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企業ファンの増やし方

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング

代表 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

2022年は「継続」そして「情熱」こそが力となる時代です。遡ること2020年の春以降、世界中で人の移動、人の流れが一度止まりました。新しい商品サービスを次々と発表し、人をたくさん集めて販売し消費するモデルが崩れました。

以来、既存客へのアプローチが重要視され、「企業ファン」という切り口でマーケティングする中小企業が増えています。濃い企業ファンとは自社商品サービスを生涯に何度も購入して応援してくれる人たちのことを指しています。

「ファン」という言葉の響きは心地良いものです。しかし実際のところはどの企業も人間相手のビジネスをしています。“お花畑”とは真逆、どこまでも泥臭く「ご贔屓客」「後援者」「お得意様」「谷町」といった呼び方の方がなじみ深いものです。時代時代に合わせてコミュニケーションの道具が変わるだけのことで、本質的には人間同士の「深い絆」を結ぶことに尽きます。

自社の顧客を何と呼ぶかは経営者の考え方次第です。「消費者」「生活者」「エンドユーザー」「カスタマー」と呼び方が混在している企業もあります。世界を席巻している韓国の音楽グループ「BTS」は、ファンを「ARMY(アーミー)」と総称し、ファン自身も「わたしもARMYだよ! 」とコミットすることでコミュニティの一体感を高めています。

寺院ではお参りに来る客を「参拝者」、寺に所属し経済的に支援する人たちを「檀家」と呼びます。宗教においては「信者」となり、病院では「患者」「患者様」で、福祉施設であれば「利用者」という呼び方になります。

そもそも「客」とは「家に来る人」が字源です。広辞苑では、「商売で料金を払う側の人」と説明されています。ビジネスにおいて、自社が「モノ」「人」「情報」「時間」を提供し、それに対して料金を支払う人が「お客様」です。この循環がぐるぐる回ることで、自社とお客様のそれぞれが豊かになり、社会が潤います。カネが支払わなければ循環が止まり、事業は死にます。お客様は自社の「支配者」なのです。

一方、お客様は自社の「支配者」などではありません。それは宇宙飛行士の手記を読めば腑に落ちます。宇宙船から出で宇宙空間から地球を見た飛行士たちは誰もが口をそろえて言います。「国境すら意味がない。他の生き物と同じように、人間は地球に生かされている存在。地球というひとつの船に乗っている」と回顧しています。支配する者でも支配される者でもない、ただの人間だ、と。

近視眼的に考えれば、お客様とは「支配者」です。しかし、宇宙から視れば、だれもが主でも客でもない、地球のシステムによって生かされている「生き物」。おんなじ人間なのです。お客様は支配者であって「支配者」ではありません。

緊急事態宣言後、「集客」が喫緊のテーマになっています。GAFAMのように、最先端のマーケティング手法でガリガリとお客様を集めるやり方で大きくビジネスをなしていく企業も、この地球の経済圏には必要不可欠です。一方、中小企業には中小企業の生き方があります。この地球の生態系と同じでそれぞれが棲み分けながら生きていけばいいのです。自社が輝くウルトラニッチなジャンルを自らが創造するのです。

そのためには、自社商品サービスの得手、強み、持ち味、個性を理解し、エッジを立てることです。商品サービスを磨き上げること、新しいチャレンジをすること、失敗も超えてゆくこと、それら全てを継続していくことも求められます。もちろん、自社に「料金を支払う人」たちとの関係が育ってゆかなければ、循環が枯れビジネスは死に至ります。

ところが多くの中小企業が、この「関係づくり」の継続を途中で放棄します。宣伝広告、PR戦略に対して「費用対効果」という言い訳で、継続しないのです。お客様にとって、情報を選べることはメリットです。企業が「伝える」をしなければ、お客様の選択肢は広がりません。

今時、アナログからデジタルまで、お客様とのコミュニケーションを図るツールはたくさんあります。ダイレクトメール、ニューズレター、電話やお手紙などのアナログツール。公式サイト、ブログ、SNS、メールマガジン、動画サイトといったデジタルツールの活用。その他にはバーチャル〇〇見学、オンラインミーティング、リアルのワークショップなど、コミュニティの構築法もまたハイブリッドなど工夫次第でいろいろあります。

中小企業の多くが「費用対効果」を言い訳に、お客様との関係構築を継続していくことができません。継続こそが大切だとわかっているのに、打ち切るのは、なんのためにそれを継続していくかがわかっていないからです。自社の支配者はだれか、ということを理解していないからです。

ファンはマーケティングが生み出すものではありません。そして一夜にしてできるものでもありません。仕組みをつくり、互いに関係を育ててゆく継続力が必要です。お客様は支配者です。しかし、支配者ではなくおなじ人間です。この矛盾した人間関係をていねいに育てていく努力が求められています。

時にはラブレターが必要です。サプライズのプレゼントも嬉しいものです。楽しいイベントも、心の栄養になります。チャット的なコミュニケーションは日々の水やりと同じです。お客様の笑顔がうれしい。喜んでくれて、おなじ人間として楽しい。そう思うから継続できるのです。お客様を「ARMY」と呼ぶことで、お互いが楽しくなるから、そう呼んでいるのです。

自社にとってお客様は支配者です。そこを忘れてはいけません。主体は自分ではなく、お客様にあります。しかし、それだけでは豊かな関係にはなりません。お客様は支配者ではなく、わたしたちと同じ人間です。わたしたちもまたお客様のひとりです。

自分だったらどう思うのか。自分だったら、自社商品やサービスをどう見るのか。欲しいと思うのか、世の中に必要だと思うことができるのか。自分だったら、自分がお客様だったら、どう感じるのか。ほとんどの中小企業経営者が「当事者視点」を忘れているのです。考えたこともないから勝手にお客様とのコミュニケーションを止めてしまうのです。

何のためにビジネスをしているのか。これからの時代は「哲学」に人が集まります。自社の商品哲学に人は共感し、応援してくれます。ビックデータで集客ができても、ファンになってもらうことは、人間にしかできません。AIにはなくて、人間だけにあるもの、それはモチベーションです。熱い想いです。情熱です。

情熱とは人間にしかない特有の表現です。無限大の沸き起こるエネルギーです。想像もできないような熱意を感じた時、目の前にいる支配者が支配者を超えます、支配者がおなじ人間となって、真のファンとなるのです。真のファンとは家族のようなものです。経営者よ、熱くなれ。それがファンづくりの第一歩です。

 

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