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意外と間違っているモチベーションの上げ方

SPECIAL

人事制度コンサルタント

株式会社ENTOENTO

代表取締役 

会社を成長させる人事制度づくりで、700社以上の指導実績を誇る日本屈指のコンサルタント。日本の過去50年間の人事制度のつくり方とは異なり、経営者の評価と賃金の決め方を可視化してつくる画期的な人事制度は経営者から大きな支持を得ている。

「『この環境では賞与は出せない。だからみんな頑張ってくれ』と伝えたのに、社員がヤル気を出す様子が見えません。どうしたらいいでしょうか?」

先日頂いたご相談です。

「社員が頑張ったら頑張った分だけ、昇給額を増やす!」

「社員が頑張ったら頑張った分だけ、賞与額を増やす!」

もし社員にこのような発言をしているとしたら大問題です。

あまりにも当たり前に使われている言葉なので、その言葉のどこに問題があるか分からないかもしれません。しかし考えてみてください。

例えば、「頑張った分だけ賞与額を増やす」と言われていたAさんとBさんが、お互いの賞与額を見せ合ったとします。Bさんの方がAさんより少ない金額でした。その時Bさんはどう思うでしょうか。

「私はAさんよりも賞与が少ない。つまり社長は、私はAさんより頑張っていないと思っているのだ」

こう思ったBさんの心境が理解できるでしょうか。Aさんと同じように、Bさんも頑張っていました。しかし賞与額が少ないから「私はAさんより頑張っていない」と評価されたと思ったら、明日から「成長しよう」とか、「頑張ろう」とかそういう気持ちは根こそぎ無くなります。

これは、例えば社員が100人いたとすれば、当然最も賞与が高いのは1人だけですから、残りの99人全員に同じようなことが起こる可能性があるのです。

それではこのケースの場合、本当に、社長は「Bさんは頑張っていない」と思ってその賞与を決めたのでしょうか。いいえ、そうではないはずです。それはそれぞれの成長段階に応じた賞与の金額であり、決して頑張りの大きさによって変えたのではないでしょう。

そうだとしたら、冒頭の言葉の間違いに気が付くのではないでしょうか。社員には正しく説明しなければなりません。

「成長シート」の成長点数で、20点の社員には20点の賞与、40点の社員には40点の賞与、60点の社員には60点の賞与、80点の社員には80点の賞与の金額を決めるのです。そういうことなのです。

もっとも、社員の賞与に1番影響を与えるのは会社の業績です。業績が良くなって賞与原資が大きくなれば、20点の社員の金額も80点の社員の金額も一緒に増えます。だからこそ、全社員がそれぞれの成長段階で協力し合って、業績を高め賞与原資を最大にしていくことが最も大切なことです。もし正しい賃金制度をつくって説明したら、社員が賞与明細書を配った時に、全社員がいっせいに「ワーッ」と喜んだり、「ワーッ」と悲しんだりしなければならないのです。社員の反応が経営者の想いと一緒にならないとおかしいのです。

正しい人事制度をつくって説明し、すべての社員のモチベーションを向上させましょう。そして経営者は正しく発言しなければなりません。

「賞与は社員の成長と業績の向上によって増える。他の社員の賞与を気にする必要はない」

この理解により、社員はお互いに教え合って成長し、会社の業績も最大になります。そのために、人事制度をつくるのです。

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