トップ次第で組織は変わる

今日は私の子どもたちにリーダーの話しをしよう。
第4話
【トップ次第で組織が変わる】
これは近現代の組織論を持ち出すまでもなく、古の時代からの絶対的真実のひとつだ。数人しかいない組織から数万人、数十万人の社員がいる大企業も同じ話だ。すべての組織はトップ次第で如何様にも変化するということ。
如何様にもとは、良くにも悪くにも如何様にも変化するということ。得てして、出来の悪いトップに代わることで組織は驚くほど速く悪くなり、上手くいかなくなる。
対して、素晴らしく良い人物がトップに立つことで組織は時間が掛かることがあるかもしれないが、必ず良くなる。
それだけに組織のトップに立つことは責任が重い。言い換えるなら、人の上に立つ者は、決して安易に就いてはならないということ。すべての組織のトップには、トップに立つ覚悟と信念がまず問われることになる。
私は長年、多くの経営者を見てきた。立派な会社も見たし、残念ながら崩れていく会社も見てきた。その中で強く感じたことがある。
会社の雰囲気は、必ず経営者に似る。明るい会社には、明るい経営者がいる。陰湿な会社には、陰湿な経営者がいる。挑戦する会社には、挑戦する経営者がいる。責任転嫁ばかりする会社には、責任転嫁する経営者がいる。
組織というものは不思議なほどトップの思想、言葉、姿勢に染まっていく。これは決して偶然ではない。人は上を見て仕事をするからだ。
社長が怒鳴れば、幹部も怒鳴る。社長が保身に走れば、社員も責任を避ける。社長が学ぶことをやめれば、会社全体が成長を止める。
逆に、トップが率先して汗を流せば、人は動く。トップが誠実であれば、組織にも誠実さが生まれる。トップが最後まで逃げなければ、社員もまた踏ん張る。
つまり、組織改革とは、まずトップ自身を改革することなのだ。だが、多くの経営者はここを勘違いする。
社員教育をすれば会社が変わると思っている。制度を変えれば良くなると思っている。もちろんそれも大事だ。だが、本当に組織を変えたいなら、最初に変わらねばならないのはトップ自身である。
人は言葉では動かない。上に立つ人の姿を見て動く。社員は命令で動いているのではない。納得して動いている。
この人のためなら頑張ろう。この会社を守りたい。この経営者と一緒に未来をつくりたい。そう思えた時、人は自ら力を発揮する。
逆に、トップが社員から信頼を失えば、どれほど立派な戦略も空回りすることになる。経営というのは結局、人間の営みなのだ。
苦しい時に逃げない胆力。人の話しを聞く謙虚さ。間違いを認める素直さ。そして、最後まで責任を負う覚悟。
トップとは、組織の一番偉い人ではない。一番責任を負う人だ。ここを履き違えると組織は壊れる。
近年、「権限委譲」という言葉をよく耳にする。もちろん大切なことだ。だが、責任まで部下に押し付けてはならない。最後の責任だけはトップが背負わねばならない。社員はそこを見ている。
問題が起きた時、社長が前に立つのか。それとも部下を盾にするのか。たったそれだけで、社員の信頼は大きく変わる。
私が尊敬する経営者たちは、例外なく腹が据わっていた。会社が苦しい時こそ逃げなかった。社員の前で虚勢を張るのではなく、自ら先頭に立っていた。だから人がついていった。
結局、組織とは「誰がトップか」で決まる。戦略やノウハウも大切だ。だが最後は、その組織を率いる人間の人格と覚悟が組織の未来を決める。
トップとは孤独なものだ。
人の上に立つ覚悟を持った者だけが、人の上に立たせてもらえる資格を持つのだと思う。
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