兄弟という関係は摩訶不思議、厄介このうえなし | 日本コンサルティング推進機構

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兄弟という関係は摩訶不思議、厄介このうえなし

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

兄弟が不仲であることは多い。子供時代から仲が良くない兄弟もいる。その多くは兄が何かにつけ体力的にも劣る弟を蔑ろにしてきたというのがある。弟はいつも理不尽な扱いを受け兄に泣いて抗議するのだが兄は一向に意に介さない。悔しさを心に秘め弟は成長していく。弟はいつしか兄の背丈に追いつき超えてしまう。

多くの兄弟が同じような経験、体験をしてきたにもかかわらず、なかにはとても仲がいい兄弟もいる。兄弟という関係は親子の関係と同じように一筋縄ではいかず複雑怪奇なものだ。いつも兄に邪険にされているにもかかわらず弟は兄が好きだ。子犬がじゃれて付きまとうように兄に付いてまわる。兄弟互いに成長してからも心の奥底で兄への想いが残る弟がいる。

一般の家族でも子供たちが大きくなって互いに家族を持ち疎遠になることがある。会うのは盆正月くらい。父親が亡くなり相続問題が発生する。それを期に兄弟が関係を悪化させる。その後、兄弟が会うことはない。父親が経営者である場合、兄弟の関係はさらに複雑なものとなる。

中小企業で父親の下で兄弟が入社し働いているケースが多くある。父親が健在なときは上手くいっていたものが、父親が亡くなると同時に兄弟が仲違いをする。後継者の地位を争うこともあるが多くは相続でもめてしまう。さらには経営方針の違い、価値観の違いが表面化し喧嘩別れしてしまう。

結果として兄弟が袂を別けるケースには事欠かない。生前父親が心を砕いて兄弟が仲良くできるよういろいろな準備をしたにもかかわらず、1年と持たず喧嘩別れするということは珍しくはない。兄弟の関係というものは本当に厄介なものだ。血肉を別けた者同士だからこその葛藤、確執があるのかもしれない。

親子経営コンサルタントをしていると、まさにそういうケースと多く対峙することになる。父と子という関係はとても難しいものだが、兄弟の関係はさらに難しく厄介なものだ。いずれも当人同士では感情が先に立ち、冷静な判断ができない。そんなとき私のような第三者が間に入ることで関係性を改善させる可能性がある。

先日、ここ3年間お付き合いしてきた後継者と話した。父親が息子たち兄弟に事業承継をするというので相談に乗らせてもらっている。父親、兄、弟と3人個別に面談を重ねている。当初からの問題は兄ではなく弟に会社を継がせたいということだ。弟の方が早くから入社し営業に長けている。兄は後から入社した上、途中、社員への不満から退社したことがある。

父親の判断は、長男は人との付き合いが上手くないこともあり次男へ社長を引き継ぎたいということだった。面談を重ねると兄弟それぞれの長所短所が分かるようになり、どちらが上に立っても大丈夫だというのが私の判断だった。最終的には経営者である父親が決定すべきことだ。

長男は当初、自分が社長をやりたい、やるのだと言っていた。いつしか父親の意向を知り、考えるようになる。父親が次男を社長に望むなら自分は出ていくと言っていた。あれから3年が過ぎた。先日、長男は私に言った。
「弟には私にない良いところがたくさんある。私では考えられないような発想で新しいビジネスを展開している。父親の経営方針を引き継いでくれるなら、私が弟を支えていこうと思う。弟の社長の下で私が総務経理の責任者として支える」

私は彼の話を聞きながら胸が熱くなった。
「そう言える貴方が素晴らしい。貴方が弟さんを支えると云うなら会社は末永く安泰だ」
そう言いながら私は彼の心情を思うと目頭が熱くなった。この3年で彼が大きく変わった。当初、弟への不満や憤りを露わにしていた長男が弟を認め評価している。彼のそういう素直さが私は好きだ。

世の中では長男が社長をするのが当たり前であり、気に入らなければ弟を放り出すなどという話がたくさんある。そんな世の中には彼のような長男もいるのだということを知っておいて欲しいと思う。兄自ら弟に会社を譲り弟を支えるのだという長男がいるということを。

 

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