私の娘自慢をしよう

私の次女は夫とともに東京港区でイーエム・ラボという会社を営んでいる。夫はスポーツ事業、次女が不動産事業をやっている。不動産事業に社員はいないが5人ほどのメンバーとチームとして仕事をしている。メンバーはそれぞれが独立した個人事業主や、自分で会社を持っていたりする。次女と各自との業務提携のようなスタイルでやっている。
次女にはなぜ不動産業を営んでいるのかという明確な理念、使命とビジョンがある。メンバーは次女の掲げる理念、使命、ビジョンに激しく共感し、進んで協働したいと臨んでいるように伺える。日々、彼女、彼たちが活き活きと仕事をしている姿に驚かされている。
次女の会社のホームページを覗くとバリューとして、「人に寄り添う不動産サービス」を提供する、とある。さらにゴールとして、「人の想い」に寄り添う、優しい不動産会社を目指して、とある。まさに日々次女が実践していることだと感心している。
不動産業界にあって次女たちの仕事ぶりは異質のようである。同業者のなかには、何を綺麗ごとばかり並べているのやと揶揄されることもあるようだが、顧客は勿論のことながら同業者から応援されることも多くあると聞いている。
不動産会社に限らずすべての会社にとって集客が最も肝心な話である。不思議なことに次女の会社は集客が問題となったことは一度もない。ほとんどの案件は人からの紹介だという。リピートは勿論のこと、客が客を連れてきてくれているのだという。
つい最近も次女の顧客の話で驚いたことがある。何年か前にシンガポールから来た外国人がマンションが欲しいというので案内をしたという。ところが何か所も案内したが結局決まらず終わったらしい。聞けば十数件も案内したらしい。
よくあることだが不動産物件を欲しいという客のなかには何件見ても満足しないで終わる客は珍しくはないようだ。買いたいという客だから初めのうちはいくつか案件を案内するのだが、さすがに十数件もとなるといい顔をしてくれる不動産会社はそういない。
そのシンガポール人は十数件見た後ようやく諦めたようだ。それから2年後、また彼から次女に連絡があったらしい。彼の友人が東京で住むところを探しているので探して欲しいとのこと。
一瞬、2年前のことが思い出されまたどうせ見るだけで終わるのではと思ったものの彼からの紹介を受けたという。今度の客は女性で仕事の都合で半年後から東京に住むことになるのでマンションか家を探しているらしい。
予算に合わせ物件を4、5件案内したようだ。そのうちの1件をどうやら気に入ったようで契約に至るという。結果これまでにない結構大きな取引になるらしい。後で聞いてみると彼女の父親がアジアでは相当有名なホテル王だった。大切な娘が東京で暮らす家なので予算も結構な余裕があったようだ。
さらに驚いたのは、紹介してきた彼の方の話だ。彼は結局、次女の紹介した物件でなく他の不動産会社の紹介で東京でマンションを購入していたらしい。ただ、彼の遺言書にそのマンションを手放すときは次女に任せることと書いてあるという。
彼が言うに、十数件の物件を次女が案内するとき、何一つ嫌な顔を見せず常に笑顔で親切に対応してくれたことに心から感謝をしていたのだと。次女が「人に寄り添う不動産サービス」の提供をまさに実践していたからこその話だと感心したものだ。
今回のコラムは親ばかな話として聞いてもらえればいい。次女には夢があるのだという。それは日本の不動産業界を優しい不動産業界にすることだそうだ。我々一般人には不動産業界といえば強面のおっさんたちの集まりとしか思えないのだが。
次女の顧客との出会いを聞くと、それぞれに理由があり、そのひとつひとつのストーリーが俄かに信じられないような話ばかりだ。本当にそんなことが実際にあるのかと驚くばかりだ。これからも大変なことが多いだろうが、次女には今のまま人から人への出会いを広げてもらいたいと切に願っている。がんばれかなこ。
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