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売れる会社」と「売れない会社」は何が違うのか?

SPECIAL

銀行活用で新規開拓コンサルタント

株式会社結コンサルティング

代表取締役 

銀行活用で新規開拓の仕組みづくりを行うスペシャリスト。31年間の銀行員経験で、法人4,000社以上を担当、審査部担当者としての企業審査は1,000社超の実績を誇る金融のプロフェショナル。
売上が倍増した雑貨メーカー、バックメーカー、新事業を立ち上げた化粧品メーカー、更には海外進出に成功した事例など、累計で100社以上の会社を成功に導いた実績を持つ。

売れる会社」と「売れない会社」は何が違うのか?

「最近、どうしてもうちの商品が売れなくなってきていて…。広告費はかけてるし、営業も頑張ってるんですが、数字がまったくついてこないんです。何が悪いのかも分からず、社員からの不満も増えてきていて、このままでは本当にまずいかもしれません…
―これは、当社の個別相談にいらした小売業の二代目社長の声です。

実際、同じような悩みを抱える経営者は少なくありません。競合も多く、商品力や営業力だけではなかなか売上が伸びない時代です。
しかし一方で、同じような環境でも“売れている会社”は確かに存在します。

では、「売れる会社」と「売れない会社」、いったい何が違うのでしょうか?
商品?営業?マーケティング?それとも社長自身の考え方?

本コラムでは、実際に売上アップに成功した企業の事例を交えながら
「売れる会社が実践している5つの視点」について解説します。

ぜひご自身の会社と照らし合わせながらお読みいただき、次の一手を見つけてください。

「売上が思うように伸びない」「頑張っても利益が残らない」
こうした声は、さまざまな業種の中小企業経営者から日常的に寄せられています。商品やサービスに自信があっても、現場の努力が報われず、数字に結びつかない――。そのようなもどかしさを感じている方は少なくありません。

一方で、同じ市場、同じ条件の中でも、着実に売上を伸ばしている会社が存在します。
人材や資金、知名度に大きな差があるわけではないのに、なぜこれほど結果が違うのでしょうか。

実は、「売れる会社」と「売れない会社」には、いくつかの決定的な違いがあるのです。
それは、戦略や施策の細かいテクニックだけでなく、社長自身の視点、考え方、そして社内の仕組みに深く関係しています。

例えば、どの数字を見て経営判断をしているのか。誰を顧客として想定し、どうアプローチしているのか。営業活動を属人化せず、再現可能な形でまわせているか。これらはすべて、売れる会社に共通して見られる“違い”です。

本コラムでは、実際の成功事例をもとに、「売れる会社が実践している5つの視点」を徹底的に解説します。
「なぜ売れないのか」に悩むすべての経営者にとって、次の一歩を踏み出すヒントになるはずです。

はじめに

「売上が思うように伸びない」「頑張っても利益が残らない」
こうした声は、さまざまな業種の中小企業経営者から日常的に寄せられています。商品やサービスに自信があっても、現場の努力が報われず、数字に結びつかない――。そのようなもどかしさを感じている方は少なくありません。

一方で、同じ市場、同じ条件の中でも、着実に売上を伸ばしている会社が存在します。
人材や資金、知名度に大きな差があるわけではないのに、なぜこれほど結果が違うのでしょうか。

実は、「売れる会社」と「売れない会社」には、いくつかの決定的な違いがあるのです。
それは、戦略や施策の細かいテクニックだけでなく、社長自身の視点、考え方、そして社内の仕組みに深く関係しています。

例えば、どの数字を見て経営判断をしているのか。誰を顧客として想定し、どうアプローチしているのか。営業活動を属人化せず、再現可能な形でまわせているか。これらはすべて、売れる会社に共通して見られる“違い”です。

本コラムでは、実際の成功事例をもとに、「売れる会社が実践している5つの視点」を徹底的に解説します。
「なぜ売れないのか」に悩むすべての経営者にとって、次の一歩を踏み出すヒントになるはずです。

