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なぜ、指揮者が違うと同じ曲でも印象が変わるのか?

  成長支援部づくり 岩井徹朗 SPECIAL
岩井徹朗 SPECIAL

成長支援部づくりコンサルタント

ヒーズ株式会社 代表取締役 岩井徹朗

会社の大元となる「総務」を革新すれば、すべての事業部に影響を与え、顧客志向になり、驚くほど業績が伸びる。経営者が着手すべき、「成長支援部づくり」を指導。

同じベートーベンの「運命」でも指揮者が違うと曲の印象が変わります。

演奏者が自由にアレンジするジャズなどと違って、クラシックの場合は、楽譜どおり、譜面どおりに演奏することが求められます。音程はもちろんのこと、音の強弱も作曲家が細かく指示しているので、楽曲を勝手にアレンジすることは許されません。なので、もし同じ人が同じ曲を同じ場所で演奏するのであれば、基本的には同じように聴こえるはずです。

しかし、指揮者が違うと仮に同じ楽団が演奏する場合でも曲の印象が変わります。音楽のことをよく分かっていない私にとって、これはすごく不思議なことでした。けれども、音楽に詳しい人とお話した時に、長年の謎がようやく解けました。

その人によると、「指揮者は楽譜を通して作曲家の意図を解釈する」→「その解釈を基に自分なりに出来上がった曲(目標)をイメージする」→「そのイメージに沿った形で、演奏者に演奏の仕方を指導する」→「その結果、奏でる音が違ってくる」のだそうです。

つまり、同じ曲であっても、指揮者によって楽譜から読み取る作曲家の意図は微妙に変わってきます。その結果、その人が演奏したい曲のイメージが変わり、そのニュアンスの伝え方も指揮者によって違うので、同じ楽譜で演奏者が一緒でも音に差が出てくるという訳です。

例えば、「小さく演奏する」という楽譜の指示に対して、「小鳥がさえずるように」と指示するか、「赤ちゃんにやさしく語りかけるように」と伝えるかによって、音の出し方が少し違ってきます。このため、楽団の練習では、普段指導する先生が練習する時と本番で指揮する人が指導する時で、曲の印象がガラリと変わるのだとか。

そして、指揮者が一番時間を割いているのは、楽譜を読むこと。つまり、その楽譜をどう捉えるかに最も時間を使っているというお話でした。

これを会社経営で考えてみると、「楽譜=経営理念」です。そして、社長は経営理念を自分なりに解釈して、目指すべき目標(ゴール)をイメージします。その目標を達成するために、社員にいろいろと指導します。

このため、仮に「我が社はお客様の笑顔のために頑張ります!」という経営理念を掲げている会社であっても、社長が異なれば、その解釈も異なります。つまり、例えば、事業承継で創業社長から二代目社長に代替わりした際、経営理念の文言を変えなくても、先代と後継者では微妙に解釈が異なるはずです。

なぜなら、世の中に同じ人は二人とおらず、感じ方や考え方が100%同じということはありえないからです。また同じ人でも、年齢や経験によって解釈が変わってくるということもあります。仮に百歩譲って言葉の解釈がまったく同じであっても、その伝え方や言い回しが違ってくるのが普通です。

したがって、経営理念が同じであっても、社長によって戦略や戦術は違うし、社員に対するメッセージも異なります

一方で、情勢の変化が激しい現代においては、戦略や戦術、そして、日々の仕事のやり方は固定せずに柔軟に変化させていくことが求められます。そして、変化に柔軟に対応していくためには、逆説的に、どこに固定点を求めるかがポイントです。クラシックで言えば、作曲家の書いた楽譜が固定点であり、会社で言えば、経営理念に相当するものが固定点になります。

そして、指揮者が楽譜と向き合って、それをどう解釈するかに時間を使っているように、社長は経営理念と真正面から向き合って、それをどう解釈するかに時間をかける必要があります。

名曲には必ず作曲家の思いが込められています。皆さんの会社の経営理念には作った人のどのような思いが込められているのでしょうか?

そして、社長はその思いをしっかりと受け止めるべく経営理念と向き合っているでしょうか?

 

【総務の革新】成長支援部づくりで業績を伸ばす経営視点
岩井徹朗

成長支援部づくりコンサルタント

ヒーズ株式会社代表取締役

岩井徹朗

執筆者のWebサイトはこちら https://www.heeze.co.jp/

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