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銀行活用で新規開拓コンサルタント

株式会社結コンサルティング

代表取締役 

銀行活用で新規開拓の仕組みづくりを行うスペシャリスト。31年間の銀行員経験で、法人4,000社以上を担当、審査部担当者としての企業審査は1,000社超の実績を誇る金融のプロフェショナル。
売上が倍増した雑貨メーカー、バックメーカー、新事業を立ち上げた化粧品メーカー、更には海外進出に成功した事例など、累計で100社以上の会社を成功に導いた実績を持つ。

「独立してから、がむしゃらに取引先の要望に応えることで受注を伸ばしてきましたが、売上が増えたにもかかわらず儲かっていません。受注を伸ばそうとすればするほど、手間がかかるのに儲からない案件をより多く受注してしまう状況です。これまで独立前の取引先からの受注だけで商売していたので、受注を増やそうとすると足元を見られて儲からない案件ばかり回されているようです・・・新しく取引先を獲得するべきなのでしょうが、新規取引先を開拓したこともありません。人員も不足しており、現場で経営者である私が働かなければならない状況なのですが、どうしたらいいでしょうか?」──独立後5年経過した土木工事関連事業の経営者の方からのご相談です。

前回のコラムと同様に、ニューノーマル時代だからという訳ではなく、世の中の変化・顧客ニーズの変化などで、これまで通りの商売が難しくなってきたと感じている経営者の方は多いようです。今回は、独立後、それまでの取引先を継続して受注してきたが、売上を伸ばそうと力を入れれば入れるほど、儲からない案件しか受注できず、人材不足もあり経営者自らが現場で奮闘しなければならなくなってしまう・・・

一点気になりましたので、この経営者の方に次のような質問をしてみました。
「同業他社と比較して、あなたの会社の特徴・特色・売りは何でしょうか?」

この経営者の方からは、「え〜、そうですね◯×▽・・・(汗)」と明確な回答をいただけませんでした。予想していた通りの反応でしたので、非常に「もったいない」残念な印象を持ちました。

何がもったいないかというと、明確な特徴・特色・売りがないために「単に価格の安い業者」として認識され、労働力の調節弁としていいように使われていると感じたからです。

ここで、この経営者の方が属している建設業界の概要を把握しておきましょう。

例えばマンションの新築工事では、元請会社(ゼネコン)が設計図書に基づいて資材を調達し、下記のような工事分野に応じた下請専門工事業に外注して工事を進めていきます。

<建設工事>
・とび・土木・コンクリート工事業:杭打ち、土砂の掘削、足場の組立やコンクリート工事
・鋼構造物工事業:鉄骨工事
・鉄筋工事業:鉄筋組立

<設備工事>
・電気工事業、管工事業:電気設備や空調、給排水の工事
・大工工事業、内装仕上げ工事業:室内工事
・防水工事業、塗装工事業、タイル・れんが・ブロック工事業:外部の仕上げや防水工事
・ガラス工事業:ガラス・サッシの取り付け

このように、施工特性の異なる多数の専門技術の組み合わせで工事が行われているため、業種別に29種もの許可制度が採用されています。そして、元請会社(ゼネコン)の業務は、建設物を納期通りに引き渡すために、専門工事業者を統括して工程・品質・安全などの管理を行うことが主なものです。

このため、工事現場で目にするのは元請会社(ゼネコン)ですが、実際に現場で働いているのは、ほとんどが下請会社の作業者なのです。そして、下請け、孫請け、ひ孫受け以下の場合であっても、29の業種別許可を受けていなければ作業できません。

工事の専門化・分業化、そして建設工事の増減に対応するため、何層にもなる下請け構造が確立されてきました。技術力があったり、施工機械を所有できる下請業者は、責任施工体制を構築して、専門工事業者へと変化し、単なる労務供給は更にその下請けの役割となったのです。

これまで、元請会社(ゼネコン)は、信用できる下請けを安定的に確保するために、下請協力会を組織して現場所長が下請業者との人間関係を築き、優先的に仕事を発注してきました。
(ほとんどの元請会社のホームページには、◯◯会として協力下請会社の名前があります。)