1. 売れる会社は「数字」を経営判断に使っている

中小企業経営者との面談で最も多く寄せられる悩みのひとつが、「頑張っているのに売上も利益も上がらない」というものです。実際、現場では社長も社員も一生懸命働いており、商品やサービスにも一定の自信を持っています。にもかかわらず、業績は思うように伸びていない。その原因を突き詰めていくと、ある共通点が浮かび上がります。

それは、「数字を見て経営判断をしていない」という点です。
感覚や過去の経験、属人的な判断に頼ってしまっている企業は少なくありません。しかし、売れる会社は違います。売上や利益を向上させている企業の多くが、月次での数字を冷静に分析し、それに基づいて行動を選択しているのです。

1.1. 勘と経験ではなく“月次数字”で打ち手を判断している

経営の現場では、「なんとなく今月は調子がいい」「体感として売上が伸びている気がする」といった“感覚”で判断してしまう場面が多々あります。もちろん、長年の経験に基づく直感が役に立つ場面もありますが、会社全体を動かす判断においては、感覚よりも確かな根拠が求められます。

売れている会社は、毎月の売上・利益・原価・販管費などを詳細にチェックし、
“数字をもとに意思決定する体質”を組織全体に浸透させています。

たとえば、広告費をかけた結果、どの販路での反応率が高かったのか、どの商品が粗利率に貢献したのか、何が赤字要因になっているのか――これらを定期的に振り返ることが当たり前になっています。

この蓄積とフィードバックの繰り返しが、強い戦略と修正力を育てていきます。
月次数字に目を向けていない会社は、例えるなら「目を閉じたまま車を運転している」ようなものです。

1.2. 利益構造を把握し、稼ぐ商品と捨てる商品を明確にしている

売れている会社の特徴のひとつに、「全てを売ろうとしない」姿勢があります。
逆に、売れない会社ほど「どの商品もがんばって売る」「在庫はあるだけ売りたい」という発想に偏りがちです。しかし、ここには大きな落とし穴があります。

すべての商品が利益を生んでいるとは限らないどころか、むしろ足を引っ張っている商品が存在することも多いのです。

売れる会社は、自社の利益構造を詳細に分析し、「稼げる商品」と「稼げない商品」をきちんと分類しています。そして、利益率が高く、顧客に価値を実感してもらえる商品にリソースを集中し、利益に直結しない商品は思い切ってやめる、あるいは縮小する判断を行っています。

ある飲食店では、ランチメニューの一部が赤字を招いていることが月次の数字で判明しました。その結果、高回転・高粗利の商品にメニューを絞り込み、月間の営業利益が20%以上改善したのです。こうした判断は、数字をもとにした利益構造の理解なしには絶対にできません。

1.3. 社長自身が財務の“本質”を理解している

売れている会社の社長は、数字に強いというより、「数字の意味を経営にどう活かすか」を知っています。
単なる経理の報告を受けて終わるのではなく、財務諸表の読み方や、損益の構造、資金繰りの流れなどを自ら理解し、経営判断に生かしているのです。

とくに重要なのは、売上よりも「利益」や「キャッシュフロー」に目を向けること。
売上が大きくても、原価が高かったり、回収が遅れていたりすれば、手元にお金が残らないという事態に陥ります。

売れる会社の社長は、こうした“資金の流れ”を的確に把握しており、資金調達や投資判断にも強くなっていきます。
また、数字を言語として社内に伝える力も高く、社員に「何を目指すのか」「どこを改善すべきか」をわかりやすく示すことができます。

結果として、社長の視点が現場に浸透し、全社で一貫した経営方針のもと、ブレのない組織運営が実現しているのです。

売れる会社の根底には、「数字を見て動く」という一貫した姿勢があります。
それは決して特別な分析スキルではなく、定期的に数字を確認し、そこから仮説を立て、行動を修正していくという“シンプルな習慣”の積み重ねに過ぎません。

