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顧客情報管理システムが機能しない理由とは

SPECIAL

6ヶ月増販増客コンサルタント

有限会社 乾コンサルティング

代表取締役 

わずか6ヶ月間で、顧客・取引先を増やし、売上を伸ばしていく「増販増客の仕組みづくり」を専門に指導する、販売戦略のスペシャリティーコンサルタント。これまで20年以上にわたり大小300以上の会社や販売店を指導。営業・販売の実務指導では述べ1千名以上に直接関わり、業績向上に大きく貢献。その様々な知識や経験の中から、より短期間に業績向上に直結する実務として、「6ヶ月増販・増客プログラム」を開発。

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3年前に当方のセミナーを受講した方から、「当社でも、紙ベースの顧客管理からシステムで顧客管理を行うようになりました、乾さん、ちょっとこの顧客管理システムを見てもらえませんか?」と連絡がありました。

その方は、経営企画室の部長でした。声のトーンからして、当社も進化したことを私にお伝えしたかったのでしょう。

ちょうど、その会社の近くに寄る所用がありましたので、お伺いすることにしました。

そのシステムの中身を見せていただくと、当方がセミナーでお話しした、顧客データと顧客情報の違いも認識されており、営業担当者が押さえておくべき顧客情報もシステムに反映されていました。

また、顧客ランクもシステムで自動的に区分けされて、その顧客ランク別の営業取り組みのアドバイスを経営企画室が行っているとのことでした。今までは、紙ベースの管理だったので、顧客のランク分けや顧客ラン別の営業取り組みが全くできていなかったとのことでした。

ここだけ聞くと、顧客管理システムの導入は上手くいっているように思えますが、実は、落とし穴がいくつかあるのです。

そう、落とし穴が・・・。

紙面の都合上、その落とし穴の代表例をひとつ上げてみますね。

今回も当たり前のことを書きますが、出来ているかどうかのチェックをしてみてくださいね。そう、知っているけど出来ていないが、成果を生み出さない最大の要因だからです。

今回の落とし穴のひとつは、経営企画室がシステムで分析された顧客ランクを基に営業部門へアドバイスをしているということです。

ここ、大事なのでもう一度、言いますね。経営企画室がシステムで分析された顧客ランクを基に営業部門にアドバイスをしていることです。

言っている意味が理解できるでしょうか。

今日は、ちょっと、理屈を言いますね。ちょっとだけお付き合いください。

「マン・マシンシステム」という言葉はご存知でしょうか?

言葉の意味は、人間と機械の調和を図り、それぞれの欠点を互いに補うように構成されたシステムのことを言います。

なんか、難しいですね・・・。

簡単に言うと、コンピューターのシステムと人間が融合しなければ機能しないということです。

余計に混乱しそうですか・・・。

今回のケースは、経営企画室がコンピューターのデータをそのまま鵜呑みにして、営業部門へアドバイスを行っているということです。

「どういうことですか?」という声が聞こえてきそうですね。

システムでランク分けされた顧客は、営業担当者で再度、検討してそのランク分けが正しいかをチェックしなければいけないということです。

当たり前のことを言っていますね。でも、更新時期を決めて、営業担当者が全顧客のランク分けを見直している会社が少ないようにも思えます。コンピューターから抽出された顧客ランクをそのまま活用している感じです。

簡単に言うと、顧客管理システムで、ランクが低い顧客は重要顧客では無いと判断されます。でも、その顧客が将来設備投資や海外進出を行う場合は、自社にとっては重要顧客に変わります。

「乾さん、そんなことは、営業担当者が把握しているから大丈夫ですよ」という声が聞こえてきそうですね。

これがよく言われる、営業担当者の頭の中で把握しているとう例です。しかし、これは私の経験則ですが、営業担当者が、顧客名と把握すべき顧客情報をしっかり記憶できているのは、良くて50社ぐらいです。70社を超えると顧客情報がうる覚えになってきます。

だから、人間の頭では限界があるので、記憶はコンピューターに頼らざるを得ないのです。しかし、コンピューターは、刻々と変わる将来情報については、把握できないので人間が行わなければなりません。

このことから、人間とコンピューターの調和が必要になります。これが、「マン・マシンシステム」です。

今回の事例で言うと、コンピューターでランク分けされた顧客を営業担当者が見直し、ランク分けの母数を修正しなければなりません。

そして、その修正した母数に対してアドバイスを行わなければなりません。

ある会社で起こったケースですが、その会社では重要顧客をAランクにしていました。コンピューターのランク分けではAランクが50社ありました。経営企画室は、Aランクが50社も育成できているので、今期の目標数字は必達できると思っていました。でも、当方がその会社の中に入って精査した結果、Aランクは15社しかありませんでした。経営企画室の人の顔が青ざめていたのが印象的でした。

逆のケースもあります。ある営業担当者は、重点顧客は20社だと思い込んでいました。その方は、手書きのノートと頭の中で管理をしている人でした。コンピューターを活用した結果、その営業担当者の重点顧客は35社であることが分かりました。頭の中だけの管理だと、重点顧客だと気付いていなかった15社は未訪問で終わるとこでした。

話をもどしますね。

経営企画の人は、営業の現場に出ていないので、コンピューターのデータを信じるのは仕方がないと思いますが、「マン・マシンスステム」という言葉を知っていればこのようなことは防ぐことができたかと思います。

ちなみに、注)RFM分析で抽出された顧客ランク分けをそのまま使用している会社があれば要注意です。RFM分析には落とし穴が満載です。特に小売業の方は気をつけてくださいね。

注)RFM分析:顧客分析手法のひとつ。顧客の購買行動を「最終購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「累計購買金額(Monetary)」の3つの指標から分類し、顧客の選別と格付けを行うこと。それぞれの頭文字を取って、RFM分析と呼ぶ。

あなたの会社は、人間の頭の中だけに頼って顧客管理を行っていますか?

あるいは、コンピューターのシステムだけを頼って顧客管理を行っていますか?

それとも、「マン・マシンスステム」が機能していますか?

コンピューターのシステムと人間の融合は必須です。

 

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