透明資産経営|値引きしないと売れない店と価格で選ばれない店の違い──単価を上げる空気のつくり方とは?

ー価格は数字ではなく納得感で決まる
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
店舗経営において、「価格」の問題は避けて通れません。売上を上げようとすると、どうしても値引きやキャンペーンに頼る場面が増えていきます。しかし、値引きに依存する状態が続くと、利益は圧迫され、ブランド価値も下がりやすくなります。一方で、値引きをしなくても安定して売れ続ける店も存在します。むしろ、他店より高い価格設定でありながら、お客様に選ばれ続けている。この違いはどこから生まれるのでしょうか。
結論から言えば、「価格の感じ方」を決めている空気の違いです。人は、単に価格の数字だけで判断しているわけではありません。同じ1,000円でも「高い」と感じる場合と「安い」と感じる場合があります。この違いを生み出しているのが、「その価格に対する納得感」です。行動経済学では、これを「参照価格」や「価値認知」といった概念で説明します。顧客は、体験全体の価値と比較して価格を評価しています。つまり、商品単体ではなく、空間、接客、雰囲気を含めた“体験”が価格の妥当性を決めているのです。
ここで重要になるのが、店舗の空気です。例えば、東京・銀座の寿司店では、一貫数千円の価格でも多くの顧客が訪れます。これは単にネタが高級だからではありません。店内の空気、職人の所作、接客の質、そのすべてが一体となって「この価格に見合う体験」を提供しているからです。一方で、同じような食材を使っていても、空気が整っていない店舗では価格に対する不満が生まれやすくなります。提供が遅い、接客が雑、店内が落ち着かない。このような状態では、どれだけ価格を下げても「高い」と感じられてしまいます。
つまり、価格競争に陥るかどうかは、空気によって決まるのです。さらに注目すべきは、スタッフの状態です。スタッフが自信を持って商品を提供しているかどうかは、顧客の感じ方に大きく影響します。自分たちの商品に誇りを持ち、価値を理解しているスタッフは、自然と堂々とした接客になります。その姿勢が、顧客の納得感を高めます。逆に、価格に対してスタッフ自身が不安を感じている場合、その空気は無意識に伝わります。説明が曖昧になり、提案に自信がなくなり、結果として顧客の不安を増幅させてしまいます。
この違いは、単なる教育の問題ではありません。組織の空気の問題です。また、単価を上げるためには「信頼」が不可欠です。顧客は、信頼している店に対しては、多少価格が高くても受け入れます。この信頼は、一度の接客ではなく、日々の積み重ねによって生まれます。そしてその積み重ねを支えているのが空気です。例えば、関西で人気のベーカリー「ル・シュクレクール」は、決して安価な価格帯ではありませんが、多くのファンに支持されています。商品の品質はもちろんですが、店舗全体に流れる丁寧で誠実な空気が、顧客との信頼関係を築いています。
この信頼があるからこそ、価格ではなく価値で選ばれる状態が生まれます。私は、この価格に対する納得感をつくる力こそが、透明資産の重要な側面だと考えています。透明資産は、商品やサービスの価値を最大限に伝えるための土台です。経営者にとって重要なのは、「どう値下げするか」ではなく、「どうすれば価値が伝わる空気をつくれるか」という視点です。
そのためには、まず内部の空気を整える必要があります。スタッフが自社の商品に誇りを持てる状態をつくること、理念や価値観を共有すること、日常のコミュニケーションを活性化すること。この積み重ねが、空気を変えていきます。価格は結果です。その原因は、顧客が感じる価値にあります。そして、その価値を形づくっているのが空気です。
値引きに頼る経営は、短期的には効果があります。しかし、長期的には持続しません。空気を整え、価値を伝え、信頼を積み重ねる。その結果として、価格で選ばれない店が生まれます。見えないものだからこそ、意図的に設計する。その積み重ねが、単価を高め、利益を安定させ、強いブランドをつくっていくのです。
ー勝田耕司
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