逆に、感覚や属人的な判断で経営を続けていると、思わぬ赤字や資金ショートを招き、いずれ立ち行かなくなります。
まずは、毎月の数字に目を向け、「何が利益を生み、何がロスを生んでいるのか?」を明らかにすることから始めてみてください。

数字は、経営の羅針盤です。
それを活かす社長こそが、売れる会社をつくっていけるのです。

2. 売れる会社は“ターゲット”を明確にしている

売上を伸ばせている会社と、そうでない会社の違いは数多くありますが、「誰に売るか」が明確かどうかは、最も影響が大きいポイントの一つです。
中小企業の場合、「うちはお客様を選んでいる場合じゃない」という声もよく聞かれます。しかし、実はその考え方こそが、売れないスパイラルを生んでいる原因かもしれません。

あれもこれも売ろうとする会社ほど、「誰にも刺さらない」状態になってしまうのです。
一方で売れる会社は、自社が提供できる価値と、それを最も必要としている顧客像を一致させることに徹底しています。

2.1. 「誰に売るか」が明確な企業ほど成約率が高い

マーケティングの基本として、「ターゲットを絞る」ことは多くの本やセミナーで語られています。しかし、実際の現場ではこの原則が曖昧なまま営業活動が進められていることが少なくありません。

たとえば、BtoBビジネスで「中小企業向けに営業しています」と言いながら、製造業もサービス業も飲食業もターゲットにしているような場合、結局はどの業種にも最適化された提案ができず、競合と比べて特徴のない会社と見なされてしまいます。

一方で、売れる会社はターゲットを具体的に定めています。
業種、地域、年商、従業員数、課題の傾向、意思決定者の立場など、“誰のどんな悩みに応える商品・サービスなのか”を明確にしているのです。

ある士業事務所では、「開業3年以内のクリニック経営者」にターゲットを絞ることで、営業の成約率が飛躍的に伸びました。メッセージが具体的になり、広告の反応率も上がり、紹介も増えるという好循環が生まれたのです。

「この会社は、まさに自分のためにある」と顧客に感じさせられるかどうか。
これが、成約率を決定づける最も大きな要素の一つです。

2.2. 売れない会社は“なんでも屋”になってしまっている

売れない会社に共通するのが、「誰でもいいから来てほしい」という姿勢です。もちろん、集客の間口を広げることは重要ですが、無差別なアプローチは逆効果になることもあります。

“なんでも屋”になってしまうと、自社の強みも専門性も伝わらず、結局どの顧客にも選ばれにくくなってしまいます。

たとえば、地域の工務店が住宅、リフォーム、店舗改装、オフィス内装、公共工事など、あらゆる案件に手を出しているとしましょう。一見、仕事の幅が広くてよさそうですが、顧客の立場から見ると、「何でもやってくれるが、専門性は感じられない」という印象になってしまうのです。

結果として、価格競争に巻き込まれたり、案件の質が不安定になったりと、売上も利益も不安定な状態になります。

逆に、「住宅専門のデザイン工務店」と明確に打ち出すことで、価格ではなく“価値”で選ばれる存在になることができます。
自社の強みを際立たせるには、やらないことを決める勇気も必要なのです。

2.3. 顧客目線で言語化された“選ばれる理由”がある

ターゲットが明確になったとしても、それだけでは不十分です。重要なのは、そのターゲットに対して「なぜ選ばれるのか」を明確に伝えられるかです。

この「選ばれる理由」が、経営者の自己満足ではなく、顧客の立場で見たときに納得できる表現になっていることがポイントです。

よくあるのが、「高品質」「低価格」「親切丁寧」という抽象的なアピールです。もちろん、それらがウソではないとしても、それだけでは選ばれる理由としては弱すぎます。なぜなら、競合も同じようなことを言っているからです。

