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DX推進の最大の障壁とは?

SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

企業の社内業務のシステム化、IT化とペアで進めるのが効果的なDX推進。「DX化」とは概念が非常に幅広いので「これがDXです」と端的に言い切ることはできない領域ですが、社内のシステム化と対比して乱暴に表現すれば「商品やサービスのデジタル化」と言っても良いでしょう。

「商品やサービスのデジタル化」をきちんと企画してゆくチカラが企業に求められるので、人材市場では「DX人材が少ない」といった悲鳴も聞こえてきますし、外部から人を採るのではなく内部でDX人材を育てる動きもあります。これらの動きは総じてウェルカムではあるのですが、問題はその企画の先の、越えることが非常に難しい障壁の存在です。しかも、これがまた日本独特のことなので実に悩ましい。これを越えずして世界と戦えるわけがありませんので、皆さんにも是非考えて頂きたいことでもあります。

議論をシンプルにする為、例えを設定してみましょう。少々スケールは大きいですが、モビリティ革命を例にしてみます。多く報道されている通り、自動運転については各国・各企業がしのぎを削って開発を進めています。どの時点でどの程度まで運転が自動化されるか、これは注目に値しますし、そのレベルによっては本当に急激に革命的なことが発生すると思います。しかしモビリティ革命は自動運転のことだけに留まりません。

シェアリングエコノミーの流れで、クルマは所有から利用へ形態を変化させるでしょうし、移動手段はクルマやバイクだけでなく、電動キックボードや、少し古いですがセグウェイの様なものまで多種多様です。これらがネットワークでセンターや相互に繋がり、そこに利用価値が生まれる、という循環がこれから始まろうとしています。

さて、ここで問題なのは、「日本では企画は良くても実現ができない」というジレンマに陥りやすいことです。モビリティについては、道交法の制約があるため、クルマやバイクに分類できない移動手段が出てきた際、「どちらに分類するのか?」という「革命的なものごとを改善レベルのこととして扱ってしまう」ことが過去何回もありました。いわゆる「既製概念から飛び出すことができない。飛び出したものを型にはめようとする。」という日本的な癖の問題です。ウーバーがライドシェアサービスを日本で展開しようとした際にも、様々な法規制と業界の壁の前に挫折し、結局はタクシー配送アプリになってしまったこともこの潮流の一つですね。

通常の企業活動でもこれと似たようなことが発生しています。例えば、ドローンの活用です。ドローンが世の中に登場した当時、様々な夢が語られました。一般的な空撮サービスだけでなく、構造物のメンテナンス、地形の3次元モデリングなど、実に様々なアイディアが湧き出していました。これらはきちんとサービスを継続しているところもあるものの、ドローンの飛行規制が始まるとともに熱量が冷めてきていることは確かだと思います。おそらくAIについてもこれから様々なネガティブ要因が引き合いに出され、せっかく革命的なアイディアが出てきても潰されることが増えてくるでしょう。

こんなジレンマが渦巻く日本国内から海外に目を向けると状況は全くことなります。前者のモビリティについても法令を柔軟に変化させて社会実装を促そうとする動きが活発ですし、ドローンについても軍事施設周辺では厳重に禁止している国が多いものの一般的にはそれほど強い規制を打ち出してはいません。むしろ積極活用の方向です。国内と国外でなぜこれだけの差が生じてしまうのでしょうか?私なりの結論ですが、それは「日本人の中には、大きな変化を好まない人が一定数居る」ということです。その一定数の人が偶然にも社会を引っ張る立場に多い。

しかし、日本が内向きにそんなジレンマを抱えて右往左往する時間的余裕は全く無いはずです。デジタル化については2周遅れぐらいになっている、言わば後進国であり発展途上にもなっていない日本が、もうこれ以上足止めを食ってはいけないはずです。社内外にも、このような「変化を望まない」人達が一定数いると思います。これらの人達を説得しなければならないのはそれ以外の人達の責務ではあるものの、いつまでもその説得に付き合っていられる余裕も無いので、有る程度は見切り発車でスタートさせないといけないはずです。

本コラムで、このDX化の最大のハードルを越える方法を解説できればベストなのですが、こればかりは社会全体で考えていかねばならないことで、結論めいたものは言えません。一人一人がDX化による豊かな社会を実現するため、小さいことでも変化を受け入れられる土壌を作っていくことが唯一できそうなことだと思います。是非、皆さんも考えてみてください。そして、その変化を望まない人達の存在を確認し、早めに対処をはじめていただくことが、DX化の最初の一歩になると思います。

 

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