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お客様が増える「喜」のコンセプト開発法

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

商売繁盛の原理原則は、お客様に刺さる「商品コンセプト」にあります。お店や企業の繁栄は、関わるすべての人間が喜び、幸せになることによって支えられるものです。ゆえに、時代を超えて繁盛し続けるためには、お客様の便益、嬉しいこと、喜びや感動といった「喜(き)」を土台にした商品コンセプトを一気通貫させることが肝要です。

このコンセプトが商品やサービスに、社員やスタッフの心に反映したとき、お店や会社は時代を超えて繁盛し続けると、わたくしどもは考えています。

先日、前職洋菓子メーカー(銀座コージーコーナー)が併設するカフェで食事をしました。在職していたのが1998年からの10年あまりです。全国400店舗の時代で、当時に比べると喫茶併設店舗は激減、今や関東圏に15店舗となっています。これもまた企業が成長してゆくための進化プロセスです。

さて、店内に入ると懐かしいメニューが並んでいます。パスタなどの軽食やドリンク、大人気のデザートまでバラエティ豊かです。バナナや苺の定番のパフェや季節限定パフェ、トレンドが続いている「断面萌え」のフルーツサンドなどがラインナップしています。安心感と新奇性で、お客様の心に刺さるバランス感覚です。

店内を見回して驚いたのが、お客様層です。20年前当時と顧客層が「変わっていない」と感じたことです。客層が20年前とほぼ同じなのです。40代、50代、それ以上の方々が、生クリームたっぷり、ビッグサイズの苺パフェを召し上がっているのです。その表情が嬉々としていて、とても満足げなのです。

商品もお店づくりも、時代に合わせてリニューアルしています。シャインマスカットなどトレンドの食材を使ったメニュー開発、クリーム自体の甘さは控えめです。そもそもが大きくて「映える」デザートメニューですから、若年層にヒットしています。一方で、味わいも素材も健康志向の傾向で、進化発展しています。

しかし、お客様層が変わっていない。ベテラン層に支持され、20年前と変わっていないのです。複数のお客様も、1人でパフェを召し上がっている60代くらいのシニア女性も「来てよかった」という表情で、くつろいで座っておられるのです。心の満足感が伝わってくるのです。

在職していた頃より、ホール部門において「顧客層が高齢化している」という課題がありました。若い世代の新規客を増やし、ファンを育ててゆこうと試行錯誤していました。若者向けメニューを開発し提供しつつも、どこかで叫ばれ始めていた社会問題、「少子高齢化」のせいだ、と結んでいたように感じます。

思考停止でした。当時から、ベテラン層に愛され続ける理由があるのです。商品力だけでなく、ブランドが表現するツールの1つ1つに愛される理由があるのです。ロゴ、デザイン、パッケージ、味わい、店のしつらえ、接客、場所作り、それらに愛されるわけが宿っていたのです。これが「強み」なのです。企業が自己満足で考える「強み」ではなくて、お客様が支持する魅力であり、それこそが真の強みなのです。

自社商品サービスのコンセプトを考えるとき、必ず自社の「強み」と一体で考えるようにご指導しています。「強み」の分析は、自社分析からは生まれません。自社のことは自分たちではわからないからです。外部からの第三者視点と、お客様の視点で見ることが求められています。

お客様の「喜び」から自社の強みを再発見することがポイントです。前職の洋菓子メーカーであれば、ベテラン層に刺さる何らかの魅力に着眼することが肝になります。さらにコンセプトづくりで間違ってはいけないことが1点あります。

それは、お客様の「喜(き)」をそのままコンセプトにしないことです。お客様が感じる「喜(き)」から、外側にあるものを剥いて「生(き)」の部分をむき出しにすることがポイントです。わたくしどもではそれを生(き)のコンセプト」と呼んでいます。喜びから「生」を取り出し、時代に合わせる。新しい何かと組み合わせて、半歩先をゆくコンセプトとして磨きあげる。これが、今を生きるお客様に刺さる「コンセプト」づくりの基本的な考え方です。

20年前には「ネガティブファクター」だとしか思えなかったベテラン層に愛される理由。「生(き)」をむき出しにすけば、「いつもの安心感」「スタンダード」「保守性、コンサバティブ」、プラス「若い人向けのトレンド、新しいことが少しある刺激感」といった言葉がキーワードになります。今、変化することばかりが叫ばれている安直で安易な空気感のなかで、これらのワードは無敵の武器になります。大事なことは、生(き)のコンセプトを別の要素とどう配合するのか。新しいニュアンスと組み合わせてどのように昇華させるかなのです。それが、その企業の個性となり魅力、独自性となるのです。

わたくしどもでは、常に本質的な生(き)のコンセプトづくりを提唱しています。生のコンセプトを磨きあげることで新しい価値が生まれます。売れなくなった主力商品が生まれ変わります。そうすることで、今まで出会ってこなかったお客様と出会い、喜んでいただけるようになります。会社がイキイキとし生まれ変わります。

商品だけでなく、店も会社もいちばん輝くのは「らしさ」が表現できたときです。それを見たお客様が嬉しくなって、興味をもってくださる。手に取ってくださって購入するという「喜びの循環」が生まれるのです。喜びは「生(き)」からはじまります。商品コンセプトを磨き上げましょう。

 

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