売れている会社は、顧客の声や成功体験をもとに、言葉の選び方やストーリーで“違い”を伝える力に長けています。
たとえば、
・「初めての補助金申請でも、書類作成から交付まで完全サポート」
・「リフォーム後、電気代が月1万円以上下がった家庭が続出」
・「3ヵ月で来客数が2倍に増えた整体院のためのWEB対策」
など、具体的な成果と顧客像が結びついている文言は、非常に強い訴求力を持ちます。

選ばれる理由を顧客目線で言語化することにより、「自分にも当てはまりそう」「これは自分の課題を解決してくれる」と感じてもらえるのです。

売れる会社と売れない会社の差は、営業力や商品力だけでは測れません。
「誰に、どんな価値を、なぜ提供するのか」が明確であること。
これが、成果を出すための前提条件です。

広く売るより、深く刺さる。
この考え方をもとに、自社のターゲットを見直し、選ばれる理由を言語化することが、売上アップへの第一歩となります。
「すべての人に売る」のではなく、「自社の価値を最も必要としている人に届ける」。その選択こそが、売れる会社をつくっていくのです。

3. 売れる会社は営業を“属人化”していない

多くの中小企業では、「売上の大半をベテラン営業マンが稼いでいる」という状況がよく見られます。
確かに優秀な営業担当がいれば、短期的には売上を確保できますが、その営業マンが退職・異動・体調不良になったとたんに業績が傾くリスクを抱えることになります。

売れる会社は、特定の個人の能力に頼らず、誰でも一定の成果を出せる仕組みをつくっています。
つまり「属人化をなくし、再現性のある営業体制」を構築しているのです。

ここでは、営業の属人化を解消し、組織全体で売れる仕組みを作っている会社の実例と方法を見ていきましょう。

3.1. 「できる営業マン」がいなくても売れる仕組みをつくっている

売れない会社ほど、「○○さんじゃないと売れない」「△△さんの営業力は特別だから」といった言葉が社内に飛び交います。
こうした会社では、営業活動がブラックボックス化しており、社内にノウハウが蓄積されていません。

一方、売れる会社は「営業は属人的であってはいけない」という考え方を持ち、個人の経験や勘に頼らず、誰がやっても成果が出るような仕組みづくりに注力しています。

たとえばあるBtoB企業では、営業プロセスを5段階に分け、それぞれにおける「やるべきこと」「伝えるべき情報」「次に進む判断基準」をマニュアル化しました。
結果として、ベテラン営業が抜けても新人がすぐに活躍できるようになり、売上が個人に依存しない安定成長を実現できました。

属人化を排除することで、営業活動の全体像が可視化され、会社として売上をコントロールしやすくなるのです。

3.2. 営業トークやクロージングを“社内資産”として標準化

「営業はトークがすべて」と思っている方も多いかもしれません。確かに、相手の心をつかむ言葉や提案力は重要です。しかし、それを個人のセンスや経験任せにしていては、属人化から抜け出すことはできません。

売れる会社は、成果が出た営業トークやクロージング手法を“社内資産”として記録・共有しています。
つまり、「誰がどんな言い回しで成果を出したか」を再現できるようにしているのです。

たとえば、初回面談時に必ず聞く質問、相手の不安を解消する説明トーク、価格を提示する際の言葉の選び方など、“勝ちパターン”を蓄積し、他のメンバーにも使わせる文化が根づいています。

ある住宅リフォーム会社では、成約率の高い営業社員の商談音声を録音し、社内勉強会で全員に共有しました。すると、新人営業の契約率がわずか3ヶ月で2倍近くに改善しました。

営業トークは属人的な技術と思われがちですが、実際には「型」として再現できる部分が多く、仕組みとして活用することができるのです。

3.3. 見える化・仕組み化により、新人でも売れる体制を実現

属人化を排除するためには、「見える化」と「仕組み化」が欠かせません。
具体的には、以下のような取り組みを通じて、営業活動を誰でも追える状態にしていく必要があります。

