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CES2026に見る、スタートアップ企業の積極度

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

今回で連続4回目になりますが、毎年初にラスベガスで開催されるテックショー”CES”に取材に行ってきました。こう定点観測することで、微妙なトレンドの変化を感じやすいですし、同じ企業でも徐々に展示トーンを変えるなど、時代の変化をより敏感にとらえることができるので、当面欠かすことなく見に行かないといけない展示会であると考えています。日本からも各種メディアの取材陣が数多く訪れており、経済誌などに毎日記事が掲載されていましたので、日本に居ながらもいろいろと情報を得られたかと思いますが、現地に行ってみると肌感覚で伝わってくるものがあるのも事実で、今回はそのような中から「日本企業のプレゼンス」について述べてみたいと思います。

CESは、その起源を「家電(Consumer Electronics)」に端を発しているため、大手の家電メーカーが主要な展示スペースを埋めてきたという歴史があります。このようなメーカーは毎年同じ場所に、巨大なブースを仕立て、「今年は何を出すのかな?」とわくわくしながら観に行ったことが懐かしく思い出されます。しかし、今回はそのような大企業が展示するエリアではなく、スタートアップたちがしのぎを削る会場「ユーレカパーク」に注目して状況をお伝えしようと思います。

ユーレカパーク(Eureka)は、大企業の展示がどうしても優先になりがちだったCESにあって、新しい発見や発想にもきちんと目を向けられるように、展示の機会が持てるように、という趣旨で始まった展示エリアだそうです。CESの会場は膨大な広さがありますが、その中の一角を区切ってスタートアップ企業などに小さく駒割し、経済的な負担を低めに出展できることが特徴となっています。日本で言うと、「一コマブース」という言い方をすれば伝わるでしょうか?それこそデコラ一脚と椅子二つぐらいで埋まってしまうような小さな屋台ブースがずらっと軒を並べているような場所です。CESに長年出展されている会社の方に教えていただきましたが、CESデビューはまずはユーレカパークで、そこで何回か実績を積むと、始めてメイン会場にブースを持つ権利を与えられるとのことで、「CESの登竜門的な場所」と理解すればよいでしょう。

さて、そんなユーレカパークですが、日本企業のブースも当然あります。それが、J-StartupパビリオンとJapan Tech Projectの二つの集合ブースです(個社単独でブースを持っている企業もあると思うのですが、今回時間の関係で探すことはできませんでした)。前者は政府のJetroが主導して出展しており、毎年20社を超える企業が参加しています。後者は大阪商工会議所が柱となって、これも多くの起業を束ねて出展している、というエリアになります。

地図の中で赤くマークした場所ですが、それぞれユーレカパークの中でも中心付近のとても良い場所に出展しており、注目を集めていました。

さて、この地図で皆さんが気になるところはおそらく黄色で示された場所でしょう。日本の2つのブースを合わせた面積の10倍まではいかないまでも、数倍の広さを誇っています。もったいぶらずに言うと、これら黄色で塗ったブースは、韓国企業です。「何かのキャンペーンで来ているのでは?」と思われるかもしれませんが、ユーレカパークでの韓国企業の数はここ数年こんな広さの規模を持っています。正確に数えたことはありませんが、毎年日本とはこれぐらいの差をつけて出展している、とい印象です。韓国と日本では人の数の差がありますので、それを考えれば日本の出展数の方が多くて当然なのですが、実際には出店数に大きな乖離がある、という状況なわけです。

もう少しその実態を見てみます。「Korea Pavirion」と命名されているブースは、日本の2つのブースと同等の大きさです。しかし、それ以外の数が多い。大学・地方自治体・そして何よりも大企業が運営しているインキュベーション施設のブースが周囲を支えているのです。大学系のブースを覗いてみると、様々な研究室が研究成果としてのシーズを展示していたり、学生起業家が作った試作品を並べていたり、という学園祭を少し豪華にしたような展示が並んでいます。中には悪ふざけ的なものも見かけますので、悪乗りでここまで来てしまった、という人も混ざっていることは事実です。大企業主催のインキュベーション施設ブースでは、新たに開発したデバイスやセンサーなどが所せましと並んでいます。

これらのブースをざっと見ていると、まさに玉石混交という言葉がふさわしいカオスです。しかし、どのブースに立ち寄っても、きちんと展示物や技術を解説してくれますし、何をしにここに来たのかということも明快で、「出資者を探している」とか「パートナーを探している」「販売代理店を探している」「OEM先を探している」と明確な言葉で説明してくれます。しかも、皆さんまだ若い。少しでもチャンスを掴んで帰りたいという意気込みがひしひしと伝わってきます。

なんでもかんでも「何か作ったらCESに持って行ってしまえ」ということをいうつもりはありませんが、スタートアップたちにこのようなチャンスを広く与えている韓国の国を挙げての努力や工夫には頭が下がる思いですし、とてもうらやましくも感じました。日本も、大学に科研費として税金を落とすだけではなく、韓国のように研究成果をビジネス化するための細かな支援をもっとするべきなのではないかと思います。お手本は韓国にいくらでも転がっていますし、予算もそれほどかかるものではありません。地方自治体も同じです。商工会議所だけでなくいろいろな企業コンソーシアムを作らせても良いでしょう。大企業も自社ブースだけではなく、パートナーが展示できるスペースを確保しても良いと思います。

日本には、良い技術や商品がたくさんあっても、それを海外に売る・売り込むという意識がいつのまにか希薄になってきてしまいました。80年代90年代を通じて「日本は輸出に頼りすぎだ。内需を少しは拡大してほしい。」という外圧を何回も受けましたが、その結果全員が内側・国内市場だけを見るようになってしまったのではないでしょうか?何も輸出向けに新しいものをゼロがから作る必要などなく、日本人が当たり前に使っているものが海外に紹介されておらず、持っていけば大きな注目を浴びる可能性があるものがいくらでも眠っていると思います。そのようなものたちがCESで見られる日が来るといいな、と将来への夢を膨らませて帰国しました。

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