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安売りはほどほどに

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

店舗ビジネスでは販売促進として「価格施策」をおこなうことが多いのではないでしょうか。すなわち“セール”や“目玉商品”などを使い、集客、そして売上の直接的な増加を促し、全体として収益を向上させる戦略です。 

ここで「戦略」という言い方をしているのは、現場レベルで適当に値下げをしてしまうとまず失敗するからであり、現場で判断できる施策は「戦術」と呼びます。現場に任せても何もできないという意味ではなく、仕事の流れかたの問題です。

店舗ビジネスでは経営理念から始まり、ビジョン、戦略と流れ、それが店舗運営に落とし込まれます。価格そのものはその流れの中で最上流に位置する理念が軸となります。そして販促のために価格を下げる施策は戦略に位置付けられ、ヒトモノカネ情報といった経営資源を俯瞰して決めるべきことなのです。

つまり販促における価格施策は、会社全体、そして外部環境が見えて初めてできることなのであり、そのためにはやはり経営者レベルでないと的確な判断はできないといえます。現場だとどうしても視野が狭くなりがちになり、その場しのぎの短期的な戦術、例えば隣のライバル店が安くしているからうちも安くしよう、という判断をしてしまいます。

現場の店長やスタッフに悪気はないでしょうし、むしろもっと業績を伸ばすためにやっていると思いますが、売らんがために商品を安くすることは、ほぼすべての場合において百害あって一利なしです。

まず、商品を定価より安く販売することは利益を削っていることと同義です。そしていったん安くしてしまうと元に戻すのは困難となり、お客様はその価格が普通だとなります。さらに店舗イメージやブランドを毀損してしまうことにもつながり、他の商品にもそのイメージ悪化は波及します。「あの安いのに比べてこれは高すぎるのではないか」となるのです。加えて安いものを志向するお客様ばかりが集まってしまいます。

結局そんなこんなで店舗全体の価格を見直す羽目になり、それをきっかけに安売りがメインの儲からない店舗に転げ落ちてしまうのがよくあるパターンなのです。

ですから、価格施策、特に安くすることは相当な戦略を立ててやらなければ間違いなく失敗します。何のために安く販売するのか。集客のための目玉商品なのか。季節商品の売り切り処分なのか。顧客だけのシークレットセールなのか。周年記念の特別セールなのか。

いずれにしても、そこにしっかりとした理念、ビジョン、戦略がなければ、経営者ですら適当な安売りに走ってしまう危険性が高くなります。

安易な安売りは誰も得をしません。頻繁にセール企画をやるような店舗はそもそものプライシングがおかしいのであり、それは顧客への裏切りでもあります。本来ならば安売りなどせず、定価販売だけを継続することが顧客に対して一番の信用、信頼になります。

とはいえ、顧客サービスのための価格施策が否定されるものではありません。販促のために年に12回はセール企画をやってもいいとは思います。しかしそれは経営者レベルが理念、ビジョン、戦略をもとに決断すべき最重要事項なのです。

店舗ビジネスでは、一度付けた価格はよっぽどのことがない限り、定価で売るのが基本です。販促で価格施策、すなわち安く販売することは細心の注意を払って行うようにしましょう。下手をするとそれが「毒」となって店舗をつぶしかねないのです。

 

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