・営業プロセスごとのチェックリストを作成する
・CRMや営業日報で商談の内容・進捗を可視化する
・フォローのタイミングをルール化する
・成約後の導入・アフターサポートも仕組みで管理する
これにより、営業の進め方が属人化せず、社内での引き継ぎや育成もスムーズになります。

また、仕組みが整えば、新人でも早期に成果を出せるようになります。たとえば、あるIT企業では、入社3日目の新入社員がスクリプト通りにヒアリングを行い、初受注を獲得しました。もちろん本人の努力もありますが、「売れる流れ」が明文化されていたからこそ、誰でも実行できたのです。

属人化を脱し、営業を仕組みで動かすことは、組織の成長を加速させ、売上を安定させるための強力な土台となります。

営業が属人的である限り、売上は不安定で、会社の未来は常に「人」に左右されます。
売れる会社は、「誰がやっても売れる」を実現できる仕組みを持っています。

もちろん、最初から完璧な仕組みは必要ありません。まずは、成果の出ている営業手法を「見える化」することから始めてみてください。

営業の流れを整理し、社内で共有し、改善を重ねる。
この取り組みを続けることで、属人的な営業から脱却し、再現性のある強い営業組織へと進化することができます。

そして最終的には、「人に頼らず、仕組みで売る」会社こそが、持続的に成長していくのです。

4. 売れる会社は“戦略”と“現場”がズレていない

どんなに素晴らしい戦略を描いても、それが現場に伝わり、実行されなければ売上にはつながりません。
逆に、社長と社員の意識がズレている会社では、「言ったはず」「わかってるはず」が空回りし、実行されずに終わることがほとんどです。

売れる会社は、戦略と現場の行動が一致しており、組織がひとつの方向に向かって進んでいます。
この「一体感」があるからこそ、戦略が“絵に描いた餅”で終わらず、成果として実現されているのです。

では、戦略と現場をつなぐために、売れる会社はどのような取り組みをしているのでしょうか。

4.1. 社長の構想が社員に“行動レベル”で伝わっている

多くの経営者は、自社の未来について明確なビジョンや構想を描いています。
しかし、その構想が社員の行動にまで落とし込まれていないことが非常に多いのが実情です。

「売上を1.5倍にしたい」「地域No.1を目指す」「新規事業を成功させたい」といった抽象的な言葉はあっても、現場の社員がそれを“自分ごと”として理解していない。この状態では、組織は動きません。

売れる会社では、社長の構想が“行動レベル”で言語化され、部門・社員ごとの役割にまで落とし込まれています。

たとえば「年商10億円を目指す」という目標に対し、営業部では月間〇件の新規開拓、サービス部ではリピート率の向上、小売部では客単価アップなど、部門ごとの具体的な行動計画が設定されている状態です。

つまり、ビジョン→戦略→戦術→行動まで、すべてが一本の線でつながっている。
これにより、社員一人ひとりの行動が“全社の方向性”と整合し、成果につながるのです。

4.2. 定例会議が“進捗管理”ではなく“戦略共有の場”になっている

会議が単なる「報告の場」や「進捗チェックの場」になってしまっている会社は少なくありません。
そのような会議では、数字の確認と現場の課題が羅列されるだけで、会社として“どこに向かうのか”という視点が抜け落ちがちです。

売れる会社の定例会議は、「戦略共有と意思統一の場」として機能しています。

たとえば、ある建設会社では毎週の営業会議で、単に「今週の契約件数」や「見積の進捗」だけでなく、
・今月の戦略テーマ
・競合の動向に対する自社の対応策
・顧客の反応から見える市場変化
といった“全社の方向性と結びつく議論”を行っています。

