経営者は人事が苦手

今日は親子経営企業ならではの思いもよらぬ「死角」についてのお話。
【経営者は人事が苦手】
経理が苦手という経営者は多い。さらに、人事が苦手、もっとはっきりと言えば人事が下手な経営者が結構多くいる。人事の判断基準には、大手企業ではいろいろな採点、評価基準がある。
親子経営企業にも規模が大きい会社では大手企業同様の評価基準がある。しっかりとした評価基準制度があるにもかかわらず、親子経営企業では、人事に対する経営者の意向というのが強く働くようだ。
一般の中小企業ではどうだろうか。人事はほとんど経営者が決定する。役員人事は勿論のこと、部署長人事、さらには社員の配置まで経営者が決めているという会社が多い。そこで疑問が生じることになる。
それは、そもそも経営者の人物評価がしっかりと為されているのかということ。経営者の人物評価がデタラメならば会社の人事は大変なことになる。人にはそれぞれの価値観がある。さらに人には感情がある。
経営者の持つ価値観や感情が社員の人物評価にどのような影響を与えているのか、冷静に考えてみる必要がありそうだ。もし、経営者の人物評価による人事が正しくなければ、企業の業績を下げる恐れがあり、社員のモチベーションまで下げてしまうことになる。
経営者も人の子。同じように感情というのがある。いろいろな感情が人の心を乱すことがある。経営者も例外ではない。例えば、「怒り」という感情がある。それも身もだえするほどの「怒り」がある場合、人は正常な判断をし得ない。
また、「恐れ慄く」という感情がある。これはただ怖いというのでなく、目上、立場が上の人から激しく、厳しく叱られたときなどに抱く、恐れ慄(おのの)くと言う感情のことだ。こういうとき、人は冷静な判断ができなくなる。
さらに、「好楽」という感情がある。ただ好きだというのでなく、その場に一緒にいるだけで楽しくて仕方がないといった気持になるときがある。こういうとき、人は冷静な判断ができないものだ。
最後に、「憂患」という感情がある。これは心配事や悩み事があり、心を病むほどに心配し、悩みこんでしまうということだ。こういうとき、人は冷静な判断ができない。
このように経営者が「怒り」「恐れ慄く」「好楽」「憂患」などの感情に捉われているときがあるとするなら、そのときは冷静な判断ができない。少なくとも、こういうとき経営者が人事に触れてはならない。
また、人は感情とともに、いろいろな価値観を持っている。経営者も例外でなく独自の価値観を持っている。経営者は、自分が持つ価値観に合うか合わないかで人を評価し、判断することがある。
さらに言えば、人は自分の感情、価値観によって、偏った見方をするということだ。例えば、常日頃から、自分が親しく、好もしく、愛している者に対し、溺れてしまい、偏った見方をしてしまう。
また、人は自分より劣っている者、常日頃から嫌っている者に対し、卑しみ、侮り嫌悪する。こういうとき、人は偏った見方をしてしまう。
さらに、人は自分より優れた者、自分より立場が上の者に対し、畏れ敬い、なにかと遠慮し、憚(はばか)ることがある。こういうとき、人は偏った見方をしてしまう。
そのうえ、人は人が苦境や逆境にある者に対し、哀れに思い、可哀そうにと思う。こういうとき、人は偏った見方をしてしまう。
最後に、人は自分より身分や立場が下だと思っている者に対し、驕り高ぶり、傲慢に接することがある。こういうとき、人は偏った見方をする。
以上のように、人は様々な感情を有し、いろいろな価値観を持っている。人の上に立つ経営者もしかりである。経営者は自分の感情を意識し、整えることが重要であることは言うまでもない。
私が言う、「経営者は人事が苦手」な理由と原因をお分かりいただけただろうか。親子経営企業ではさらにこの上に、身内親族社員、古参社員人事が問題となることが多い。いわゆる情実人事といわれるものだ。
言うまでもなく、企業の人事は経営の要ともいえる。特に役員、部署長人事は重要である。ひとつの人事が企業の命運を左右することがある。経営者は人事が得意であってもらいたいものだ。
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