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AIが変える組織の力関係

SPECIAL

マインドポジション経営コンサルタント

株式会社アトリオン

代表取締役 

マインドポジション経営コンサルタント。社員と顧客の心に占める貴社の位置づけ―「マインドポジション」をアップし、業績向上を目指す仕組み構築のスペシャリスト。30年にわたる中小企業のブランディングと組織開発の経験を背景に、マインドポジション経営実践プログラムをオリジナル開発。時代に合わせて組織を刷新したい経営者や、2代目、3代目社長、社員の力を引き出して社内の体制を再構築したい経営者に高く評価されている。新しい切り口に基づく事業の見直しと組織の再開発を通して業績の2ケタ成長を実現するなど、持続可能な企業の成長に向けた力強い支援に定評。株式会社マインドポジション経営研究所代表取締役

先日、若い女性起業家と話をしていた時のこと。彼女も私以上にAIにのめり込んでいて、すぐに意気投合。二人の意見が一致したのは、「これはインターネットが出始めた頃くらい面白い」という感覚でした。

思い起こせば30年以上前、日本にインターネットというものが登場した頃のことです。アメリカのホワイトハウスのホームページが電話回線で閲覧できると聞いて、それだけで感動していた時代でした。

何か世の中を変えるような大きな変化が起こっている。でも自分が今いる場所から見えるのは、そのほんの断片だけ。それでも「この世界に今入っておかないとまずい」と感じて、当時持っていたiMacにモデムを接続していたことを思い出します。

通信速度は今では信じられないほど遅く、ページが表示されるまで数分かかることもありました。それでも、拙いコーディングでホームページができた時は、本当にうれしかったものです。

その頃、年配の男性社員から「こんなもの、何の役にも立たない」と言われたことがあります。無理もありません。1ページ表示するのに3分。どう見ても、実用性はほとんどありませんでした。

それでも、世の中で何か新しいことが起きているという“息吹”は確かに感じることができました。そして、その変化の入り口に自分が立っていることを、少し誇らしく感じていたのを覚えています。

そして今、AIが世の中を席巻するこの時代に、同じような高揚感に包まれています。

AIの登場は、単なる技術の進歩というより、組織の構造そのものを変える可能性を持っています。

組織の中で序列が生まれる理由の一つは、情報や知識の非対称性です。年嵩の社員の方が若手よりも会社の慣習や仕事の進め方をよく知っている。だから若手よりも影響力を持つ。多くの会社で見られる構図です。

しかしITが普及し、さらにSNSが広がる中で、この構図は少しずつ変わってきました。情報は誰でも手に入るものになったからです。

そして今、AIの登場によって、この変化はさらに加速しています。AIは、知識を持っている人だけが優位に立つ世界を大きく揺さぶります。質問すれば、かなり整理された答えが瞬時に返ってくる。知識そのものの価値は、相対的に下がっていくでしょう。

では、誰が強くなるのでしょうか。

ここが面白いところです。

AIは確かに若い人の方が抵抗なく使い始める傾向があります。しかしAIを本当に役に立つ形で使うためには、現場の経験や文脈理解が不可欠です。

つまり、若い人のテクノロジー感覚と、ベテランの経験知。この二つが組み合わさったとき、初めてAIは価値を生む。言い換えると、AIは世代の壁を壊し、組織の知恵を引き出す装置にもなり得る、というわけです。

例えば若手社員がAIを使って情報を整理する。そこにベテラン社員が「現場ではこうだよ」と経験を重ねる。その対話の中で、これまで言葉になっていなかった知恵が見える形になっていく。

これは多くの会社が長年苦労してきた「暗黙知の共有」や「人材育成」という課題に対するヒントにもなります。

さらに言えば、AIは会社の考え方や価値観を整理するツールとしても役立ちます。

顧客にどんな価値を提供するのか。
社員にはどんな働き方をしてほしいのか。

こうした問いをAIと対話しながら整理していくと、会社の思想や強みが思いのほかくっきりと言葉になっていきます。

私が提唱しているマインドポジション経営では、顧客と社員の心の中にどんなポジションを築くかが企業の成長を左右すると考えています。AIは、そのポジションを言語化する作業を強力に後押ししてくれる存在でもあります。

だからこそ、これからの企業にとって重要なのは、AIを導入することそのものではありません。

AIを、戦略づくりや組織開発にどう活用するか。

この視点があるかないかで、大きな差が生まれてくると思います。

AIを単なる便利ツールとして使う会社。
AIをきっかけに組織の知恵を引き出す会社。

この差は、数年後にはかなり大きなものになっているはずです。

さて、あなたの会社ではAIを「業務効率化の道具」として使うでしょうか。それとも「組織を成長させる装置」として使うでしょうか。

次の時代に生き残る企業は、その答えをもう探し始めています。

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