現場が「今やっていること」が戦略とどうつながっているかを理解しながら働くことが、成果の再現性を高めるのです。

また、社員同士の情報共有によって、成功事例や失敗事例が横展開されやすくなり、組織としての成長スピードが加速します。

4.3. 社員が“自分の言葉”でビジョンを語れる状態が理想

どんなに優れた戦略があっても、社員が「やらされ感」を持ったままでは、本当の意味での成果は生まれません。
社員が自分の頭で考え、自分の言葉で会社のビジョンを語れる状態が、売れる会社の特徴です。

これは単なる理念の暗記ではありません。
社長の想いを自分なりに解釈し、「なぜこの目標を目指すのか」「この仕事が社会にどう貢献するのか」までを語れる状態のことです。

たとえば、ある福祉系企業では、社員全員が朝礼で「自分が目指す姿」「この1週間で貢献したこと」を発表する機会を設けています。
それによって、会社のビジョンが“押し付けられるもの”ではなく、“自分ごと”として語られるようになりました。

その結果、現場の判断力が上がり、顧客対応の質が向上。リピート率も伸び、結果的に売上も安定してきたのです。

「社員の数だけ、会社の未来を語れる言葉がある」
この状態が実現している企業こそが、本当の意味で組織力を発揮できていると言えるでしょう。

戦略と現場の“ズレ”は、会社の成長を止める最大の原因のひとつです。
売れる会社は、そのズレを徹底的に埋め、組織が同じ方向を見て動ける体制をつくっています。

・ビジョンを行動にまで落とし込む
・会議で戦略を共有し、現場と繋げる
・社員が自分の言葉で未来を語れるようにする
これらの取り組みを継続することで、戦略が生きたものとなり、成果に直結する動きが社内に浸透します。

経営者の頭の中だけにある戦略では、誰も動きません。
それを現場の行動にまで落とし込む力こそが、「売れる会社」の根幹なのです。

5. 売れる会社は「銀行」との関係を武器にしている

中小企業の経営において、銀行との関係は避けては通れません。しかし、未だに「銀行はお金を借りるところ」「資金が必要になったときだけ相談すればいい」と考えている経営者も少なくありません。

一方で、売れている会社は違います。
銀行を単なる“融資先”としてではなく、経営の成長を支える“パートナー”として捉え、積極的に関係を築いています。

この視点の違いが、資金調達の可否だけでなく、スピード、条件、そして会社の成長速度にまで大きな差を生み出しているのです。

5.1. 銀行を“金貸し”でなく“経営のパートナー”として活用

「借りられるときに借りる」「困ったときだけ頼る」という姿勢では、銀行から信頼を得ることはできません。
銀行にとって、最も重要なのは「その会社が健全に成長し、返済能力を維持できるかどうか」です。つまり、企業の“経営姿勢”が重視されているのです。

売れている会社は、銀行と定期的にコミュニケーションを取り、日頃から経営状況や将来のビジョンを丁寧に共有しています。

たとえば、「来期に新店舗を出したい」「今後はオンライン事業に力を入れていく」などの方針を、計画段階から銀行に伝えておくことで、融資のタイミングもスムーズになります。銀行としても、計画性と実行力のある会社には安心して支援ができるのです。

銀行との関係は“取引”ではなく“信頼の積み重ね”によって築かれるものです。
この考え方を持っているかどうかが、長期的な資金調達力の差となって表れてきます。

5.2. 「事業計画書」で資金と信用を獲得している

銀行にとって最も重要な判断材料のひとつが、「事業計画書」です。
しかし、多くの経営者がこの重要性を過小評価し、「とりあえず数字だけ作ったもの」「補助金申請用に急いで作ったもの」で済ませてしまっています。

売れている会社は、事業計画書を“融資を受けるための書類”としてではなく、“成長戦略を伝える手段”として位置づけています。

事業計画書を通じて、「どのような事業を、どのような市場に対して、どのように展開していくのか」「そこにどんな収益性とリスクがあるのか」「資金をどう活用し、どう回収していくのか」までを丁寧に説明することで、銀行側の納得と信用を得ることができます。

