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世の社長の多くが業務のデジタル化に興味が無い理由

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

世の中、DXの話で持ち切りですが、私の肌感覚では中小企業の大半が未だに社内のデジタル化に取り組んでいないか、取り組むことに手をこまねいている状態だと感じています。今回のコラムではその理由を分析してみようと思います。

ケース1:「自社は小さすぎるのでデジタル化の意味は無い」と考えているパターン

30名以下の企業でこのケースは非常に多く見受けられます。社長以外はスタッフではなくライン業務に従事し、事務仕事はパートに任せている、といったケースです。このような会社では、たいていの場合社長は営業を兼ねています。伝票は紙、社長はExcelを使って様々な計画と実績の管理を行っている状態でしょう。規模的にも売り上げは数億円レベルですから、システム投資するほどの余裕はありません。在庫管理も、Excelやノートを使えばなんとかできてしまいます。一見すると確かにデジタル化をする余地が全く無いようにも思えますが、詳しく見てみるとそうでもないことを発見できるものです。例えば、顧客管理です。どのお客様からいつどんな注文がくるのか、社長は営業を兼ねていますから勘と経験で傾向を理解しています。しかし、もし社長がその仕事ができなくなったらどうなるのでしょうか?おそらく社長の代わりができる社員はおらず、すぐに行き詰まってしまうことになります。経験が無い社員が社長の代わりを果たそうとしても、注文の傾向がわからないので、すぐに在庫不足や在庫過多に陥ることになります。

製造系の企業であれば、部品や材料の発注もおそらく社長の勘と経験に支えられています。したがって、その経験が無い社員が代わろうとすると、何をいつどの程度調達すればよいのか全くわかりません。調達価格が日々変動するようなものを扱っている会社では、価格交渉すら難しいでしょう。

このような会社では、社長は「自分でなんとか回せるから良い」と考えてることが多くありますが、会社と社長の「人としての」区別があいまいになっているとしか思えません。社長がもし不在でも、社員が代わって会社をある程度の期間は運営できないと、大切な社員の生活すら守ることもできない、という状態に陥る可能性は極めて高いと言わざるを得ないでしょう。

ケース2:「現状ちゃんと回っているので何も変える必要はない」と考えているパターン

ケース1と類似していますが、このコラムでも良く事例を取り上げる「スーパー社員たちで会社を回している」という状態です。彼ら彼女らはたいてい長い経験を持っており、その仕事のエキスパートです。なんなら社内調整も全部こなすことができ、社長に課題が上がっていくことも少ない状態です。このような会社の社長は「うちの従業員は優秀な人ばかりで助かるなぁ」という感想を持っていることも多くあります。しかしそれは社長の大きな勘違いなのです。スーパー社員でも永久に働いてくれるとは限りません。人間ですからいずれは会社を辞めたり、他社に転職したりすることもあります。その時に大慌てしても時すでに遅し、となることは自明の理ですね。「誰かやめるときに考えればよい」と問題を先送りする発言を聞いたこともありますが、業務が高度に属人化してしまっている場合、その業務を整理して新人でもうまく回るようにするには非常に長い時間と労力が必要になります。対象の社員がそれが終わるまで残っていてくれればよいのですが、その保証は全くありません。スーパー社員に会社の命運を握られてしまっている状態なのに、社長はそれに気が付いていないという危険な状況なのです。

二つのケースを取り上げて解説しましたが、皆さんの会社はいかがでしょうか?これを社長ではない一般社員の方がお読みになっていて、「うちの社長は・・・」と考えてみたとき、これら二つに該当する場合には、要注意段階を通り越して危険段階にあると思ってください。これらのリスクを社長に説明し理解してもらうためには相当長い時間と大きな努力が必要なので、手遅れになる可能性が高いからです。読者がもし社長・経営層なのであれば・・・次にとるべき行動はわかりますね。是非自社の状況を客観的に見つめなおしてみてください。

 

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