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オーナー社長のためのリスク対策

SPECIAL

「信託」活用コンサルタント

株式会社日本トラストコンサルティング

代表取締役 

オーナー社長を対象に、「信託」を活用した事業承継や財産保全、さまざまな金融的打ち手を指南する専門家。経営的な意向と社長個人の意向をくみ取り、信託ならではの手法を駆使して安心と安全の体制をさずけてくれる…と定評。

「見えない借金とは、よく言ったものだね。」とU社長。借金ではなく税金なのですが、借りたお金は期限までに返すのが道理です。ただ、社長の心配はお金の問題ではなく、盤石に見えた会社でも一気に廃業にまで追い込まれるという点にありました。

 

1.リスク対応

盤石にみえた企業も想定外の事態が発生すると、一転して想定していなかった対応をせまられることがあります。
 
例えば、先代からの事業承継に際して、事業承継税制を活用していたときに、猶予されていた相続税を負担する事態になった場合などです。
 
会社に経営リスクが発生したうえに、個人に納税の負担が発生するとなると容易ならざる事態です。ただし、事業承継税制が悪いというわけではありません。
 
経営者の相続は必ず発生するリスクですので、事業承継税制の活用も一つの選択肢です。相続が発生してすぐに相続税が払えない場合でも、納税猶予で時間を稼ぐという使い方もありえます。
 
見方をかえますと相続税も国に支払わないといけない借金のようなものです。相続発生してから10か月以内に支払うのが大変であれば、納税猶予を使って2~3年後に支払う、など時間を稼ぐための有力なオプションになります。
 
どのようなリスクを想定するかは業態、戦略、思想などで各社各様です。地震、雷、火事、パワハラ、セクハラ、人権問題、コンプライアンス違反、などリスクを想定するときりがありません。
 
日本企業の99%以上が同族会社です。つまり、オーナー社長に権力が集中する仕組みです。社長の独裁が強みとなる反面、ガバナンスが利かないという弱みにもなります。
 
上場企業のようなコーポレートガバナンスの仕組みを入れればよいというものでもないでしょうし、もちろん、社外取締役を入れれば問題解決になるはずもありません(なるかもしれませんが)。
 
昨今話題になっている某芸能事務所の記者会見について東洋経済オンラインにフランスの雑誌編集長の記事が掲載されていました。
 
記事のなかには「家族会議のような奇妙な会見」「外圧がなければ放置されたまま」「誰も責任をとっていない」などのコメントがあります。
 
同様のコメントが日本の組織で不祥事の起きるたびに出てきますが、問題の根源はどこにあるのでしょうか?

2.原因と解決策

そもそも日本の組織と、フランスやアメリカにおける組織には大きな違いがあります。違いが生まれる原因は家族システムにあります。
 
家族システムの違いは、思想、イデオロギー、法律、経済などに多大な影響を与えます。したがって、組織の構造、運営にも影響を与えるため、例えば、国を代表する組織である中央政府の在り方などにも顕著に現れます。
 
日本人の集合的心性は、組織に反映されます。政府といえども身内ですので国民は基本的に変化を望みません。好ましからざるトップが君臨しても、組織としての秩序が安定していれば変化を好まないのが直系家族の組織の特性です。
 
一方のフランス、アメリカでは政府は国民にとって身内ではなく他人ですので、容赦ありません。その時の国民の都合で選択し、批判します。政府などの権威や権力に対して、国民は戦うことを厭いません(だからデモが多く、過去には革命や独立戦争があった)。
 
会社という組織も家族システムの影響の中にあります。日本でも核家族化が進み、共同体意識も希薄になっていると言われていますが、集団の無意識レベルでは直系家族としてのシステムに縛られています。
 
 
直系家族の構築する組織の特徴は権威者や権力者を頂点とする縦型の統制です。構成員は権力者に対して忖度をし、権力者はその時々の空気を読みながら意思決定をします。
 
その結果、不祥事が起きた時に会社のトップや幹部が会見をすると、文化の違うフランスの雑誌記者にとっては上記のような印象を受けることになります。
 
一方で、10月12日付の日経新聞の記事に「ビジネスと人権」と題する記事がありました。この記事の中にAmazon創業者であるジェフ・ベゾスの「善意は問題を解決しない。仕組みが解決する」という言葉が紹介されています。
 
日本の組織やガバナンスが全部ダメとは思いません。かつて、日本のコーポレードガバナンスは、以下のように認識されていました。
 
経営者と株主との関係よりもむしろ、企業と従業員、金融機関、顧客、取引先との長期的信頼関係をベースに構築され、企業経営の第一義的な目的はそれらのステークホルダーを満足させる最大公約数である「永続的な成長」である。
 
株式価値の向上だけではないという日本的な価値観ですが、色褪せてはおらずしっくりくるように感じます。アングロサクソン的な自由主義とは一線を画しています。
 
対応すべきリスクや問題が発生したら、仕組みを作り、改善を積み重ねていく。時として、改革という変化が必要になるかもしれません。会社や各個人の人生を守るためにも必要になことですので、やむをえません。
 
例えば、事業承継という課題についても、社長がいなくても会社がまわる仕組み、いざとなったら会社を売るという選択肢がある時点で解決の目処がついているといえます。
 
 
 
<まとめ>
 
リスクに備えて、仕組みづくり。もう一つは、組織や集団における権威と権力の分散を考えて日本という国の特性にあった「仕組みを作る」ことではないでしょうか。

 

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