実際、ある製造業の事例では、新製品の開発に伴う1億円の資金調達を、数十ページにわたる詳細な事業計画で申請したところ、他社が断られた条件でも満額融資が実現しました。

事業計画書は、経営者の本気度を伝える最大の“説得材料”なのです。
単なる書類としてではなく、戦略と意志を込めた「経営の設計図」として活用することで、資金と信用の両方を獲得できます。

5.3. 資金調達だけでなく“事業の成長スピード”も加速している

銀行との良好な関係があることで得られるメリットは、資金調達だけにとどまりません。
資金に余裕があることで、事業の成長スピードそのものが大きく変わるのです。

たとえば、ある飲食チェーンでは、事前に銀行と事業展開のビジョンを共有し、出店資金の確保を計画的に進めていました。その結果、競合が様子を見ている間に、新エリアへいち早く出店し、先行者利益を獲得することができたのです。

資金が潤沢であれば、優秀な人材の採用、広告投資、設備の刷新、新商品の開発など、攻めの手を打つスピードが格段に速くなります。
売れる会社は、「融資=守り」ではなく、「融資=攻めの経営戦略」と捉えているのです。

また、銀行との信頼関係が構築されていれば、政策金融や信用保証協会との連携融資、補助金・助成金の情報提供など、外部リソースの紹介や活用も受けやすくなります。

つまり、銀行を“経営資源のひとつ”としてフル活用している会社ほど、成長のスピードが圧倒的に違うのです。

まとめ
銀行との関係は、単なる融資の有無ではなく、会社の成長を支える“経営戦略の一部”です。
売れる会社は、銀行との関係性を“資金を借りる”だけでなく“経営を加速させるパートナー”として捉えています。

・日頃からの情報共有と信頼構築
・本気度の伝わる事業計画書の作成
・成長戦略のスピードを支える資金の確保
この3つを実践することで、単なる資金調達を超えた、大きな経営効果を得ることができます。

銀行との関係を“負債”ではなく、“未来への投資”と考える視点が、売れる会社の共通点なのです。

まとめ

「売れる会社」と「売れない会社」の違いは、商品力や景気といった外部要因ではありません。
その差を生み出しているのは、“社長の視点”と“会社の仕組み”です。

本コラムでは、売れる会社に共通する5つの視点をご紹介しました。

1つ目は「数字で判断する経営」
感覚ではなく月次の数字に基づいて動く会社は、課題を早期に発見し、的確に改善していきます。

2つ目は「ターゲットの明確化」
「誰に、何を、なぜ提供するのか」が明確な企業ほど、お客様に選ばれやすく、価格競争にも巻き込まれにくくなります。

3つ目は「営業の仕組み化」
属人的な営業ではなく、誰でも一定の成果が出せる体制をつくることで、売上の安定と成長が見込めます。

4つ目は「戦略と現場の一致」
ビジョンが社員にまで浸透し、日々の行動と結びついている会社は、組織全体が一体となって動きます。

そして5つ目が「銀行との関係の活用」
銀行を経営の味方とし、資金調達を単なる補填ではなく、成長戦略の一環として活かしている企業は、事業のスピードを何倍にも加速させています。

これら5つの視点は、すぐにでも取り組める“経営の土台”です。
すべてを一度に変える必要はありません。まずは、今の会社に欠けている視点がどこにあるのかを見直し、一歩ずつ整えていくことが、売れる会社への最短ルートです。

経営はセンスではなく、仕組みと視点で変えられます。
このコラムが、あなたの会社の次なる一歩のヒントになれば幸いです。

あなたは経営者として、どのようにして経営の土台を整えて、「売れる会社」に変革されていくおつもりでしょうか?

 

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