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事を為すに優先順位を間違えるな

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

事を為すに優先順位を間違えるな

今日は私の子どもたちに経営の話しをしておこう。

第3話

【事を為すに優先順位を間違えるな】

これの前提として、事の本質を見極め、見誤らないというのがある。例えば、今ひとつの新しい事業を始めようとしているとする。その前に、その事業の本質を十分に見極めておく必要がある。

事業の本質とは何か。何のためにこの事業をしようとするのか、その目的を徹底的に追い詰めて考えておくことだ。それを明確にしておくことが、今後事業展開をする際、羅針盤となって我々を目標に導いてくれることになる。

こうして事業の本質を見極め、目的が明確になって初めて行動することができる。その際、最も大事なことが、事の優先順位を間違えるなということだ。

何を先に為し、何を後にするか。

この判断をしっかりとすることが、事の成否を左右する。経営者に求められる重要なマネジメントの一つだ。

私は長く経営者をやってきて、何度もこの「優先順位」というものの大切さを思い知らされた。経営者は毎日、実に多くのことを考えなければならない。

売上をどうするか。社員をどうするか。資金繰りをどうするか。新しい商品をどうするか。お客様への対応をどうするか。取引先との関係をどうするか。挙げればきりがない。

そして、どれも大切なことに見える。だからこそ、経営者は迷う。あれもやらなければならない。これもやらなければならない。そうしているうちに、何から手を付けてよいのか分からなくなる。

私は、これが経営者にとって非常に危険な状態だと思っている。何でも大切だと思う人は、結局、何も大切にできない。本当に大切なものを見極め、まずそれに集中する。それが経営者の仕事なのだ。

例えば会社の業績が悪くなっているとする。売上を増やそうと、新商品を考える。新しい営業先を探す。広告を増やす。社員を増やす。いろんなことを考えるだろう。しかし、その前に考えなければならないことがある。

そもそも、なぜ売上が落ちているのか。お客様が必要としているものと、自社が提供しているものがずれているのではないか。商品そのものに問題があるのではないか。営業の仕組みに問題があるのではないか。社員の教育に問題があるのではないか。

原因を見極めないまま、いきなり対策を始めてはいけない。病気になった時と同じだ。熱があるからといって、熱を下げることだけを考えていてはいけない。なぜ熱が出ているのか。その原因を調べる。

経営も同じなのだ。まず本質を見る。次に原因を見る。そのうえで、何を最優先にするのかを決める。この順番を間違えてはいけない。そして、優先順位を決めたなら、覚悟を持って取り組むことだ。

あれもこれもと手を出してはいけない。経営者が一番やってはいけないのは、重要なことを後回しにして、どうでもいいことに時間を使うことだ。忙しく働いているからといって、仕事をしているとは限らない。

経営者が朝から晩まで会社にいて、たくさんの仕事をこなしていても、本当に重要なことを何も決めていなければ、経営者としての仕事をしているとは言えない。経営者の仕事は、作業をすることではない。

何をするのかを決めること。そして、何をしないのかを決めることだ。これもまた経営者の大切な仕事なのだ。

私は若い頃、この「やらないことを決める」ということが、なかなかできなかった。新しい話が来れば面白そうだと思う。新しい事業の話があれば、なんでもやってみたくなる。

人から頼まれれば、断ることもできない。そんなことを繰り返しているうちに、自分が本当にやらなければならないことが後回しになってしまう。

今振り返れば、これも経営者としての未熟さだったと思う。人生にも同じことが言える。人生は時間が有限だからだ。何をするかを決めることは、何に自分の時間を使うかを決めることでもある。そして何に時間を使わないかを決めることでもある。

君たちもこれから経営者として、たくさんの選択を迫られることになるだろう。その時、目の前に現れたものを片っ端から処理するのではなく、一度立ち止まって考えてほしい。

「これは本当に今やるべきことなのか。」

「もっと先にやるべきことはないのか。」

「そもそも、これは我々がやるべきことなのか。」

この三つを自分に問い掛けてほしい。そうすれば、少しずつ見えてくるものがある。経営者は、何でも自分でやる人ではない。本当に重要なことを見極め、それを最優先にして、人と時間とお金を集中させる人なのだ。

事を為すには、順番がある。急いでいるからといって、その順番を飛ばしてはいけない。焦っている時ほど、本質を見る。迷った時ほど、目的に戻る。そして、何を先に為すべきかを考える。私は経営者として長く生きてきて、ようやくそのことの大切さが分かるようになった。

だから君たちに伝えておきたい。「何をするか」ばかりを考える経営者になるな。「何のためにするのか」を考え、「今、何を為すべきなのか」を考える経営者になってほしい。

事の本質を見極め、優先順位を間違えない。

それだけでも、経営の判断は大きく変わってくる。そして、その一つひとつの判断の積み重ねが、やがて会社の未来をつくっていくのである。

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