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なぜ新規事業はうまくいかないのか

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特注ビジネス」づくりの専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

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「新規事業ってうまくいかない方が多くないですか?」-ある経営者がご自身の新規事業立ち上げの失敗体験を振り返りつつ、そうおっしゃいました。そして、失敗を恐れていては新しい事業など立ち上がらないと。

確かに失敗を恐れていては新しいことに挑戦することはできませんし、よく言われることですが「成功者ほど多くの失敗を経営している」というのも真だと思います。

しかしながら、ここから転じて「やってみなければわからない」と安易に考え、「とりあえずやってみよう」と参入してしまうのが、多くの新規事業が失敗するパターンです。

仕事柄、さまざまな「新企業の失敗例」を見たり聞いたりしてきましたが、どれも例外なく「事前の検討」が甘く、事業計画が計画の体を成していないものばかりでした。

非常に独りよがりな、すべてこちらの思い通りにいけば黒字化するというような計画だったり、顧客のニーズ把握や競合分析がまるごと抜けていたり、あるいは本当に文字通り「無計画」でお金と時間を突っ込んで新規事業を立ちあげてしまった会社もありました。

戦国時代の小説や映画を見ていると、「彼らはあの強い敵を相手にどうやって戦うんだろう?」と自然と戦い方に興味をもつものですし、それがなんの戦略もなく「突撃!」と突っ込んでいったとしたら「おいおい大丈夫か?」と思うものですが、これが自分たちの戦いとなったとたんに、なんの策も武器も持たず、相手のこともよく調べず、「とりあえず突撃」ということを不思議とやってしまうわけです。

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新規事業は計画が9割です。9割どころか99%、事前の計画がすべて。やる前に「勝てるシナリオ」を描けない事業を「とりあえずやってみて」うまくいくはずがありません。もちろん実際にやってみたらシナリオどおりにいかないことばかりですが、それでも事前に勝てる算段がついていない事業に手を出すことは、これはもう博打と同じ話になってしまいます。

ではなぜ多くの場合、事前の事業計画が甘くなってしまうのか。

これは、経営者が事業戦略を描き切るための戦略思考に慣れていない、ということもあると思いますが、その背景にはより本質的な問題が潜んでいると私は考えています。

それは「目的の欠如」です。そもそもなぜこの事業をやる必要があるのか? この問いに対する明確な答えを持つことです。

そして答えが、現在の事業がジリ貧だからとか、あの市場が伸びているから儲かりそうとか、そういった自分目線の発想になっている場合は失敗します。こういった内向きの発想にとらわれていると外を見れていませんから市場性の判断が甘くなるわけです。そしていざやってみたら、ことごとく顧客のニーズを外していたり、すでに競合が同じことをやっていたりと、まったくインパクトが出せずに終わってしまうということになりがちです。

本当にうちがこの事業をやる必要があるのか?
 わざわざうちが参入しなくても、もう間に合っているのではないか?
 お客様はすでに満足しているのではないか?
 満足していないとすればそれはなぜか? 何が見過ごされているのか……。

そうやって冷静に市場を俯瞰しながら自社が本当にやるべきことは何かを考えたならば、自然と自社のUSP(独自のウリ)は明確になり、勝てるシナリオも見えてくるはずです。

これは何も新規事業の立ち上げに限った話ではありません。いまやっている事業についてもまったく同じ話です。

そもそもうちがやる必要があるのか?
 他社の商品・サービスで間に合っているのではないのか?
 あるいは顧客は実は困っていることがあるのではないか? 

そのように、顧客の立場に立って市場を俯瞰すること。顧客の思いの先を読むこと。そうした「外向き」の視点から自社の事業を常に見直していくことが、この変化の非常に激しい時代にますます求められています。

かつてGEのトップを務めたジャック・ウェルチは「業界で一位か二位になれない事業は撤退」という方針を打ち出しました。「大きな物語の時代」におけるグローバル企業としての戦い方としては至極まっとうな判断であったと思います。

しかし、いまの「小さな物語の時代」におけるローカル企業の戦い方としては、GEのようにシェアや売上などの量的基準だけで事業性を判断することは適当ではありません。

では何で判断するかというと、それは繰り返しになりますが、USP(独自のウリ)があるかということに尽きます。「独自の切り口をもち市場で際立つこと」は中小企業にとって絶対に押さえるべきポイントであり、他社と同じことをやっていてはコモディティ化の波にあっさりとさらわれることになります。

ここで、独自の切り口といっても業界時代が古くて成熟しているから難しい、と思われる経営者もおられるかもしれません。しかし、これは業界の古さはまったく関係がありません。たとえば印刷業界だろうと、段ボール業界だろうと、独自の切り口で業界平均を大きく上回る業績を出している会社はたくさん存在します。

現に当社のクライアント企業においても、業界でだれも打ち出していない「特別ビジネス」を武器に大きく事業の転換を果たした会社は数多くありますし、そこに業界の制約はありません。

「事業の目的」をあらためて見直し、「本当に自分たちがやるべきこと」をしっかりと見据えて、市場で際立つ自社独自の切り口を打ち出していきましょう。

 

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儲かるキラーサービスを つくる社長の視点
中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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