第57号:社長がいなくても回る会社だけが永続する!

昨日、地域金融機関のご紹介で、
ある地方都市の建設業のオーナー企業を訪問しました。
従業員は約20名。
地域に根差し、長年にわたり事業を続けてこられた会社です。
しかし、現場で私が目にした光景は、「事業が止まっている会社の姿」でした。
昨年5月、この会社は、先代社長がご逝去されて以降、
奥様が経営を引き継がれていました。
当然のことながら、先代社長の死は突然の出来事です。
経営の準備が十分であったとは言えません。
その結果、何が起きたのか。受注が止まり、
意思決定が止まり、事実上、会社の事業活動が止まってしまっていたのです。
ここで、私は三つの問いを強く感じました。
① なぜ、この企業は、先代が亡くなられた途端に受注が止まってしまったのか?
② なぜ、この状況を目の前にして、地域金融機関は何もできなかったのか?
③ この企業は、本来、先代がご存命のうちに何をなすべきだったのか?
この会社が抱えている問題は、
日本企業の多くを占めるファミリービジネスにとりまして、
決して特別な事例ではありません。
むしろ、日本全国で日々起きている現実です。
そして私は、この光景を目の当たりにしたとき、
経済産業省が開催した「ファミリービジネスのガバナンスの在り方に関する研究会」で
示された論点について、改めて思いをはせました。
同研究会では、ファミリービジネスの課題として、
「属人化」「事業承継」「ガバナンス」が挙げられています。
では、本当に問題はそこだけなのでしょうか。
私は、現場を見てきた立場として、
もう一歩踏み込んで考える必要があると思っています。
経済産業省が開催した
「第1回 ファミリービジネスのガバナンスの在り方に関する研究会」は、
日本の企業の大半を占めるファミリービジネスについて、
その強みと課題を整理し、
今後どのように発展させていくべきかを議論したものです。
まず前提として、日本の中小企業の多くは、
オーナー社長とその家族を中心に経営されています。
こうしたファミリービジネスは、
日本の雇用や地域経済を支える非常に重要な存在です。
つまり、ファミリービジネスがうまくいくかどうかは、
日本経済全体にも大きく影響するという位置づけです。
ファミリービジネスの強みとして、主に3つが挙げられています。
①長期的な視点で経営できること、
②意思決定が早いこと、
③会社の理念や価値観がぶれにくいことです。
例えば、上場企業のように短期的な利益に縛られず、
「10年後どうなるか」を前提に投資や人材育成を判断できる点は、
大きな強みです。
また、オーナー社長が最終判断者であるため、
会議を重ねずとも意思決定ができるスピード感もあります。
さらに、創業者の想いや価値観が家族を通じて共有されやすく、
会社としての方向性が一貫しやすいという特徴もあります。
しかし一方で、これらの強みはそのまま弱みにもなり得ると指摘されています。
最大の問題は「属人化」です。
つまり、経営が特定の個人、特にオーナー社長に依存しすぎる状態です。
この状態になると、社長の判断が絶対となり、
仮に誤った判断であっても修正されにくくなります。
結果として、会社全体がその影響を受けてしまいます。
また、ファミリービジネス特有の問題として、
「家族関係と経営の混同」が挙げられます。
本来であれば能力や実績で判断すべき役職や報酬が、
「親族だから」という理由で決まってしまうケースがあります。
これにより、組織の中で不公平感が生まれたり、
有能な人材が離れてしまったりする可能性があります。
さらに大きな課題が事業承継です。
誰を後継者にするのか、
その人材は経営を担う能力があるのか、
いつから引き継ぐのかといった点が曖昧なまま時間が過ぎると、
いざというときに会社が止まります。
つまり、研究会が伝えている本質はシンプルです。
ファミリービジネスは強いが、
その強さは「人」に依存しているため、
そのままでは不安定である。
だからこそ、「仕組み」によって経営を支える必要があるということです。
しかし、私はここで、さらに重要な点をお伝えしたいと思います。
問題は属人化していることそのものではありません。
本当の問題は「経営が再現できないこと」です。
社長がいなければ回らない、社長しか判断できない、
社長しか顧客との関係を持っていない。
この状態では、どれだけ立派な会社であっても、
社長がいなくなった瞬間に会社は止まります。
今回の企業は、まさにその典型でした。
では、どうすればよいのでしょうか。
私はこれまでの現場経験から、
企業成長には明確な順番があると断言します。
まず、社長の判断基準を言語化すること。
次に、その判断を共有できる幹部を育てること。
そして、その幹部に事業単位で任せること。
この流れをつくることで、
初めて人材が安心して育つ土壌が生まれます。
この順番を外せば、必ず組織は機能しなくなります。
ここで重要になるのが「キラー経営資源」です。
キラー経営資源とは、
自社が顧客から選ばれている理由の核となる経営資源のことです。
このキラー経営資源を明確にし、
事業ごと、顧客ごと、商品ごとに分解していくことで、
「任せる単位」が生まれます。
この任せる単位があるからこそ、幹部が育ち、
社長がいなくても会社が回る状態が実現するのです。
大事なことなので、もう一度お伝えします。
属人化が問題なのではありません。
事業承継が問題なのでもありません。
「経営が再現できないこと」こそが最大の問題です。
なお、ここまでお読みいただいたオーナー社長の皆様の中には、
「自社もこのままで良いのだろうか」
「人に任せる体制をつくらなければならない」
と感じられた方も多いのではないでしょうか。
本コラムでお伝えしてきた通り、
ファミリービジネスの強さは、オーナー社長の意思決定力にあります。
しかし、その強さを“永続性”へと変えていくためには、
社長一人で抱え込む経営から、
幹部を育て、任せ、組織として成長していく経営へと進化させる必要があります。
そのためには、
事業ごと・顧客ごと・商品ごとにキラー経営資源を磨き上げ、
「任せる単位」を生み出し、
社長・幹部を量産できる構造をつくることが不可欠です。
さらに、その延長線上にあるのが、
外部資本・外部人材を取り込み、企業成長を加速させるエンジェル投資の視点です。
エンジェル投資は単なる資金調達ではなく、
企業の成長を共に支えるパートナーを迎え入れる仕組みであり、
ファミリービジネスを「閉じた経営」から「開かれた成長モデル」へと転換する大きな契機となります。
なお、本コラムでお伝えした内容や、
エンジェル税制を活用したファミリービジネスの成長戦略について、
さらに詳しく知りたい方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。
▶ https://www.mku-consulting.com/maximuminc/
代表電話(03-5843-7228)にお電話をいただけましたら、
私のほうから折り返しご連絡もいたします。
一人でも多くのオーナー社長が、
社長・幹部を量産しながら事業を成長させ、
安心して人に任せられる経営体制を築くことで、
永続不滅のファミリービジネスを実現されますよう!
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