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中小企業がシェアを取りにいくと死ぬ理由

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特注ビジネス」づくりの専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

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「中川先生、次の新商品の構想に関してですが、基本的には市場シェアを取りにいくという発想でいいのでしょうか?」 - 先日ご紹介で個別相談を受けにお越しになったT社長からのご質問です。

「シェアを取りにいく発想は捨ててください。時代遅れです。死にますよ。」と私が強い表現で言い切ると、T社長は「え? 時代遅れですか……」と戸惑った表情をこちらに向けられました。


 

製造業を営むT社長はこれまで「規模の経済」の発想で経営をされてきました。マス市場に広く受け入れられる商品を投入し、価格を抑えてシェアを狙う、つまり数量を取りにいくことでコストダウンし、低価格ながらも利益を出す。このサイクルを回す発想です。

なぜこれでは通用しないのでしょうか?

これは当コラムでも過去何度もお伝えしているように、90年代ぐらいまでの「大きな物語の時代」においては、画一的なニーズかつ右肩上がりの市場であったため、市場で広く受け入れられるもの、つまり顕在化したニーズに合ったものを提供すれば受け入れられる時代でした。

顕在化したニーズに合ったもの=すでにコモディティ化したもの、ということであり、基本的には競合との価格競争になりますが、需要が伸びているために量がはけますから、コストダウンが効いて利益を確保することができたわけです。

しかし、ニーズが限りなく多様化・細分化した現在において、昔のように「量がはけるマス市場」はありません。いわば市場が「総ニッチ化」しているわけですが、そんな市場にコモディティ化した商品、つまり「すぐ売れそうな商品」を投入したところで、たとえ低価格を設定しても大して量が出ない、という現象が起こります。つまりシェアを狙いにいっても全く儲からないということです。

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市場シェアを取りにいって儲からずに苦しんでいる「業界トップ」企業はいま多くの業界でみられます。

たとえば家電業界。売上高でダントツトップのヤマダ電機は売上1.6兆円に対し経常利益473億円、売上高経常利益率は3%です。この数字を見ると、「やはり家電業界は儲からない」と映ります。

しかし、業界4位のヨドバシカメラは売上は6805億円とヤマダの半分以下ながら経常利益は606億円(利益率8.9%)と収益力でヤマダを大きく上回っています。業界5位のケーズデンキも利益率5.4%を誇ります。

この利益率の差は戦い方の違いです。ヨドバシカメラはヨドバシ.comで当日着出荷を打ち出すことによりWeb販売比率を高め、店頭での「特別値引き」を回避しています。ケーズデンキも郊外出店に特化し、店舗での厚い顧客対応を提供することによって顧客満足を高めて値引き競争から抜け出しています。

値引きしてトップシェアを取りにいっているヤマダ電機だけが儲からずに苦しんでいるということになります。

ここに大きな示唆があります。まったく同じ商品を売っていても、ビジネスの切り口の違いで利益は大きく違うということです。

これが「市場シェアを取りにいこう」と思ったとたん、すでに顕在化しているニーズを取りに行く発想にどうしてもなってしまいます。すぐに売れそうなものを出そうとしてしまうのです。

いまのようにニーズが目まぐるしく変わり、商品のライフサイクルが短命化した時代において、「いま見えているニーズ」を取りにいくことほど危ないことありません。「すぐに売れそうな商品」は「すぐに売れなくなる商品」なのです。そんな商品を開発費をかけてつくってしまったらどうなるか…。在庫の山を最安値で処分するという、よくある末路がまっているだけです。

そもそも、ずっと日本で教えられているマーケティングの考え方は80年代のアメリカで流行ったものであり、シェアを確保することで勝てた時代の手法です。そういった古いマーケティングや経営戦略を引きずったまま経営指導しているマーケッターやコンサルタントも非常に多いですが、彼らの話を鵜呑みにして、すでに終わった「大きな物語の時代」の戦い方をしてしまったのでは命取りとなります。

市場が総ニッチしたいまの時代に必要なことは、見えている市場に合わせにいくことではなく、新しいニッチを創り出す発想です。新しい市場をつくることです。見込み客の方でもまだ明確に気づいていない「潜在ニーズ」や「当たり前化している困りごと」を探し当てることができれば、一気にゲームを塗り替えることができます。ある意味競合と戦わずして勝つという状態がつくれるのです。

昔から、爆発的なヒットを飛ばした商品というのは、事前の市場調査や社内での検討では「そんなの絶対売れない」と言われたものばかりです。その理由は、その時点ではまだその商品に対するニーズが顕在化していないからです。

「市場でトップシェアを取りに行く」― はじめからこの発想で見えている市場を取りに行くことは、真っ赤に煮えたぎるレッドオーシャンに自ら飛び込んでいくようなものです。

それは昔の大企業がとった戦い方であり、彼らは「大きな物語の時代」の終焉とともにつぎつぎと倒れていったことは皆さんもご存知のはずです。そんな大企業でも耐えきれなかったマス戦法を中小企業がたどって勝ちきれるはずがありません。ボロボロになるだけです。

時代錯誤の「シェア至上主義」など捨てて、現代の「小さな物語の時代」に合った、御社ならではのユニークな戦い方を見出していきましょう。

 

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儲かるキラーサービスを つくる社長の視点
中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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