しかし、元請会社(ゼネコン)からの度重なるコストダウン要請や、元請会社(ゼネコン)の経営不振などから、下請会社も特定の元請会社への依存度を下げてきており、協力会社会の団結は希薄化してきています。また、元請会社(ゼネコン)も下請協力会以外に価格の安い業者がいれば発注することが増えてきました。

簡単ですが、この経営者の方が属している建設業界の概要を把握しておけば、この経営者の方がどのようなことで悩みを抱えていて、今後どのように対応すべきかが見えてきます。

お金は川上(高いところ)から川下(低いところ)に流れていく(元請→下請け→孫請け→ひ孫受け→その他)のですが、流れていく間にどれだけの利益を確保できるかが勝負なのです。そして、自社の商品・サービスに特徴・特色があって導入効果が大きければ大きいほど川上で勝負することができるので儲かるのですが、特徴・特色がないと費用対効果で見劣りするので安い価格でしか勝負できないのです・・・

何層にもなる下請け構造でより上位の立ち位置につくために、「技術力を向上する」、「施工機械を所有する」、「特徴や特色を出して売りをつくる」、その他の努力をすることで、単に価格だけの勝負から抜け出さなければなりません。

現状が「その他」であれば「ひ孫請け」→「孫請け」→「下請」に、「ひ孫請け」であれば「孫請け」→「下請」に、「孫請け」であれば「下請」に、というようにより川上に立たなければ利益を増やすことはできません。明確な特徴・特色・売りを作り出すことで「単に価格の安い業者」から脱却し、無くてはならない存在にならなければならないのです。

「この案件は赤字だけど、他の案件で穴埋めするからヨロシク・・・」というのは、もう過去の話になりました。現在では、現場所長ではなく、本社の購買部が工事毎に価格、技術力、品質、経営状況などを評価して下請けを選定するように変化してきています。このため、これまで取引関係がなかった元請会社(ゼネコン)から仕事を受注することが可能になってきました。

元請会社(ゼネコン)からの度重なるコストダウン要請や、元請会社(ゼネコン)の経営不振などで厳しい状況が続く一方で、「技術力を向上する」、「施工機械を所有する」、「特徴や特色を出して売りをつくる」、その他の努力をすることで、これまで取引関係がなかった元請会社(ゼネコン)から仕事を受注することが可能になるというチャンスも出てきたのです(このチャンスを活かす仕組みづくりはこちらを参照してください)。

確かに、足元の受注も大切ですが、「単に価格の安い業者」として価格勝負だけをしていては儲かりません。如何にして受注案件の利益率を上げて稼いでいくかを考えていかなければなりません。

その際に、ご注意いただきたい点としては、「キャッシュフロー(=お金の流れ)」です。
キャッシュフローを管理するためには、次の3つの企業活動で生じるキャッシュフロー全体を管理することが有効です。

<営業活動によるキャッシュフロー>
・本業の営業活動で得たキャッシュを示す
・受注案件で利益を上げればプラスとなり、マイナスなら受注で得られる収入より支出が大きく赤字案件となる

<投資活動によるキャッシュフロー>
・投資活動で生じるキャッシュの増減を示す
・施工機械を所有するなど固定資産や設備への投資活動を行えばマイナスとなり、設備や車両などを売却するとプラスとなる

<財務活動によるキャッシュフロー>
・資金調達や返済など財務活動のキャッシュ増減を示す
・借入金を返済するとマイナスとなり、融資や出資を受けるとプラスとなる

つまり、「技術力を向上する」、「施工機械を所有する」、「特徴や特色を出して売りをつくる」、その他の努力をするために投資活動や財務活動を行う場合は、そのために必要なキャッシュフローも考えながら、注力しなければ会社全体のキャッシュフローがマイナスとなり、資金ショートして倒産という事態にもなりかねないので、ご留意ください。このように、キャッシュを重視した経営のことを「キャッシュフロー経営」といいます。

「同業他社と比較して、あなたの会社の特徴・特色・売りは何でしょうか?」

経営者として、この質問に正面から取り組むことで、利益を追求することができます。
そして、「キャッシュフロー経営」を実践することで、どのようなサジ加減で投資活動や財務活動をしていけばいいのかが、自ずとわかってきます。

あなたは経営者として、どのように利益を追求して、キャッシュフロー経営を目指しますか?

 

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