを体系化、「プラチナ社員づくり」コンサルティングを行う注目のコンサルタント。ブラック社員をつくらず、社長の夢に共感して一緒に働いてくれる社員を独自の対話方式で生み出す仕組みづくりは、人手を多く活用する企業から熱い支持が集まる。

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”○○君、いつの間にこの対策を仕込んでいたの?”・・・前職時代に、よく私が部下に発していた言葉です。

実は、何か手を打たなければ、顧客にサービスを提供できなくなるかもしれない・・という切迫した状況下で、予め生産体制に組み込まれていた対策のお陰で、窮地を救われた経験が幾度かありました。

例えば、このラインが止まった時には、こちらのラインに、こうやって移し替えればいい・・・といった対策が、予めシミュレーションをされて、さりげなく生産体制の中に埋め込まれているのです。実際の業務経験を通じて、試行錯誤されている対策だからこそ、マニュアルを見ただけでは発想できない、使える知恵がそこにはありました。

その度に私は、社員の知恵に驚き、感動していたものです。私に限らず、社長の知らなかった(=暗黙の)社員の知恵が、思わぬ場面で発揮され、胸をなでおろした経験をお持ちの社長も少なくないと思います。

すなわち、”社員の持つ暗黙知を触発し、発揮させる職場環境を整えること”は、日々現場で起こる課題に対して、社員自身が自発的かつ機動的に解決していく組織(=プラチナ組織)に変えていくための重要なステップになるということを示唆しています。

もし、暗黙知が発揮されなければ、”マニュアルに無いから俺は知らない””、”誰か他の人がやるだろう”、”社長から指示あるまで待とう”という、傍観者的な風潮が現場に蔓延し、いずれ業務の停滞や混乱を招いてしまうことになります。

当たり前のことですが、社員が苦労して獲得した暗黙知を、進んで発揮するためには、課題を解決すること自体が、社員自身にとっても価値のあることでなければなりません。社員は自分自身の夢や目標の実現と、会社のそれとがすり合わされて初めて、自律的に、責任を持って仕事にあたるものです。

前職時代、私の部下は、”暗黙知を発揮する価値”を、どこにどのようにして見出していたのでしょうか。

私の部下は、労使紛争で疲労困憊した現場に所属していました。その現場では、社員が良かれと思って課題解決を図ろうとしても、労働組合の意に沿わない結果が想定される場合、大局的な観点?から会社側から横槍が入って、改革・改善を中断させられることがしばしばありました。その結果、その現場には、”暗黙知は暗黙知のまま、何もしないことがいいこと”という風潮が蔓延していました。

私は、その現場のマネジメント層になった時にまず、”労使紛争で失ったマネジメントを取り戻し、停滞・混乱した業務を正常化することはもとより、グループ内で最も卓越した業務品質を提供し、グループ戦略実現の原動力となる組織・人材になる!”という目標を部下に提示しました。

私が、このような挑戦的な目標を立てられたのも、労使紛争の根本は、社員に無関心(もっとひどい場合は侮辱的)な経営者のマネジメント姿勢にあるか、外部からの意図的な労使介入にあるとの経験を持っていたからかもしれません。労働組合の顔色を窺うのではなく、経営者側が率先して、社員を経営に参画させることで、”無関心”や”屈辱””といった思考や、労使紛争自体を現場に持ち込もうとする悪意のある第三者が、入り込む余地の無い組織ができる=労使紛争を防止できる、という信念を持っていたからに他ならないのです。

部下にとっては、この挑戦的な目標こそが、労使紛争の中ではタブーとされてきたが、”課題に正面から取り組むことは善いことだ”という強烈で明確なメッセージになったはずです。そして、労働組合優先という社内マネジメントに辟易していた部下にとって、挑戦的な目標だったからこそ、そこへの共有や共感を容易にしたのだと思います。

加えて、私は、前例がないからと却下するのではなく、社員の暗黙知、アイデアを積極的に求めました。横槍や冷やかしがあっても、それにたじろぐことがないように、戦略的に会議を設定し、現場社員が皆で知恵を絞れば解決策があることを実感させました。労使紛争の中で閉鎖的、硬直的になっていた組織は、そこまでしてはじめて、開放的になり、思考が柔軟になり、お互いの信頼関係が醸成できたのだと思います。

私が部下に示したのは、”挑戦的な目標”という道筋と、それを実現可能にするための”開放的な場”です。

それに接した部下が、部下の中で押し殺されていた、自身の夢や目標、価値、役割を再認識し、現場の課題解決に主体的に関わろうと決心し直し、暗黙知が触発され、それを発揮させたのではないのかと考えています。

中小企業においては、社長こそが、挑戦的な目標と開放的な場を創造し、社員の内に秘められた知恵を触発することができるのではないでしょうか。

 

【労使交渉1千回以上】プラチナ社員を増やして業績を伸ばす視点
園田信二

プラチナ社員づくりコンサルタント

株式会社園田コンサルティング代表取締役

園田信二

執筆者のWebサイトはこちら http://sonocon.jp

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